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米国で食用赤色三号が使用許可取消しになったことに関する質問主意書
経過状況:答弁受理
二〇二五年一月十五日、米国食品医薬品局(FDA)は、米国連邦食品医薬品化粧品法のデラニー条項により、食品添加物「食用赤色三号」の使用許可を取り消すことを発表した。
食用赤色三号はこれまでの調査で、雄ラットにおいて発がん性が認められていた一方、ヒトとラットではその作用が相当異なることから使用が許可されていた。しかし、デラニー条項では「動物やヒトにがんを引き起こすと考えられる物質は食品添加物として使用できない」とされており、ヒトの健康に影響を及ぼすおそれがなくても、動物に発がん性が認められればこの条項に該当するという主張があり、使用が禁止されることになった。また既に、ドイツやポーランドにおいては、食品添加物としての使用が禁止されている。
我が国において、食用赤色三号は天然に存在しない添加物として分類されているものの、食品添加物としての使用が認められている。熱に強い特性を活かして焼き菓子等の着色に用いられたり、タンパク質への着色に優れることから、かまぼこや魚肉ソーセージなどの製品に利用されている。また、一般的な日本人の食用赤色三号の摂取量は、毎日一生摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される摂取量の〇・〇四八%と微量であるため、これまで安全性上の問題とされてこなかった。
消費者庁はウェブサイトにて、現時点での見解として、食用赤色三号については食品添加物としての通常の使用の範囲内では安全性上の懸念はないとしているが、消費者及び食品安全を担当する伊東良孝大臣は一月十七日の定例会見で、米国の決定内容を精査し、諸外国の動向等も踏まえて、科学的見地から我が国の対応の要否を含め検討する旨述べている。諸外国との関係も含めて、以下、政府に対し質問する。
質問1
二月十八日の食品衛生基準審議会添加物部会での取りまとめによると、国際的な評価結果を踏まえて、食用赤色三号の安全性は人では問題とならない旨述べている。海外での論文だけでなく、国内での調査や研究の必要性はないのか、見解を伺う。
回答(質問1 について)
食用赤色三号については、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号。以下「法」という。)第十二条の規定に基づき、昭和二十三年に食品添加物として指定されており、また、令和七年二月十八日に開催された食品衛生基準審議会添加物部会(以下「添加物部会」という。)において、国際的な評価に加え、国内における摂取量に関する調査及び当該調査に基づき行った摂取量の推計に関する研究の結果等も踏まえ、食品添加物としての指定を取り消し、又は法第十三条第一項に規定する食品添加物としての使用に係る既存の基準を改正する必要性の有無について議論され、直ちにそれらの必要はないとの結論を得ている。
質問2
伊東大臣は諸外国の動向等を踏まえて我が国の対応の要否を検討すると述べている。多くの国で使用が認められている一方、米国や、ドイツなどのEU諸国では使用が禁止されている。より厳しい条件の国の動向や考え方を参考にすべきと考えるが、政府の見解を伺う。
回答(質問2 について)
食品添加物については、我が国と諸外国とでは、その定義や使用が可能な食品の範囲等が異なっていること、また、使用が可能でないことをもって、必ずしも各国において使用を禁止する措置がとられたものであるとは限らず、需要がないなどの理由で使用されていない場合もあることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、我が国においては、一般に、法第十二条の規定に基づき使用が可能なものを指定しており、その指定の可否を判断するに当たっては、食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第二十四条第一項第一号に基づいて行う同法第十一条第一項に規定する食品健康影響評価及び食品衛生基準審議会における審議結果を踏まえることとし、また、法第十三条第一項の規定により、必要に応じて規格基準を定めているほか、科学的知見の集積や国際整合性を踏まえて、必要に応じて規格基準を見直すこととしている。
その上で、食用赤色三号については、令和七年二月十八日に開催された添加物部会において、国際的な評価や国内での摂取量に関する調査及び当該調査に基づき行った摂取量の推計に関する研究の結果等のほか、米国において食用赤色三号の使用許可を取り消す判断に至った根拠や経緯も踏まえて、食品添加物としての指定を取り消し、又は法第十三条第一項に規定する食品添加物としての使用に係る既存の基準を改正する必要性の有無について議論され、直ちにそれらの必要はないとの結論を得ている。なお、「ドイツなどのEU諸国では使用が禁止されている」との御指摘については、欧州連合加盟国では、食品添加物に係る規則において、さくらんぼの砂糖漬け等について食用赤色三号を食品添加物として使用することが可能とされているものと承知している。
質問3
今後、食用赤色三号を使用して日本で製造された加工食品は、米国への輸出ができなくなると推察される。また米国に追随して食用赤色三号を禁止する国が出てくることも予想される。今回の米国の決定が、我が国にどの程度の影響を与えると考えているか、政府の見解を伺う。
回答(質問3 について)
御指摘の「食用赤色三号を使用して日本で製造された加工食品」について網羅的に把握していないため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
質問4
食用赤色三号を、より安全性の高いもの、より輸出に適したものへ代替することはできないか。
回答(質問4 について)
お尋ねの「より安全性の高いもの」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、食品添加物については、安全性等の基準に照らし、人の健康を損なうおそれのない場合には、法第十二条の規定に基づき、国内において使用が可能なものを指定し、法第十三条第一項の規定により、必要に応じて規格基準を定めている。また、お尋ねの「より輸出に適したもの」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般的に、食品企業が食用赤色三号の代替として他の食品添加物を使用することは可能であると考えている。
質問5
消費者庁は加工食品の生産者に対して、代替製品などについて情報提供や指導をする予定があるか伺う。
回答(質問5 について)
お尋ねの「代替製品」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、消費者庁は、食品添加物の安全性を確保することを目的として、法第十二条の規定に基づき国内において使用が可能なものを食品添加物として指定するための検討や、法第十三条第一項の規定により、必要に応じて規格基準を定めるための検討を行う立場にあるところ、食品企業等に対し、食用赤色三号の代替となる食品添加物について情報提供を行う予定はなく、指導を行う立場にはない。