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後発医薬品製造基盤整備基金及び医療用医薬品安定供給体制の強化に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
政府は、医療用医薬品の安定供給体制を強化することを目的として後発医薬品製造基盤整備基金なるものを設立せんとし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案を今国会に提出した。しかしながら医薬品の安定した供給を確保できない現状について、政府の現状認識についていささか疑義が生じたので以下質問する。ただし、法案審議中を理由に詳細を説明できないなどという答弁は、すでに与野党に対して法案説明をしている現状を鑑みるに誠意なき対応であると断じざるを得ないと考えるため、本質問に対して誠意をもって答弁せしむことを欲するものである。
質問1
後発医薬品製造基盤整備基金の設立目的について政府の見解を明らかにされたい。
回答(質問1 並びに質問2 の1及び2について)
厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官が参集を求めて開催していた、後発医薬品に係る実務や薬事制度等に関する専門的知見を有する有識者により構成される「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」が令和六年五月二十二日に取りまとめた報告書において、「二千二十四(令和六)年五月現在、医薬品全体の二十三パーセントに当たる三千九百六品目が出荷停止又は限定出荷の状況にある。内訳をみると、・・・後発医薬品は二千五百八十九品目(約六十六パーセント)、となっており、後発医薬品を中心として医薬品の供給不安が発生している状況」にあり、「後発医薬品産業の構造的課題として、・新規上市を繰り返し、少量多品目生産等により品質不良リスク、生産効率、収益の低下を招いていること・品質管理に係る薬機法違反事案が続いていること・比較的中小規模で、生産能力や生産数量が限定的な企業が多いこと、製造ラインに余力がなく、増産対応が困難であること・一社が供給停止になると一定の在庫を確保するため、同成分の品目に限定出荷が拡大すること」が指摘され、「こうした構造的課題に対応していくに当たって(中略)ある程度大きな規模で生産や品質管理等を行っていくための体制を構築していくことも有効な選択肢となっていくと考えられる。・・・各企業において、企業間の品目統合やそれに伴う各企業での品目削除により少量多品目生産を適正化し、品目ごとの生産能力や生産規模を増大させ、採算がとれる生産体制を構築する必要がある。(中略)様々な形で企業間の連携・協力を進める検討が活発化しており、業界再編が行われる機運を高めていく必要がある」とされ、「企業間の連携・協力の取組の促進策」として、「事前の調査・分析、生産性向上のための設備の導入や老朽化した設備の改修、製造・情報管理システムの統合、品目・製造方法の統合後の薬事手続のための試験等様々な費用が生じることが想定される。・・・金融・財政措置等様々な面から政府が企業の取組を後押しする方策を検討していくべきである」等とされたところである。
その上で、当該報告書を踏まえ、当該「政府が企業の取組を後押しする方策」として、第二百十七回国会に提出した医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案においては、企業の当該「費用」に関し必要な資金の交付を行うための「後発医薬品製造基盤整備基金」の設置を盛り込んでいる。こうした施策を通じて医薬品の安定的な供給の確保に取り組んでまいりたい。
質問2
前記の目的について、福岡資麿厚生労働大臣は日刊薬業のインタビューにおいて、「新設する後発医薬品供給支援基金を通じて、企業間の連携協力や再編を後押しする方針」と話している。しかし、昨今の医薬品欠品問題、つまり必要なとき必要な医薬品が国民の手元に届かない状況の原因を鑑みるに、問題の本質は医薬品を製造する企業の規模の問題ではなく、そもそも医薬品の主成分たる原料の調達ができないことにあると理解している。しかし、福岡大臣のお言葉には、医薬品原料の調達について言及はないものとみゆる。つまり、我が国において国民が必要とする医薬品の原料が調達されていないという事実、併せて他国に当該原料の生産を依存せねばならない事実に向き合っていないということであると考える。さらに、当該原料を生産する国家との通商関係が安定的でなく、容易に輸入が難しくなるような国家にその生産を依存しているということになれば、これは経済安全保障上の問題といえなくもないであろう。政府においてこうした危機感があるのかどうかについて以下質問する。
1 医薬品を生産する企業の連携協力や再編によって本当に流通問題が解消されると考えているのか政府の見解を明らかにされたい。
2 そもそも製薬企業の再編が必要という結論に至った政府内の議論について説明されたい。
3 確かに、日本の製薬企業の数は他の先進国に比して多いという議論がされていたと記憶する。たとえば、英独仏米中印各国と比較し人口百万人当たりの製薬企業数で考えた場合に、我が国の製薬企業数は多いといえると考えるのか政府の見解を明らかにされたい。
4 医療現場から欠品や品薄が指摘される医薬品の原料について、その生産国を把握しているのであれば、生産国の割合について明らかにされたい。
5 原料の国内生産に向けた具体的な施策を政府は検討しているのか明らかにされたい。
6 抗菌剤については、政府は経済安全保障上優先度の高い特定重要物資と考えていると理解しているが、輸入に依存している医薬品原料についても医薬品の国民生活に占める重要性を鑑みるに経済安全保障上優先度の高い物資として安定供給を図るべきではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
回答(質問1 並びに質問2 の1及び2について)
厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官が参集を求めて開催していた、後発医薬品に係る実務や薬事制度等に関する専門的知見を有する有識者により構成される「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」が令和六年五月二十二日に取りまとめた報告書において、「二千二十四(令和六)年五月現在、医薬品全体の二十三パーセントに当たる三千九百六品目が出荷停止又は限定出荷の状況にある。内訳をみると、・・・後発医薬品は二千五百八十九品目(約六十六パーセント)、となっており、後発医薬品を中心として医薬品の供給不安が発生している状況」にあり、「後発医薬品産業の構造的課題として、・新規上市を繰り返し、少量多品目生産等により品質不良リスク、生産効率、収益の低下を招いていること・品質管理に係る薬機法違反事案が続いていること・比較的中小規模で、生産能力や生産数量が限定的な企業が多いこと、製造ラインに余力がなく、増産対応が困難であること・一社が供給停止になると一定の在庫を確保するため、同成分の品目に限定出荷が拡大すること」が指摘され、「こうした構造的課題に対応していくに当たって(中略)ある程度大きな規模で生産や品質管理等を行っていくための体制を構築していくことも有効な選択肢となっていくと考えられる。・・・各企業において、企業間の品目統合やそれに伴う各企業での品目削除により少量多品目生産を適正化し、品目ごとの生産能力や生産規模を増大させ、採算がとれる生産体制を構築する必要がある。(中略)様々な形で企業間の連携・協力を進める検討が活発化しており、業界再編が行われる機運を高めていく必要がある」とされ、「企業間の連携・協力の取組の促進策」として、「事前の調査・分析、生産性向上のための設備の導入や老朽化した設備の改修、製造・情報管理システムの統合、品目・製造方法の統合後の薬事手続のための試験等様々な費用が生じることが想定される。・・・金融・財政措置等様々な面から政府が企業の取組を後押しする方策を検討していくべきである」等とされたところである。
その上で、当該報告書を踏まえ、当該「政府が企業の取組を後押しする方策」として、第二百十七回国会に提出した医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案においては、企業の当該「費用」に関し必要な資金の交付を行うための「後発医薬品製造基盤整備基金」の設置を盛り込んでいる。こうした施策を通じて医薬品の安定的な供給の確保に取り組んでまいりたい。
回答(質問2 の3について)
お尋ねについては、薬事に関する制度等は国により異なり、また、御指摘の「製薬企業」が製造する医薬品は「製薬企業」により様々であることから、日本と御指摘の「各国」の「製薬企業数」を単純に比較することにより、御指摘のように「我が国の製薬企業数は多い」といえるかどうか、一概に評価することは困難である。
回答(質問2 の4について)
御指摘の「医療現場から欠品や品薄が指摘される医薬品の原料」及び「生産国の割合」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、令和五年度厚生労働省委託事業「後発医薬品使用促進ロードマップに関する調査及び改定に係る検討一式」において作成された「後発医薬品使用促進ロードマップに関する調査及び改定に係る検討報告書」(令和六年三月公表)の「図表一−二十八 自社または輸入業者等を介して調達した原薬をそのまま使用する後発医薬品の輸入原薬の調達国別の仕入先企業数と購入金額(令和五年三月末時点)」によれば、令和四年度の我が国における後発医薬品の原薬の「購入金額」の上位五か国の?国名及び?「購入金額」の割合は、それぞれ次のとおりである。
?イタリア ?十九・八パーセント
?中国 ?十七・四パーセント
?韓国 ?十六・二パーセント
?インド ?十六・〇パーセント
?スペイン ?五・一パーセント
回答(質問2 の5及び6について)
お尋ねの「原料の国内生産に向けた具体的な施策」については、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和四年法律第四十三号)第七条及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律施行令(令和四年政令第三百九十四号)第一条第一号の規定に基づき、抗菌性物質製剤を特定重要物資として指定した上で、「抗菌性物質製剤に係る安定供給確保を図るための取組方針」(令和五年一月十九日厚生労働省公表)に基づき、「セファゾリンナトリウム」等の四成分について、「製造設備の整備により国産原料由来の原薬を提供可能とすることに加えて、原材料及び原薬の備蓄設備の構築を通じて、海外からの原薬の供給が途絶した場合であっても医療現場に切れ目なく製品を供給する製造及び備蓄体制を一体的に整備する」こととしている。これら以外の医薬品についても、「特定重要物資の安定的な供給の確保に関する基本指針」(令和四年九月三十日閣議決定)において「物資の生産、輸入又は販売の事業を所管する大臣は、重要な物資のサプライチェーンの状況を的確に把握するため、必要と認めるときは、法第四十八条第一項を活用するなどし、重要な物資のサプライチェーン把握のための調査を実施することにより、その調達及び供給の現状並びにサプライチェーンの抱える課題の把握に努めるものとする」とされていることを踏まえ、医薬品に係る「サプライチェーン把握のための調査」を実施しているところであり、その結果も踏まえ、必要な対応を検討することとしている。
なお、このほか、令和五年度補正予算により、「令和六年度(令和五年度からの繰越分)医薬品安定供給支援補助金交付要綱」(令和六年七月十七日付け厚生労働省発産情〇七一七第三号厚生労働事務次官通知別紙)に基づく「医薬品安定供給支援事業」を実施し、「医療上不可欠な医薬品のサプライチェーンの強靱化を図り、日本国内における安定確保医薬品や感染症危機対応医薬品等の供給体制を整備するために必要な経費を補助」したところであり、令和六年度補正予算においても、引き続き同様の事業を行うこととしており、こうした取組も通じて、医薬品の安定的な供給の確保に取り組んでまいりたい。
質問3
令和七年二月四日、株式会社医薬経済社のリスファクスによれば、原料の製造中止及び代替原料の確保が容易でないことなどの理由により「テオドール錠」の供給が困難としている製薬メーカーに対して、日本呼吸器学会が販売中止を承諾しない趣旨の申入れをしたという。厚生労働省は、この事実を把握しているのかどうか明らかにされたい。
回答(質問3 について)
お尋ねについては、一般社団法人日本呼吸器学会のホームページにより、御指摘の「申入れをした」ことは承知している。
質問4
前記「テオドール錠」の事例も原料調達が課題であると考える。また、当該メーカーが代替原料確保や製造方法の見直しをしても製造に踏み切れない理由のひとつには、あまりにも安くなった薬価の問題があるのではないかと推察するものである。というのも、低い薬価のままでは思い切った設備投資は望めないであろうし、新規原料調達にしても、必要以上に調達費をかけられないような経営環境にあっては代替案などを民間企業にのぞむのは酷であろう。本件のように関連する学会が必要であると認めるような医薬品については、ワクチンなどと同じように政府が特別に必要な経費も含めて個別交渉で買い上げるなどの思い切った措置が必要ではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
回答(質問4 について)
お尋ねの「ワクチンなどと同じように政府が特別に必要な経費も含めて個別交渉で買い上げるなどの思い切った措置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、国が医薬品の買上げを行う場合は、購入に係る費用に加え、保管や流通等に係る費用がかかることから、その必要性も含め慎重な検討が必要であると考えている。
いずれにせよ、御指摘の「薬価」については、令和六年十二月二十日に内閣官房長官、財務大臣及び厚生労働大臣の間で合意した「令和七年度薬価改定について」において、「安定供給確保が特に求められる医薬品に対して、臨時的に不採算品再算定を実施するとともに、最低薬価を引き上げることとする」とされたところであり、これを踏まえ、令和七年度薬価改定を行うこととしている。また、御指摘の「設備投資」については、令和五年度補正予算により、「令和六年度(令和五年度からの繰越分)医薬品安定供給支援補助金(医薬品安定供給体制緊急整備事業)交付要綱」(令和六年八月七日付け厚生労働省発産情〇八〇七第二号厚生労働事務次官通知別紙)に基づく「医薬品安定供給体制緊急整備事業」を実施し、「大規模な供給不安に対して医療上の必要性の高い医薬品の増産等に必要な人件費及び設備整備の補助」を行ったところであり、令和六年度補正予算においても、引き続き同様の事業を行うこととしているほか、特に後発医薬品に係る「設備投資」については、一並びに二の1及び2についてでお答えしたとおり、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案において、「後発医薬品製造基盤整備基金」の設置も盛り込んでいるところであり、引き続き、製薬企業における医薬品の安定的な供給の確保に向けた取組を適切に支援してまいりたい。