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交通事故被害者の救済体制強化に向けた財源確保に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 水沼秀幸
会派 立憲民主党
公式リンク 第217回国会 / 質問答弁

我が国では、自動車の保有者に自動車損害賠償責任保険(責任共済)への加入を義務付け、当該責任保険等に基づく保険金の支払により交通事故の被害者の救済を図る仕組み(自動車損害賠償保障制度)が構築されている。

一方で、自動車損害賠償保障制度のみでは、重度後遺障がい者の救済が十分でないなどの課題があるため、政府は、自動車安全特別会計の自動車事故対策勘定において、重度後遺障がい者への救済事業等を実施している。この自動車事故対策勘定は、平成十三年度まで実施されてきた政府再保険制度で自動車の保有者が負担した自動車損害賠償責任保険の再保険料等が財源とされているところである。

かかる状況下、自動車安全特別会計の自動車事故対策勘定から、平成六年度に八千百億円、平成七年度に三千百億円、合わせて一兆千二百億円が一般会計へ繰り入れられた。このうち、平成八年度に千五百四十四億円、平成九年度に八百八億円、平成十二年度に二千億円、平成十三年度に二千億円、平成十五年度に五百六十九億円の合計六千九百二十一億円が当時は繰り戻されているものの、令和六年度末においても、元本分で四千八百億円超、利子相当分で九百億円超が繰り戻されていない。

これまで、平成六年、平成十一年、平成十五年、平成二十二年、平成二十九年と当時の大蔵大臣ないしは財務大臣と、運輸大臣ないしは国土交通大臣との間で交わされた繰戻しについての合意は、いずれも履行されずに、現在は、令和五年に財務大臣と国土交通大臣間での、令和九年度までに繰り戻すとの合意の期間中である。五千七百億円以上もの巨額が未返還であることは自動車安全特別会計の本来業務に支障をきたすことになるため、早期かつ計画的に返還されるべきであると考える。

しかし、これまでの各委員会における委員の質問に対し、国務大臣および政府参考人による答弁からは、具体的な返還計画が全く示されていない状況が続いている。早期の繰戻しを行わない理由を各国務大臣や政府参考人は「財務事情は大変厳しい状況」のためとしている。

そこで、以下質問をする。

質問1

「財務事情は大変厳しい状況」との説明は、返還しない理由として極めて曖昧であると考える。また「現に保有する積立金等によって、必要な被害者救済事業等が行われている」「財源の逼迫度は相対的に一般予算の方が深刻であるため、早期に返還しなくともよい」という趣旨の説明は、積立金が年々取り崩されている状況を鑑みれば持続可能とは到底言えず、理由にならないことは明白であると考えるが、このような説明を行う合理的かつ詳細な理由を示されたい。

回答(質問1 について)

 平成六年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律(平成六年法律第四十三号)第七条第二項及び平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律(平成七年法律第六十号)第十条第二項において、後日、予算の定めるところにより、それぞれの規定で定める金額を、一般会計から自動車安全特別会計に繰り入れるものとする旨規定されており、令和三年十二月二十二日の財務大臣と国土交通大臣との間の合意(以下「大臣間合意」という。)においては、一般会計から自動車安全特別会計への繰戻し(以下「一般会計からの繰戻し」という。)について、「毎年度の具体的な繰戻額については、令和四年度予算における繰戻額の水準を踏まえ、被害者等のニーズに応じて被害者保護増進事業等が安定的・継続的に将来にわたって実施されるよう十分に留意しつつ、一般会計の財政事情、自動車安全特別会計の収支状況等に照らし、財務省及び国土交通省が協議の上、決定する」とされているほか、「安全・安心な自動車社会の実現を図るため、両省は自動車安全特別会計自動車事故対策勘定に係る財政運営の安定性確保に向けて、一般会計からの繰戻しに継続して取り組む」とされている。

 その上で、御指摘の「返還しない理由として極めて曖昧である」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、令和六年三月十九日の参議院予算委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しにつきましては、財政事情が許せば、早く、早期に返済しなければならない性格のものであるということ、これは私も十分承知をしておりますが、そのようにできない状況にあることは大変遺憾であり、申し訳ないと考えているところであります」と答弁したとおり、御指摘のような「早期に返還しなくともよい」「という趣旨の説明」は行っていないが、いずれにせよ、御指摘の「早期の繰戻しを行わない」「合理的かつ詳細な理由」については、令和三年三月二十二日の参議院財政金融委員会において、麻生財務大臣(当時)が「令和三年度の予算において、事故の被害者、その御家庭、御家族の不安の声に応えて、・・・一般会計から自動車安全特別会計に対して、二年度の当初予算から七億円の増となります四十七億円を繰り戻すというと同時に、自動車安全特別会計の歳出におきましても、一般病院における病床の拡充などの事故被害者に対策というものの充実にも対応させていただいたところです。また、三次の補正予算においても八億円を繰戻しを行っております。令和四年度予算におけます繰戻し額につきましては、平成二十九年度国交大臣との合意に基づいて、被害者に係る事業を安定的、継続的に実施されるということが安心という意味において大事なところなんで、それを留意しつつ、一般会計の財政事情というのを少々踏まえないかぬ、事情が厳しいものでありますんで、これは引き続き真摯に取り組み、この数年間、この方向でやらせていただいておりますけど、まとめて返せる財政状況にはなかなかありませんのでこういった形をやらせていただき、御心配なきようにさせてまいりたいと思っております」と答弁しているところ、現在も同様に考えている。

質問2

自動車安全特別会計の自動車事故対策勘定に設けられた積立金の運用益は、被害者保護増進事業等の財源に充てられているが、運用益では財源が足りず、積立金を毎年七十億円以上取り崩してその財源に充てている。結果、事故被害者の救済にまわる積立金は発足当初の約九千億円から足元では千五百億円を割り込む事態に直面している。この状況が続くと積立金はあと二十年程度で底をつく計算だが、財務省はそれまでに繰入金を全額繰り戻すと国民に約束するべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

回答(質問2 について)

 お尋ねの「国民に約束する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「全額繰り戻す」ことについては、令和六年三月十九日の参議院予算委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しにつきましては、・・・早期に返済しなければならない性格のものである」と答弁したとおりである。

質問3

二十年という期限が難しいとしても、繰り戻す必要のある五千七百億円超の残高について、確実に繰戻しが行われるように、具体的な返還計画が作成されるべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

回答(質問3 について)

 お尋ねについては、令和六年十二月十六日の参議院予算委員会において、加藤財務大臣が「令和三年十二月の大臣間合意においても繰戻し額の水準や繰戻しを継続的に取り組むことが明記をされ、その下で、令和五年度から九年度までの五年間にわたる返済計画の大枠は示させていただいたところであります。この合意内容は、今後の繰戻し額を国土交通省と協議する際の目安、毎年度のですね、なるものでありますし、また、毎年度の繰戻し額の目安を示してほしいという被害者団体等からの要望にも一定程度は応えたものになっているのではないかと考えております。全額繰戻しに向けた道筋をよりはっきり示すべきだという御意見は承知をしておりますが、まずは、この大臣間合意に基づき、一般会計からの繰戻し、これを着実に進めさせていただきたいと考えています」と答弁したとおりであり、政府としては、お尋ねの「繰り戻す必要のある五千七百億円超の残高」の「具体的な返還計画」を現時点で明確にお示しすることは困難であると考えており、まずは、大臣間合意に基づき、引き続き、着実に一般会計からの繰戻しを進めてまいりたい。

質問4

令和七年度一般会計は前年度を八・八兆円上回る歳入額となっている。他方、令和七年度の繰戻予算額は前年度同額の六十五億円となっている。巨額の繰入残高が存在する状況で、歳入が大きく増えたのであれば、繰戻額も増やすべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

回答(質問4 について)

 お尋ねの「繰戻額」については、大臣間合意に基づき、「被害者等のニーズに応じて被害者保護増進事業等が安定的・継続的に将来にわたって実施されるよう十分に留意しつつ、一般会計の財政事情、自動車安全特別会計の収支状況」等の諸般の事情を総合的に勘案して判断するべきものであり、御指摘のように「歳入が大きく増えた」ことのみを理由として、お尋ねのように「繰戻額も増やすべき」と一律に判断するものではないと考えている。