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病児保育に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 太栄志
会派 立憲民主党
公式リンク 第217回国会 / 質問答弁

近年、保育に対する需要が多様化する中で、仕事と子育ての両立支援のために病児保育の更なる環境整備が必要である。現在、多くの自治体で病児保育施設の運営が困難となり、地域社会の重要な福祉インフラが失われつつある。共働き家庭やひとり親家庭にとって、病児保育事業は仕事と育児を両立させるための不可欠な制度であり、その安定的かつ継続的な運営が求められていると考える。

右の点を踏まえ、以下質問する。

質問1

病児保育に関する現在の制度や取組に関する課題について、政府の認識を示されたい。

回答(質問1 について)

 政府としては、病児保育事業(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の三第十三項に規定する病児保育事業をいう。以下同じ。)は、児童が疾病にかかった場合に必要となるものであるため、利用児童数の変動が大きいという特性があることから、安定的な運営を確保することが課題であると認識している。

質問2

病児保育施設は、病児が対象であり、感染症の流行状況等によって利用児童数の変動も大きいことから、経営が成り立ちづらい構造上の理由があると考える。実際、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「病児保育事業の運営状況に関する調査研究報告書」(令和五年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業)によると、病児保育施設の六割程度が赤字運営と回答している。

そこで、赤字施設に対する補填を行うか、又は現在行われている子ども・子育て支援交付金の補助単価について、利用児童数ではなく、定員数に基づいた積算方法とすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

回答(質問2 について)

 御指摘の「赤字施設に対する補填」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、一についてで述べたとおり、病児保育事業は、児童が疾病にかかった場合に必要となるものであるため、利用児童数の変動が大きいという特性があることから、御指摘のように「定員数に基づいた積算方法」とすることは適当ではないと考えているが、いずれにせよ、政府としては、病児保育事業の安定的な運営が図られるよう、病児保育事業に係る子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第六十八条の二の規定に基づく交付金について、利用児童数にかかわらず交付額が変動しない基本分の単価を設定しており、さらに、令和六年度予算においては、令和五年度予算において創設した「病児保育事業(病児対応型・病後児対応型)における当日キャンセル対応について」(令和五年三月二十九日付け厚生労働省子ども家庭局保育課事務連絡)に基づく「前日までの利用申し込みの状況を踏まえて受入体制を維持していることを一定程度評価するための加算(当日キャンセル対応加算)」を引き続き実施するとともに、当該基本分の単価を引き上げる見直しを行っており、引き続き、こうした取組を進めてまいりたい。

質問3

病児保育の利用対象は、原則として居住自治体の住民に限られ、利用者が伸びない一因となっている。大和市、綾瀬市などの神奈川県央五市一町一村は、病児保育事業の広域利用に関する協定を締結し、令和五年四月から病児保育施設の相互利用が可能になった。居住市町村外にある施設を利用するニーズは高く、同事業の広域連携は、自治体間の地域差の解消に繋がる等の利点もあると考える。

このような広域連携を更に推進する必要があるところ、広域連携の実施に当たり必要となるシステムやルールの整備に係る経費や広域連携を実施する施設を新たに開設する場合の施設整備費について政府が支援を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

回答(質問3 について)

 市区町村においては、御指摘のような「広域連携の実施に当たり必要となるシステムやルールの整備に係る経費や広域連携を実施する施設を新たに開設する場合の施設整備費」については、「令和六年度保育対策総合支援事業費補助金(保育所等改修費等支援事業等(令和六年度補正予算分)分)の国庫補助について」(令和七年二月十三日付けこ成保第百二十九号こども家庭庁長官通知)に基づく「保育所等業務効率化推進事業(保育所等におけるICT化推進等事業)」への補助や「子ども・子育て支援施設整備交付金の交付について」(令和五年八月二十二日付けこ成事第四百五十三号こども家庭庁長官通知)に基づく「病児保育施設の創設及び改築整備」に必要な経費への補助等を活用することが可能であり、政府としては、これらの財政支援等を活用して御指摘の「広域連携」を「実施」している取組について、「「病児保育事業」における広域連携の推進について」(令和五年十二月十二日付けこども家庭庁成育局保育政策課事務連絡)において、「広域連携の実施により病児保育の安定的な事業運営や質の確保、ニーズへの対応等について取り組んでいる自治体について、その取組内容等を事例として取りまとめ」、地方公共団体及び御指摘の「病児保育施設」に対し周知しているところであり、引き続き、こうした取組を進めてまいりたい。