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日本航空の運航乗務員による過剰飲酒を原因とする遅延にかかる一部報道に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
日本航空株式会社は、令和六年十二月十日、機長二人による過度な飲酒が原因で同月一日のオーストラリア・メルボルン空港発成田国際空港行きの便で三時間以上の遅れが生じたと発表した。本件について、同社の隠蔽体質を露呈する報道があると聞く。報道などで取り上げられている事実隠蔽ともとられる社内行動が事実であるとするならば、日本航空の経営陣に蔓延する隠蔽体質は日本の空の安全をおとしめる危険性がある故に国の今後の対応について以下質問するものである。
質問1
FNNプライムオンラインは「日航は当初「国への報告の対象外」とすることや「箝口令を敷く」方針を社長を含めた役員が了解していた」と報じている。
1 右事案が事実であれば、報告の対象外と日本航空が考えた理由もあるやもしれない故に、日本航空の対応について政府の見解如何。
2 そもそも運航乗務員の過度な飲酒が原因による遅延及び今般の事例に認められる乗務前の呼気検査でアルコールの基準値を下回るように意図的に検査実施を遅延させるような行為があったことは、国土交通省に報告する必要がないと考えているのかについて政府の見解如何。
回答(質問1 について)
御指摘の報道の「「箝口令を敷く」方針」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「アルコール」に関するお尋ねの「国土交通省」への「報告」については、「航空法第百十一条の四に基づく安全上の支障を及ぼす事態の報告要領細則」(平成二十六年九月十一日付け国官参事第八百八十六号国土交通省航空局安全部航空事業安全室長通達(最終改正 令和六年三月二十六日))に記載の「航空機乗組員が、アルコールの影響で正常な運航ができないおそれがある状態で航空業務を行った事態」、「航空機乗組員が、酒気を帯びた状態・・・で飛行勤務を行ったことが確認された事態」、「航空機乗組員が、運航規程に基づくアルコール検査を適切に行わなかった事態」及び「航空機乗組員が、運航規程に定められている飲酒禁止期間内に飲酒を行った事態」のいずれかが発生した場合には、原則として、事態の発生日から三日以内の報告を求めているところである。
一般論として申し上げれば、お尋ねの「運航乗務員の過度な飲酒が原因による遅延」及び「乗務前の呼気検査でアルコールの基準値を下回るように意図的に検査実施を遅延させるような行為」が先に述べた事態のいずれかに該当するか否かについては、個別具体的な状況によるものと考える。
その上で、御指摘の「今般の事例」については、令和七年一月二十四日に日本航空株式会社(以下「会社」という。)から国土交通省に提出された「航空輸送の安全の確保に向けた更なる取組みについて(業務改善勧告)のご報告」(以下「報告書」という。)において、「運航本部内で飛行勤務の定義への誤解があったため、義務報告には該当しないと判断した」こと等により、会社による同省への「報告が遅れた」とされているが、同省としては、先に述べた「航空機乗組員が、酒気を帯びた状態・・・で飛行勤務を行ったことが確認された事態」等に該当することから、報告の対象であると認識しており、令和六年十二月二十七日に会社に対して「航空輸送の安全確保に関する業務改善勧告」(以下「業務改善勧告」という。)を発出したところであり、業務改善勧告に記載のとおり、会社において、「問題が発生した場合には迅速に社内に共有され、必要な報告を行うなどの措置が確実に講じられるよう安全管理体制を再構築すること」等の「措置を速やかに講ずる」ことが必要であると認識している。
質問2
本事案では、当該便の客室乗務員が運航乗務員の体調不良に不信を抱き、出発前に日本航空本社に対して意見具申をしているという報道も過去にあったと記憶している。つまり日本航空の実務者の間には、安全への配慮が根付いていると推察される。しかし、意見具申を受けた本社の出発を優先する判断は、乗客の安全を配慮した判断とは言い難いと考える。また、本事案が発生し、事実を把握した経営陣の判断、「箝口令を敷き、また、当該機長が関係者に送付した謝罪メールの削除を命じる」といった右のFNNプライムオンラインの報道が事実であるとするならば、日本航空には深刻な事実隠蔽体質が蔓延していると思われる。他方で、実務の現場における健全な意見具申があったという事実は、安全意識が現場に構築されていると理解できなくもない。となれば、今般の事案の元凶は現場の声を無視する日本航空の経営姿勢に起因するものであると考えられるので、経営陣の刷新を政府として強く勧奨するべきであると考えるが、政府の見解如何。
回答(質問2 について)
国土交通省としては、業務改善勧告において、「問題が発生した場合には迅速に社内に共有され、必要な報告を行うなどの措置が確実に講じられるよう安全管理体制を再構築すること」等について、会社に対して指導しており、会社においては、報告書に基づき、「全社員を対象」として「アサーションを受け入れる文化の醸成の視点」を含めた「安全文化および当事者意識醸成に向けた教育」を実施するとともに、「役員」等を対象として「第三者の専門機関による危機管理に関する特別教育」を実施することとし、さらに、「運航本部内外の情報連絡体制の総点検」を含む「運航本部の組織体制・風土改革」等を実施することとしていると承知しているが、お尋ねの「経営陣の刷新」については、一義的には会社において判断されるべきものであると考えている。