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無期懲役受刑者の仮釈放に関する質問主意書

経過状況:

内閣転送

提出者 藤原規眞
会派 立憲民主党
公式リンク 第217回国会 / 質問

刑法第二十八条は、「懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは(中略)無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる」と定めており、改悛の状のある無期刑受刑者を、終身拘禁することを想定していない。

平成十六年の刑法改正前では、有期刑の最長は二十年であった。そこで、無期刑受刑者の多くは、服役十五年ほどで仮釈放されていた。昭和五十年には、百十四名の無期刑受刑者が仮釈放されたが、その内で、服役二十年を超えていた者は、わずか五名であった。

平成の時代になって、犯罪被害者が声高く厳罰化を訴えた。最高検察庁は、その声に応えるため、法律に基づかずに、平成十年六月十八日に最高検検第八百八十七号次長検事発検事長・検事正宛て依命通達「特に犯情悪質等の無期懲役刑確定者に対する刑の執行指揮及びそれらの者の仮出獄に対する検察官の意見をより適正にする方策について」(以下、「次長検事通達」と称す)を発出した。

次長検事通達は、法律に基づかない通達であったので、非公開であった。それが暴露されたのは、朝日新聞の平成十四年一月八日夕刊の記事であった。この記事によれば、検察がいわゆるマル特事件と指定した無期刑受刑者については「終身か、それに近い期間、服役させるべき」と明記していたという。しかし、無期刑受刑者の誰が、マル特事件に指定されているかは、本人にも知らされていない。古畑恒雄弁護士(元法務省保護局長)が支援している吉野受刑者は、マル特事件に指定された無期刑受刑者である可能性が否めないが、彼にその事実は知らされていないと考えられる。

平成十六年の刑法改正で、有期刑の最長は三十年となった。この時点で、世論を考慮して厳罰化を先取りした次長検事通達は、廃止すべきであったと考えるが、それは廃止されなかった。

平成十九年に制定された更生保護法第三十四条第一項では、刑務所長は、無期刑受刑者についても「期間が経過し、かつ、法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方(更生保護)委員会に対し、仮釈放を許すべき旨の申出をしなければならない」と定めている。しかし、千葉刑務所で四十年以上服役している吉野受刑者は、令和五年五月の運動会で受刑者代表として選手宣誓をしていて、刑法第二十八条で規定している仮釈放の要件を満たしていると思われるが、千葉刑務所長は、これまで一度も、関東地方更生保護委員会に対し、「仮釈放を許すべき」旨の申出をしていない。

平成二十一年三月六日の法務省保護局長通達(法務省保観第百三十四号、以下、「保護局長通達」と称す)では、無期刑受刑者の仮釈放審理に当たっては、検察官の意見を聴き、かつ、被害者等については面接等調査をすること、無期刑受刑者の仮釈放審理は刑事施設の長からの申出がない場合であっても、刑の執行開始日から三十年を経過したときは、経過の日から一年以内に職権による仮釈放審理を行う旨記載している。しかし、吉野受刑者は、四十年以上服役しているにもかかわらず、職権による仮釈放審理を受けていない。

以上のような経緯で、無期刑受刑者の多くは、仮釈放を認められなくなっていると考える。新規に仮釈放を認められた無期刑受刑者は、令和元年の十六名から、二年の八名、三年と四年の七名、そして、令和五年には五名へと激減している。仮釈放を認められた者の平均刑期は、令和元年が三十六年だったのに対して、令和四年には四十五年三か月と延びている。

これらを踏まえ、次のとおり質問する。

質問1

平成二十六年一月から令和五年十二月までの間に地方更生保護委員会による、無期刑受刑者の仮釈放の許否の判断がなされたのは、三百八十五件である。これらが、すべて刑務所長の申出による審理と仮定しても、各刑務所長は、年平均三十九件しか申出をしていないことになる。令和五年末の刑務所在所の無期刑受刑者数は千六百六十九名である。なぜ、年平均三十九件というようなわずかな件数しか、刑務所長が審理の申出をしていないのか、その理由を明らかにされたい。

回答

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質問2

吉野受刑者は、刑法第二十八条で規定している仮釈放の要件を満たしていると思われるが、千葉刑務所長は、関東地方更生保護委員会に「仮釈放を許すべき」旨の申出を一度もしていない。その理由を伺いたい。

回答

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質問3

平成二十六年から令和五年の間に、全国の地方更生保護委員会が無期刑受刑者の仮釈放について審理した三百八十五件のうち、「許可しない」と決定したのは、三百二名(七十八・四%)である。不許可率が、なぜこのように高いのか、その理由を伺いたい。

回答

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質問4

保護局長通達によって、地方更生保護委員会は、刑の執行開始日から三十年を経過したとき、職権による仮釈放審理をするように義務付けられている。それにもかかわらず、吉野受刑者は、服役三十年および四十年の時点で、関東地方更生保護委員会の職権による審理を受けていない。その理由を伺いたい。

回答

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質問5

國學院大學名誉教授の横山實氏は、令和五年三月に発行された國學院法學六十巻四号で、「無期受刑者の仮釈放問題:殺人犯は、刑務所内で死ぬべきなのか」という論稿で、平成十年に発せられた次長検事通達の廃止を要望している。同通達の廃止ができない理由を伺いたい。

回答

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質問6

次長検事通達は、法律に基づかない通達であったので、行政府による立法権の侵害と思われる。行政府の長である内閣総理大臣は、同通達による立法権の侵害があったと認めるのか否かについて回答していただきたい。

回答

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