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年金事務所における厚生年金保険料等の徴収業務の運用に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
厚生年金保険料等の徴収は、日本年金機構(年金事務所)が行っており、事業主は、被保険者負担分の保険料と事業主負担分の保険料を合わせて納付する義務を負っている。保険料等の納期限までにその納付がなく、督促状に記載のある指定期限を過ぎても納付がない場合には、納付するまでの日数に応じて延滞金がかかるほか、財産の差押え等の滞納処分を受けることがあるとされている。
ただし、個々の実情により保険料等を一時に納付することが困難な理由があるときには、管轄の年金事務所に申請することにより、換価の猶予又は納付の猶予が認められる場合がある。これらの猶予の期間は、各一年の範囲内で、申請者の財産や収支の状況に応じて最も早く保険料等を完納することができると認められる期間とされているが、やむを得ない理由があると認められる場合は、申請により、当初の猶予期間と合わせて最長各二年以内の範囲で猶予期間の延長が認められる場合がある。なお、換価の猶予を受けた場合、保険料等は、原則として猶予期間中に各月に分割して納付することとされている。
しかしながら、昨今、各地の年金事務所において、事業主からの猶予の相談に十分に対応せず、直ちに財産を差し押さえるなどといった強引な徴収が行われている実態があることが、国会質疑等でも度々取り上げられている。
このような状況を受け、厚生労働省は、国税関係法令等に基づき公正かつ適切な運用が行われるよう、令和六年四月、日本年金機構本部を通じて各年金事務所に対し指導を行ったと承知している。
以上を踏まえ、年金事務所における厚生年金保険料等の徴収業務の運用について、以下質問する。
質問1
今般、沖縄県の年金事務所において、事業主からの猶予の相談に際し、当該年金事務所の職員から「分割納付期間は年度末までに完納する計画で作成してもらう。年金事務所の決まり」との発言があったとして、当事者から、厚生労働省の指導等に照らして不当な対応であると、是正を求める要望が寄せられていると承知している。
1 沖縄県の年金事務所における右記の「決まり」の運用について、政府は把握しているか。
2 換価の猶予の期間は、一年以内が原則とされているが、一般論として、分割納付計画の作成について、申請時期によらず一律に年度末までの完納を求めることは適切な対応なのか、政府の見解を問う。
回答(質問1 について)
厚生労働省においては、日本年金機構に対し、「各年金事務所における法令に則った厚生年金保険料等の徴収事務の運用の周知・徹底について」(令和六年四月五日付け厚生労働省年金局事業管理課長事務連絡。以下「事務連絡」という。)により、厚生年金保険料等の徴収業務について、「事業主等と丁寧に応接し、事業所の経営状況や将来の見通しなど丁寧に伺いながら、事業所の状況に応じた対応を行うこと」及び「納付能力調査に基づき、猶予期間及び各月の納付金額を適切に決めること」を求めているところであり、一般論として、御指摘の「分割納付計画の作成について、申請時期によらず一律に年度末までの完納を求めること」は「適切な対応」であるとは考えていない。その上で、御指摘の「「決まり」の運用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同省において御指摘のような「要望」を受けた事実はあるものの、御指摘の「当該年金事務所」において、「分割納付計画の作成について、申請時期によらず一律に年度末までの完納を求めること」があったとは承知していない。
質問2
各地の年金事務所での強引な徴収事案について、厚生労働省として実態を調査し、不適切な対応については、直接指導を行うべきではないかと考えるが、政府の見解を問う。
回答(質問2 について)
御指摘の「強引な徴収事案」及び「不適切な対応」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省においては、日本年金機構に対し、事務連絡により、「厚生年金保険料等の徴収については、・・・事業所の事業状況等の実情を丁寧・的確に把握し、・・・各年金事務所において、公正かつ適正に運用されるよう、周知・徹底されたい。」と求めているところ、これに基づき、同機構において、「各年金事務所において、公正かつ適正に運用されるよう、」取り組んでいるものと承知しており、現時点では御指摘のように「実態を調査」することなどは考えていない。
質問3
年金事務所において丁寧な応接ができる職員の育成について、厚生労働省として取り組むべきではないかと考えるが、政府の見解を問う。
回答(質問3 について)
年金事務所の職員の育成については、日本年金機構法(平成十九年法律第百九号)第三十五条の規定により厚生労働大臣が認可した令和六年度の同条に定める年度計画において、「保険料徴収対策を実施する年金事務所において公正かつ公平な対応ができる制度と実務に通じた高い専門性を有する職員を育成するため、職務と経験に合わせた研修の充実、実施に取り組む」こととされ、これに基づき、日本年金機構において適切に研修が実施されているものと考えており、また、厚生労働省としても、同機構に対し、事務連絡において、「事業主等と丁寧に応接し、事業所の経営状況や将来の見通しなど丁寧に伺いながら、事業所の状況に応じた対応を行うこと」を求めているほか、同機構が実施する当該研修において同省年金局事業管理課の職員が講師を務めるなどの取り組みを行っているところである。