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戦没者等の遺族に対する特別弔慰金等に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
政府は、戦後八十年に当たり、戦没者等の遺族に対して特別弔慰金の支給措置を規定する法律案を閣議決定した。
現在の納税者の大半は戦争を知らない世代であるが、今般の措置の社会的な意義について広く国民の理解が得られるように、以下質問する。
質問1
「戦没者」の定義について、いつからいつまでの戦争で亡くなられた方々を指すのか、亡くなられた方々の範囲には民間人や子どもも含まれるのか、「戦没者」を規定した法律は何か、それぞれ明らかにされたい。
回答(質問1 について)
お尋ねの「戦没者」について、現行法令上、確立された定義があるとは承知していないが、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法(昭和四十年法律第百号。以下「法」という。)においては、国と雇用関係又は雇用類似の関係にあった戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)に規定する軍人軍属及び準軍属(以下「軍人軍属等」という。)が戦争公務等により死亡した場合に、当該死亡した者の遺族に特別弔慰金を支給することとしており、軍人にあっては昭和六年九月十八日以後における戦争公務等により死亡した場合に、その他の軍人軍属等にあっては昭和十二年七月七日以降における戦争公務等により死亡した場合に、法の適用の対象となる。
また、お尋ねの「「戦没者」を規定した法律」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法律の題名に「戦没者」という文言が用いられているものとしては、法を含め、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法(昭和三十八年法律第六十一号)等、七件の法律が存在する。
質問2
これまで支給されてきた戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の総額と受給者の総数をそれぞれ可能な限り明らかにされたい。
回答(質問2 について)
お尋ねの「これまで支給されてきた戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の総額と受給者の総数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法に基づき、法の制定から令和六年三月三十一日までに特別弔慰金の支給のために発行された記名国債の総額は約二兆千五百億円であり、特別弔慰金を受ける権利を有する者として裁定された者の総数は延べ約七百六十万人である。
質問3
今回の法改正による支給で想定される受給者の総数と予算額をそれぞれ明らかにされたい。
回答(質問3 について)
お尋ねの「今回の法改正による支給で想定される受給者の総数と予算額」の意味するところが必ずしも明らかではないが、今国会に提出している戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案による改正後の法による令和七年四月一日を基準日とする特別弔慰金について、これを受ける権利を有する者として裁定される者の総数は約五十七万人と、また、その数を前提として、特別弔慰金の支給のために発行する記名国債の総額は約千五百六十八億円と見込んでいる。
質問4
これまで旧軍人・軍属への恩給などの支給は総務省が所管し、戦没者遺族への特別弔慰金支給は厚生労働省が所管してきたが、制度が錯綜していて一般的には大変分かりにくいと考える。
1 両制度を区別して所管する理由は何か。
2 両制度について、戦後八十年を機に、戦争を知らない若い世代の納税者にも分かりやすい制度に統合して改めることが必要だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
回答(質問4 について)
お尋ねの「両制度」の指す具体的な内容及び「戦争を知らない若い世代の納税者にも分かりやすい制度に統合して改める」の趣旨が必ずしも明らかではないが、公務員が相当年限忠実に勤務して退職した場合、公務による傷病のため退職した場合、又は公務のために死亡した場合において、これらの者及びその遺族の生活の支えとして給付される国家補償の性格を持つ年金制度である恩給制度と、先の大戦において戦争公務等により死亡した軍人軍属等に思いをいたし、国として弔慰の意を表するため、これらの者の遺族に対し特別弔慰金を支給する特別弔慰金制度とは、その対象及び目的が異なることから、それぞれの制度趣旨に基づいて適切に運用することが重要であると考えており、お尋ねのように両制度を「統合して改めることが必要」とは考えていない。