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不動産特定共同事業法、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法等に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
不動産特定共同事業法、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法等の解釈及び運用について次のとおり質問する。
質問1
千葉県成田市小菅地区における不動産特定共同事業及び同事業に関連する土地の賃貸借に関し
1 令和六年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、「騒特法に基づき買い入れた土地の賃借を希望する方に対しましては、初めて契約する場合には、法令違反の有無等コンプライアンスチェックの上、騒特法に基づく建築規制の対象となる学校や住宅等の用地に供するものでないことや、都市計画法に基づく開発許可など、必要となる行政機関による許認可を取得していることなどを確認の上、取締役会等による審議を経て、適正な対価での貸出しを行うこととしております。」との国土交通省航空局長の答弁がある。これを踏まえ、次のとおり質問する。なお、答弁に際しては政府の把握するところを答弁ありたい。
ア 成田国際空港株式会社が当該土地の賃借人から最初に賃借の契約を提案された経緯、契約日及び現時点まで受領済みの賃料総額について答弁ありたい。
イ ここで言う「都市計画法に基づく開発許可など、必要となる行政機関による許認可を取得していることなどを確認」とは、許認可の事実の確認か、それとも、許認可の適正性の確認までをも含むのか。
ウ そもそも、行政機関の許認可の際、土地所有者である成田国際空港株式会社の同意が要件となっているものがあり、成田国際空港株式会社は行政機関による許認可の審査の時点で本事業への同意を表明していたと言えるのではないか。
エ 令和七年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、令和二年の借地契約の際、当該地区開発の資金調達計画が不動産特定共同事業によって行われることは承知していなかったとの成田国際空港株式会社社長の答弁がある。しかし、行政機関による許認可申請に際して提出された資金計画書を、成田国際空港株式会社として確認したとの答弁もある。そこに記された資金の調達先、金額等はどのようなものであったかを明らかにした上で、当該申請時点において未入金の外国資金等を含む計画であった場合、借地人の審査において、その実現可能性を成田国際空港株式会社はどのように確認したか。確認したならば、資金計画書の提出以後、令和二年の借地契約に至るまでの間に調達金額等の変更等が生じた場合は、再審査等の対応が適切に行われたか。
オ そもそも、賃借人のウェブサイト等を見れば、不動産特定共同事業を運営する者であることは容易に把握できる。また、前記の資金計画書等においても、成田国際空港株式会社として確認することができたはずであると考える。これらを踏まえれば、当該賃借人による資金調達が不動産特定共同事業によって行われることを承知していなかった旨の成田国際空港株式会社社長の答弁には無理があるのではないか。
カ 前記航空局長の答弁では「初めて契約する場合」とあるが、令和五年九月の契約更新時にも、航空局長答弁にあるチェック、確認を行ったとの理解で差し支えないか。行った場合、資金調達計画が不動産特定共同事業法によるものであることも含めたチェック、確認を行ったとの理解で差し支えないか。
キ 当該土地の賃借人のグループ会社は、平成二十四年及び二十五年に行政処分を受けている。それらの事情は令和二年に借地契約を締結する際、成田国際空港株式会社内で考慮されなかったのか。
ク 令和二年の借地契約及び令和五年の契約更新時、当該土地の造成終了後に行われる開発の実現可能性について、成田国際空港株式会社内でどのような資料を基に、どのような手続を経て判断したのか。
2 令和七年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、「当該土地というのは傾斜林地でありますけれども、そこについて造成事業を目的とした賃貸借契約ということで、本来、何か建築物がその上に乗った場合の、そういう事業を目的とした賃貸借契約で通常想定される賃料、これに対して、当該造成事業の最中は利益を生んでいないということがあって、不動産鑑定士と相談をいたしまして、それにふさわしい適正な価格ということで決定をしているということでございます。」との成田国際空港株式会社社長の答弁がある。
ア 当該土地の賃借に関し、造成工事が継続する限りにおいては、賃料は造成事業を目的としたものに留まるということか。政府の把握するところを答弁ありたい。
イ 当該土地の賃借に関し、傾斜林地における造成事業を目的とする間は賃料が廉価に抑えられている。同日の衆議院予算委員会第八分科会における成田国際空港株式会社社長答弁によれば、当該土地の賃借人は、約十九万平米の土地を年額約千八百万円の賃料で賃借しており、単純計算すれば一平米当たり年額百円を下回っている。一方、その資金調達において、開発後に賃借人が独自に想定する高額の土地の価格を基礎とした商品販売をすることは、不動産特定共同事業法その他の関係法令上何ら問題はないのか。
3 昨年六月の不動産特定共同事業者二社に対する行政処分について、同日の衆議院予算委員会第八分科会において「今御質問の行政処分というのは、賃借人ではなくて、賃借人のグループ会社に対して与えられたものでございます。(以下略)」との成田国際空港株式会社社長の答弁がある。
ア 親子会社における支配関係等を考慮することなく、形式的な法人格の別をもって、行政処分の効果を限定的に捉えるのは適切ではないと思われる。本件は、法人格否認の法理の適用すら排除されない可能性があると考える。賃借人による関係法令への違反の判断においては、これらを踏まえ、親子会社における実質的な支配関係を基礎とした判断をすべきと考えるが、政府の見解如何。
イ いずれにせよ、行政処分に関わっている可能性のある賃借人ではなく、土地を貸与する成田国際空港株式会社側がこのような主張をすることは、同社が特殊法人であることを踏まえれば、適切ではないと思われるが、政府の見解如何。
4 現在の成田国際空港株式会社社長の任期はいつまでと政府は承知しているか。
5 国家賠償法における「公共団体」に、成田国際空港株式会社は含まれ得るか。
回答(質問1 の1のアについて)
お尋ねの「経緯」については、平成二十七年十二月に御指摘の「賃借人」(以下「賃借人」という。)から成田国際空港株式会社(以下「会社」という。)に対して御指摘の「当該土地」(以下「当該土地」という。)の「賃借の契約」の「提案」がなされたものと承知している。また、お尋ねの「契約日」については、令和二年九月七日であり、お尋ねの「現時点まで受領済みの賃料総額」については、令和七年三月二十五日時点で八千二百二十六万六千三百七十七円であると承知している。
回答(質問1 の1のイについて)
お尋ねの「確認」については、御指摘の「許認可の事実の確認」であると承知している。
回答(質問1 の1のウについて)
お尋ねの「本事業への同意」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「成田国際空港株式会社の同意」は当該土地の都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第三十条第一項に規定する開発許可の申請に係る同法第三十三条第一項第十四号の同意であり、当該同意をしたからといって、御指摘の「千葉県成田市小菅地区における不動産特定共同事業」への同意をしたものではないと承知している。
回答(質問1 の1のエについて)
御指摘の「資金計画書」が、令和七年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、田村成田国際空港株式会社代表取締役社長(以下「田村社長」という。)が答弁した「事業計画や資金計画等」を指すものであるとすれば、当該資金計画等の内容及びこれを前提としたお尋ねについては、公にすることにより、賃借人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えており、お答えすることは差し控えたい。
回答(質問1 の1のオについて)
お尋ねについては、御指摘の「不動産特定共同事業を運営する者」は一の1のキで御指摘の「賃借人のグループ会社」であり賃借人自身ではないこと及び当該土地の造成工事に要する御指摘の「資金調達が不動産特定共同事業によって行われる」ものではないことを受けて、会社において御指摘の「答弁」がなされたものと承知している。
回答(質問1 の1のカについて)
前段のお尋ねについては、令和六年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、平岡国土交通省航空局長が「初めて契約する場合には、法令違反の有無等コンプライアンスチェックの上、騒特法に基づく建築規制の対象となる学校や住宅等の用地に供するものでないことや、都市計画法に基づく開発許可など、必要となる行政機関による許認可を取得していることなどを確認」と答弁した内容のうち、会社において「コンプライアンスチェック」の上、「学校や住宅等の用地に供するものでないこと」及び「必要となる行政機関による許認可」が継続していることについて確認したものと承知している。
後段のお尋ねについては、会社において、御指摘の「資金調達計画が不動産特定共同事業法によるものであること」については確認していないものと承知している。
回答(質問1 の1のキについて)
お尋ねについては、令和七年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、田村社長が「今御質問の行政処分というのは、賃借人ではなくて、賃借人のグループ会社に対して与えられたものでございます。千葉県及び成田市におきまして法令許可を賃借人に対して与えておりまして、当該行政処分がなされた後に、千葉県及び成田市に当該行政処分が法令許可の取消し事由に当たるかどうかというのを確認をいたしましたところ、その時点で取消し事由に当たらないとの回答を得たことから、契約の解除には至っていないものでございます。なお、この点に関しましては、当社顧問弁護士にも確認をしているところでございます。」と答弁したとおりであると承知している。
回答(質問1 の1のクについて)
お尋ねの「令和二年の借地契約及び令和五年の契約」については、いずれについても、当該土地の造成工事の実施を目的とした契約であり、会社において、御指摘の「造成終了後に行われる開発の実現可能性」についての判断はなされていないものと承知している。
回答(質問1 の2のアについて)
お尋ねのとおりである。
回答(質問1 の2のイについて)
お尋ねの「その他の関係法令」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「千葉県成田市小菅地区における不動産特定共同事業」を営む事業者は不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号。以下「法」という。)第三条第一項の都道府県知事の許可を受けたものであり、個別の事業者に対する監督は、当該許可を行った者において行われるため、お尋ねの「商品販売」が法上問題ないかどうかについては、当該都道府県知事において判断されるべきものであると考えている。
回答(質問1 の3のアについて)
お尋ねについては、会社において判断されるべきものであると考えているが、御指摘の「親子会社における支配関係等を考慮する」ことについて法令上特段の定めはなく、政府としては、基本的には、会社において、御指摘のように「親子会社における実質的な支配関係を基礎とした判断をすべき」とまでは考えていない。
回答(質問1 の3のイについて)
お尋ねについては、一の3のアについてでお答えしたとおりであり、御指摘のように「適切ではない」とまでは考えていない。
回答(質問1 の4について)
お尋ねについては、田村社長は令和五年六月二十一日に代表取締役社長に選任され、また、会社の定款において、取締役の任期は、「選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」こととされているものと承知している。
回答(質問1 の5について)
お尋ねについては、会社の社員等が国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第一条第一項の「公権力の行使」に当たる行為を行う場合には、会社は同項の「公共団体」に含まれ得ると考えている。
質問2
福岡県水巻町における不動産特定共同事業に関し
令和六年四月十七日の衆議院国土交通委員会において、福岡県北九州市及び水巻町におけるバナナの苗の生産、出荷については承知をしていないとの農林水産省農産局農産政策部長の答弁がある。しかし、福岡県遠賀郡水巻町頃末南二丁目十三番一号に所在する対象不動産における不動産特定共同事業の商品においては、「バナナを中心に年間百二十万本の苗が生産されており」との広告・募集が行われている。一方、同年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、「不動産特定共同事業の対象となる不動産取引に実態がないという場合には、不動産の取引内容に関しまして、著しく事実に相違する広告や、又は著しく人を誤認させる広告を禁止する規制が不動産特定共同事業法にございまして、この規定に抵触するおそれがあるというふうに考えられます。また、同じく不動産特定共同事業法の中で契約の締結の勧誘に関する規制があり、そこでは、その契約に関する重要事項につきまして、故意に事実を告げなかったり、また、不実のことを告げることを禁止することになっております。この勧誘の規制に抵触するおそれも考えられるところでございます。」との国土交通省不動産・建設経済局長の答弁がある。
1 これらを踏まえ、当該事業に関する不動産特定共同事業法上の両答弁の整合性について答弁ありたい。
2 当該事業においては、土地・建物の所有者と不動産特定共同事業者が同一の者である。この点に関し、令和六年四月十七日の衆議院国土交通委員会において「利害関係人から保有している資産を購入をして対象不動産とするというような場合には、投資家に対しまして特段の注意喚起を促す必要があるという認識を申し上げさせていただいた上で、その契約などの際に、利害関係人との関係などの情報を丁寧に書類に記載した上で説明をする、こういう仕組みについて御答弁を申し上げました。この仕組みによりまして、利害関係人でない場合に比べますと、利害関係人との取引がある場合については投資家に対しまして手厚い情報提供がされているということでございまして、投資家の方でそういった開示される情報を適切に判断していただいて投資をしていただく必要があるというふうに思っております。」との不動産・建設経済局長の答弁がある。当該事業のようなケースにおいては、利害関係人取引に関して適切な情報提供がなされているとはいえず、投資家保護として不十分であると考えるが見解如何。
回答(質問2 の1について)
お尋ねの「不動産特定共同事業法上の両答弁の整合性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「国土交通省不動産・建設経済局長の答弁」は、御指摘の「福岡県水巻町における不動産特定共同事業」に関するものではない。
回答(質問2 の2について)
お尋ねの「投資家保護として不十分である」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「当該事業のようなケース」が「福岡県水巻町における不動産特定共同事業」を指すものであるとすれば、当該事業を営む事業者は法第三条第一項の都道府県知事の許可を受けたものであり、個別の事業者に対する監督は、当該許可を行った者において行われるため、お尋ねの「利害関係人取引に関して適切な情報提供がなされている」かどうかについては、当該都道府県知事において判断されるべきものであると考えている。
質問3
千葉県と福岡県の両事業に関し
令和六年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、「商品間での資金移動につきましては、いわゆる不動産特定共同事業法におきましては、分別管理ということで、契約に係る財産につきましては、ほかの不動産特定共同事業契約に係ります財産とは分別して管理しなければならないという仕組みになってございます。」との不動産・建設経済局長の答弁がある。ここまでの指摘を踏まえ、千葉県成田市小菅地区、福岡県水巻町の両不動産特定共同事業における財産の分別管理のあり方を厳格にチェックすべきと考えるが見解如何。
回答(質問3 について)
お尋ねの「厳格にチェック」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「千葉県成田市小菅地区、福岡県水巻町の両不動産特定共同事業」を営む事業者は法第三条第一項の都道府県知事の許可を受けたものであり、個別の事業者に対する監督は、当該許可を行った者において行われるため、お尋ねの「財産の分別管理」が適切に行われているかどうかについては、当該都道府県知事において判断されるべきものであると考えている。