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豪雨による被害を受けた農業者に対する支援に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 屋良朝博
会派 立憲民主党
公式リンク 第217回国会 / 質問答弁

二〇二四年十月二十一日に宮崎県、並びに十一月九日から十日にかけて鹿児島県及び沖縄県を襲った豪雨による河川の氾濫等によって被災地では、農作物の根腐れ、ほ場の崩壊、農業施設の倒壊などが発生するとともに、道路の陥没などにより農業者の営農活動に重大な支障が生じるなど、地域農業に甚大な被害が生じている。

今回の豪雨による被害は、資材高騰や販売価格の低迷により厳しい経営を余儀なくされている農業者の更なる所得減少や生産意欲の減退を招くとともに、地域の関連産業にも多大な影響を及ぼしており、このままでは生産基盤の弱体化に拍車がかかる深刻な事態も想定されることから、復旧等に向けた緊急かつ効果的な支援対策を講じる必要があると考える。

これらを踏まえ、以下、質問する。

質問1

今回の豪雨は、当該地域の農業に甚大な被害を与えるものであるため、被災地に局地激甚災害の指定を行い、復旧を迅速に進めるべきであると考える。

1 沖縄県内において、被災地の東村を局地激甚災害に指定しなかった理由について、政府の見解を示されたい。

2 災害救助法について、被災地の鹿児島県では適用されている。農業者を含む沖縄県民は豪雨による被災を想定以上の被害と認識していたが、沖縄県では適用されなかった。行政間の情報提供の漏れに起因して災害救助法が適用されず、県民に影響を与えてしまった現状について、政府の見解を伺いたい。

回答(質問1 の1について)

 政府としては、沖縄県東村における御指摘の「二〇二四年」「十一月九日から十日にかけて鹿児島県及び沖縄県を襲った豪雨」に係る農地等の災害復旧事業に要する経費の額が、「局地激甚災害指定基準」(昭和四十三年十一月二十二日中央防災会議決定)に定める基準額を超えていないことから、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)第二条第一項に規定する激甚災害(以下単に「激甚災害」という。)としての指定を行っていないものである。

回答(質問1 の2について)

 災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号。以下「救助法」という。)第二条第一項においては、都道府県知事は、政令で定める程度の災害が発生した市町村の区域内において、当該災害により被害を受け、現に救助を必要とする者に対して、救助法による救助を行うこととされている。

 また、災害救助法施行令(昭和二十二年政令第二百二十五号)第一条においては、救助法第二条第一項に基づき、救助法による救助の対象となる災害の程度として、地方公共団体の区域内において、当該地方公共団体の区域内の人口に応じて一定数以上の世帯の住家が滅失したこと、又は、多数の者が生命若しくは身体に危害を受け、若しくは受けるおそれが生じた場合であって、内閣府令で定める基準に該当することを規定している。

 御指摘の「二〇二四年」「十一月九日から十日にかけて鹿児島県及び沖縄県を襲った豪雨」について、鹿児島県及び沖縄県では、それぞれ、両県の区域内の人口に応じて一定数以上の世帯の住家の滅失は生じていないため、両県における災害の程度が「多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じた場合であって、内閣府令で定める基準に該当する」か否かが問題となるところ、鹿児島県はこれに該当し、沖縄県はこれに該当しなかったものである。

質問2

今回の豪雨による被害によって、将来有望な若手を含む多くの農業者が経営を継続できない状況となっている。営農の再開に向けて、被災したほ場等の復旧及び必要な資材費等に対する助成措置を講じるとともに、既存の農業施設の改修及び補強対策並びに自然災害に強い施設の導入に対する支援を図るべきと考える。

1 豪雨による被害に対して、以下について現在国が講じている支援制度の内容を示されたい。

 ア 被災したほ場等の復旧に対する支援

 イ アに必要な資材費等に対する支援

 ウ 既存の農業施設の改修及び補強対策に対する支援

 エ 自然災害に強い農業施設の導入に対する支援

2 豪雨被害からの生産回復に向けた、緊急かつ効果的な支援のため、1において国が講じているとした支援制度の更なる拡充、支援措置を講じていないのであれば新たな支援制度の導入を図る必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

回答(質問2 の1のア及びイについて)

 お尋ねの「被災したほ場等」及び「必要な資材費等」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、政府としては、例えば、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和二十五年法律第百六十九号)第二条第六項に規定する災害復旧事業により、被災した農地における堆積土砂の排除、法面の復旧等に係る工事に要する費用について、当該工事の施行に直接必要な材料費等も含めて支援を行っているところである。また、激甚災害として指定された場合には、当該災害復旧事業の補助率のかさ上げを行っている。

回答(質問2 の1のウについて)

 政府としては、極めて大規模な災害による農業に係る被害に対しては、「農地利用効率化等支援交付金」等により、被災した農業施設の修繕等に要する費用の助成等の特例的な支援措置を講じているところである。

回答(質問2 の1のエについて)

 政府としては、例えば、「強い農業づくり総合支援交付金」や三で御指摘の「農林漁業施設資金」等により、御指摘の「自然災害に強い農業施設の導入」に要する費用の助成や資金の融通等の支援を行っているところである。

回答(質問2 の2について)

 豪雨による農業に係る被害に対しては、現在、二の1のア及びイについてから二の1のエについてまでで述べた支援措置を講じているところであり、今後とも、被害の状況等に応じて適切に対応していく考えである。

質問3

農林水産省は、被災した農業者については、経営再建のための農林漁業セーフティネット資金や施設の復旧のための農林漁業施設資金等の災害関連資金等の制度資金が利用できるとしているが、融資上限額が少なかったり、無利子になるには激甚災害の指定が要件とされていたりと、災害を受けた農業者にとって必ずしも使い勝手の良い制度であるとは言えないと考える。今回の豪雨による被害のような、局地的な災害により被害を受けた農業者に対しても、無利子又は低利の制度資金の拡充を図るべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

回答(質問3 について)

 御指摘の「今回の豪雨による被害のような、局地的な災害により被害を受けた農業者」に対しては、株式会社日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金、御指摘の「農林漁業施設資金」等の長期低利の資金の融通等を行っている。一方で、国と地方公共団体の適切な役割分担を踏まえ、対象区域を明示しない激甚災害を指定するための基準である「激甚災害指定基準」(昭和三十七年十二月七日中央防災会議決定)に定める要件を満たす災害については国によるこれらの資金の無利子化等の措置を講じているが、御指摘の「局地的な災害」については、現時点において、御指摘のように「無利子又は低利の制度資金の拡充」を行うことは考えていない。

質問4

農業共済及び収入保険は、農業者が台風や冷害などの自然災害等によって受ける損失を補塡する制度であり、今回の豪雨被害の場合においても農業者の営農再開に寄与するものであると考える。現在、共済掛金及び保険料の二分の一を国が負担しているところ、農業者の負担割合を更に軽減するなど加入促進を図るべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

回答(質問4 について)

 御指摘の「共済掛金」又は「保険料」については、農業共済又は農業経営収入保険に加入する農業者が支払うべきものであるが、天候等の自然的条件に左右される等の農業の特性から、被害率やこれに対応した共済掛金率又は保険料率が高くなることにより、農業者の負担能力を超えるおそれがあることに鑑み、その負担を軽減し加入を促進することにより農業経営の安定を図るため、農業者の負担能力、財政事情、他の制度とのバランス等の観点から総合的に判断の上、政府が、農業保険法(昭和二十二年法律第百八十五号)第十条等に定める割合に相当する金額を負担しており、政府としては、これ以上の負担を行うことは考えていない。また、農業者の加入を促進するため、政府は、災害その他の不慮の事故等によって損失を受ける場合に農業者が補塡を受ける損失の範囲やこれに対応した共済掛金又は保険料の金額をその経営状況に応じて選択することを可能とし、加えて、農業共済組合においては、農業者に対し、その加入に当たりこの旨を周知しているところである。