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欠落した日朝交渉記録をめぐる政府の対応に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(以下、家族会という)と支援団体の北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(以下、救う会という)は、本年二月十六日の合同会議で決定した「今後の運動方針案」において、「小泉訪朝前に二回持たれた秘密交渉の記録が外務省にないという問題について追及する」と明記している。日本政府は、家族会の要望に誠実に対応する責務があると考える。
政府は、同年三月四日付け答弁書(内閣衆質二一七第六〇号)において、二〇〇二年九月十七日の日朝首脳会談の直前に田中均外務省アジア大洋州局長(当時)が北朝鮮側と行った二回分の交渉記録が「存在しない」ことを公式に認めた。
外務当局者による重要な国際交渉は、政府首脳への正確な報告のため、後任担当者に遺漏なく引き継ぐため、総理大臣や外務大臣の了承を得ないまま実務者レベルで秘密合意を結んだのではないかといった疑念を呼ばないためにも、記録を残すのが常識である。それが「存在しない」となると、記録に残せないような何らかの「裏合意」を行った可能性を疑われても仕方がないと考える。
石破内閣のうち、総理を含む三名の大臣(岩屋毅外務大臣、中谷元防衛大臣)が日朝国交正常化推進議員連盟(以下、日朝議連という)の主要メンバーとして活動してきた。日朝議連は、二〇一八年六月二十一日に開いた総会の講師に田中均氏と在日本朝鮮人総連合会の機関紙「朝鮮新報」の金志永・平壌支局長を招いている。家族会の反対にもかかわらず石破総理が主張してきた東京と平壌への「連絡事務所」設置と拉致被害者に関する「日朝合同調査」は、田中氏の進言に基づくところが大きいと言われている。
岩屋外務大臣は本年三月四日の会見で、産経新聞記者の、記録が残されなかった原因、理由や、一体どういう交渉をしたのかを、当事者たる田中均氏に聞くなり、記録の提出を求めるなどの対応をする考えの有無を問う旨の質問に対し、「田中元局長への聴取も含め、改めて確認することは考えておりません」と答えた。
そこで質問する。
質問1
岩屋外務大臣が、自らも参加した日朝議連総会の講師に田中氏を呼びながら、外交の信頼性を確保する上で非常に重要な「記録が残されなかった理由」については聴取できないとする理由は何なのか。
回答(質問1 及び質問2 について)
先の答弁書(令和七年三月四日内閣衆質二一七第六〇号)一及び二についてでお答えした「安倍内閣総理大臣(当時)及び岸田外務大臣(当時)が、平成三十年六月十八日の参議院決算委員会及び平成二十八年三月八日の参議院予算委員会での答弁においてそれぞれ述べた日朝間の交渉の記録」が「存在しない」ことへの対応については、岸田外務大臣(当時)が平成二十八年三月八日の参議院予算委員会での答弁において「この記録に関しましては、私自身、私の立場で確認をさせていただきました。詳細、中身については控えますが、これ以上この問題について、改めてこの確認をするということは考えておりません。」と述べ、また、岩屋外務大臣が御指摘の令和七年三月四日の記者会見において「田中元局長への聴取も含め、改めて確認することは考えておりません。」と述べたとおりであるが、その理由については、今後の日朝間の協議を行う上で、現時点でその必要があるとは考えていないためである。また、お尋ねの「公務員の職業倫理の確立に努めるべき」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、日朝間の交渉の記録については、岸田外務大臣(当時)が平成二十八年三月八日の参議院予算委員会での答弁において述べたとおり、その扱い等において不都合が生じないように最善を尽くしつつ、交渉において万全の体制で臨めるように努力を続けていく考えである。
質問2
交渉内容の詳細は公表できないとしても、田中氏が記録を残さなかった理由については、監督責任を有する外務大臣が聴取して公表し、公務員の職業倫理の確立に努めるべきと考えるが、石破内閣の見解を問う。
回答(質問1 及び質問2 について)
先の答弁書(令和七年三月四日内閣衆質二一七第六〇号)一及び二についてでお答えした「安倍内閣総理大臣(当時)及び岸田外務大臣(当時)が、平成三十年六月十八日の参議院決算委員会及び平成二十八年三月八日の参議院予算委員会での答弁においてそれぞれ述べた日朝間の交渉の記録」が「存在しない」ことへの対応については、岸田外務大臣(当時)が平成二十八年三月八日の参議院予算委員会での答弁において「この記録に関しましては、私自身、私の立場で確認をさせていただきました。詳細、中身については控えますが、これ以上この問題について、改めてこの確認をするということは考えておりません。」と述べ、また、岩屋外務大臣が御指摘の令和七年三月四日の記者会見において「田中元局長への聴取も含め、改めて確認することは考えておりません。」と述べたとおりであるが、その理由については、今後の日朝間の協議を行う上で、現時点でその必要があるとは考えていないためである。また、お尋ねの「公務員の職業倫理の確立に努めるべき」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、日朝間の交渉の記録については、岸田外務大臣(当時)が平成二十八年三月八日の参議院予算委員会での答弁において述べたとおり、その扱い等において不都合が生じないように最善を尽くしつつ、交渉において万全の体制で臨めるように努力を続けていく考えである。