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トルコ国籍者への査証免除措置に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
現在、少なくない数のトルコ共和国国籍者が、就労目的で来日するにもかかわらず、観光目的の査証免除措置を本来の趣旨を逸脱して利用し、日本への入国後には難民認定申請を行い、滞在しているとの指摘があり、社会的に大きな問題となっている。我が国とトルコ共和国は、昨年、外交関係樹立百周年の記念すべき年を迎えたが、事実に基づかない難民認定申請問題を放置すれば、両国民の友情の歴史に影を落としかねないと考える。
そこでお尋ねする。
質問1
過去二十年間のトルコ共和国国籍の難民認定申請者数及び難民認定者数について、それぞれ五年ごとの合計を可能な限り明らかにしたうえで、難民不認定者数は、同国国籍の難民認定申請者数の何パーセントか、同様に過去二十年についてそれぞれ五年ごとの数字を可能な限り示されたい。
回答(質問1 について)
平成十六年から令和五年までにおけるトルコ国籍の?難民認定申請(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二第一項の難民の認定の申請をいう。以下同じ。)をした者の数及び?難民と認定した者に係る「五年ごとの合計」の数について、政府として把握している限りでお示しすると、それぞれ以下のとおりである。
平成十六年から平成二十年まで ?五百五十二人 ?零人
平成二十一年から平成二十五年まで ?千五百三十五人 ?零人
平成二十六年から平成三十年まで ?四千六百七十二人 ?零人
平成三十一年から令和五年まで ?五千五百二十八人 ?四人
また、「難民不認定者数は、同国国籍の難民認定申請者数の何パーセントか」とのお尋ねについては、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成十六年から令和五年までの間に難民認定申請をした者のうち、難民の認定をしない処分をされたものの割合についてのお尋ねであれば、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。
質問2
令和四年度及び令和五年度のトルコ共和国国籍の難民認定申請者数と難民認定者数を、それぞれ可能な限り明らかにしたうえで、令和五年度は、令和四年度に比べてそれぞれ何パーセント増加又は減少したか、数字を可能な限り示されたい。
回答(質問2 について)
お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難であるが、令和五年におけるトルコ国籍の難民認定申請をした者の数は二千四百六人であり、令和四年の四百四十五人に比して約四百四十・七パーセント増加しており、また、令和五年におけるトルコ国籍の難民と認定した者の数は三人であり、令和四年の一人に比して二百パーセント増加している。
質問3
産経新聞取材班「国会議員に読ませたい「移民」と日本人」(産経新聞出版、令和七年)は、「入管関係者によると、クルド人の難民申請者は毎年、冬を迎え農業や牧畜が農閑期となる十月〜十一月ごろに急増。翌年、放牧の季節が始まる五月〜六月ごろ帰国者が増えるという。二〇二三年の一年間のトルコ国籍の申請者約二千四百人のうち、三割に当たる七百人近くは翌二十四年六月ごろまでにすでに帰国した。入管関係者は「彼らは夏前になると「問題が解決した」と言って難民申請を取り下げ帰国していく。秋になると同じ人物が来日し、「また問題が起きた」といって難民申請する。かつての東北地方からの出稼ぎのように、農閑期に合わせた就労目的と考えられる」。」と記す。そこで、過去二十年間のトルコ共和国国籍の難民認定申請者数の、各月別の合計をそれぞれ可能な限り明らかにされたい。
回答(質問3 について)
お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。
質問4
トルコ国籍者が来日する際における査証免除措置の趣旨を逸脱した目的外の利用、及び難民認定制度の濫用あるいは誤用が疑われる申請が多数存在するとの指摘について、政府の認識如何。
回答(質問4 について)
お尋ねの「査証免除措置の趣旨を逸脱した目的外の利用」及び「多数存在する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、政府としては、「査証免除措置」及び難民認定制度がそれぞれの目的に沿って適切に利用されるべきであると考えている。
質問5
我が国は、過去に、パキスタン・イスラム共和国、バングラデシュ人民共和国及びイラン・イスラム共和国に対する査証免除措置を一時停止したが、その結果、これらの国々との友好関係が決定的に損なわれたか、政府の認識如何。
回答(質問5 について)
お尋ねの「友好関係が決定的に損なわれた」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、政府としては、パキスタン、バングラデシュ及びイランそれぞれとの伝統的な関係を踏まえ、これらの国々との友好関係の発展に努めてきたところである。
質問6
トルコ共和国国籍者への査証免除措置を、一時停止すべきと考えるが、政府の見解如何。また、政府が、同国国籍者への査証免除措置の一時停止を考えていないならば、難民認定制度の濫用又は誤用的な申請を抑止するためにいかなる施策を実施し、それによって同国国籍の難民認定申請者数にどのような変化があったか、それぞれ明らかにされたい。
回答(質問6 について)
前段のお尋ねについては、令和七年二月二十七日の衆議院予算委員会第三分科会において、松本外務大臣政務官が「トルコに対する査証免除措置というのは、トルコ国との人的交流の促進を通じた両国の間の友好関係の発展に寄与するものであるというふうに認識をしております。現時点でトルコに対する免除措置を直ちに停止する必要があるとは考えておりません。」と述べたとおりである。
後段のお尋ねについては、濫用・誤用的な申請を抑制し、真の難民の迅速な保護を図ることを目的として、平成二十七年及び平成三十年に、就労等を目的として申請を行う者に対しては、就労や在留を許可しない措置を講ずるなどしたところ、平成三十年の難民認定申請をした者の数は、平成二十九年の一万九千六百二十九人(そのうちトルコ国籍の者の数は千百九十五人)から一万四百九十三人(そのうちトルコ国籍の者の数は五百六十三人)へと同年と比べてほぼ半減した。また、退去強制令書発付後に難民認定申請等を行った者も含まれる送還忌避者への対応等の観点から、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律(令和五年法律第五十六号)による改正後の入管法において、退去強制令書の発付を受けた者が難民認定手続中である場合の送還を停止することの例外を定めたところである。