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外国人による運転免許証の切替制度の悪用防止に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
本邦の域外にある国又は地域の運転免許証を有する者については、都道府県公安委員会が、自動車等を運転することに支障がないことを確認した上で、運転免許試験の一部を免除する制度(以下「外免切替制度」という。)がある。外免切替制度において、本邦での滞在期間が三か月未満の旅行者等(以下「短期滞在者」という。)は、滞在先のホテルを本邦での住所として外免切替の申請を行うことが可能である。
しかし、近年、外免切替制度に関する問題についての報道が増えている。例えば、令和七年一月十六日付のプレジデントオンラインにおいては、外免切替制度を利用するために「運転試験場に外国人が殺到していると話題になっている」ことや、居所地に滞在していることを証明する書類について、無料で発行するホテルや、発行に際し宿泊数等の制限を設けていないホテルがあることが報じられている。また、同月二十六日付のダイヤモンドオンラインにおいては、例えば、知識確認については「学科は全十問中七問正解できれば合格」であるなど内容が簡単であること、費用が「申請料二千五百五十円、交付手数料二千五十円の計四千六百円」と安価であることが指摘され、「日本の運転免許があれば、日本が発行する国際運転免許が手に入る」こともあり、「外免切替を目的とした訪日旅行ツアーまである」と報じられている。
このような外免切替制度を利用して本邦の運転免許証を取得した短期滞在者が、本邦で交通事故を起こした後、直ちに滞在先を変更したり本邦から出国したりすれば、捜査に支障を来しかねないと考える。また、当該者が国外運転免許証を取得して外国で自動車等を運転し、交通事故を起こす事例が多発すれば、本邦の国際運転免許証の信用が大きく失墜する事態にもつながりかねないと考える。
以上を踏まえ、外免切替制度の利用者の実態等に関し質問する。
質問1
多数の国では本邦と走行車線が異なるなど、本邦と諸外国とでは交通規制、交通事情の違い等がある。一方で、例えば、本邦の運転免許試験の学科試験が、問題数九十五問で百点中九十点以上が合格となるのに対し、外免切替制度の知識確認は、十問中七問以上正解で合格となるなど、通常の学科試験等に比べ、極めて簡易的なものである。そのため、外免切替制度を利用して本邦の運転免許証を取得した者は、通常の運転免許試験の合格者に比べ、交通事故を起こす可能性が高くなるおそれがあると考える。そこで、両者の交通事故の発生率に差があるのか、また、差があるとすればどの程度の差があるのか、その実態を把握する必要があると考える。
1 政府は、外免切替制度を利用して本邦の運転免許証を取得した者(国籍は問わない。以下同じ。)と、外免切替制度を利用せずに本邦の運転免許証を取得した者(運転免許試験合格者全体のうち、外国免許切替者以外の者。)との間で、交通事故を起こす危険性に差があると認識しているか明らかにされたい。仮に、危険性が同程度であると認識しているのであれば、その根拠を可能な限り定量的に示されたい。
2 政府として、外国免許切替者とそれ以外の者の交通事故の発生率(例えば、免許証保有者十万人当たりの交通事故件数など。)を把握しているか明らかにされたい。仮に、把握していない場合、その実態を調査する必要があると考えるが、政府の見解を問う。
回答(質問1 について)
お尋ねの「外国免許切替者とそれ以外の者の交通事故の発生率」については、統計的に把握していないため、お答えすることは困難であり、また、お尋ねの「交通事故を起こす危険性」は、客観的な数値に基づき考える必要があることに加え、交通事故は、運転者、道路交通環境、自動車車両等の様々な要因が複雑に関連して発生するものであることから、「交通事故を起こす危険性」の「差」について、一概にお答えすることは困難であるが、「外国免許切替者とそれ以外の者の交通事故」に関する実態の把握を始め、お尋ねの「交通事故を起こす危険性」の定量的な把握に努めてまいりたい。いずれにせよ、御指摘の「外免切替制度」については、本邦の域外にある国又は地域(以下「外国等」という。)の運転免許を有する者について、既に当該外国等において自動車等を運転する能力等を有することが確認されていることを踏まえ、都道府県公安委員会が、必要に応じて自動車等の運転について必要な知識に関する質問をし、自動車等の運転に関する実技をさせるなど、その者が自動車等を運転することに支障がないことを確認した上で、運転免許試験の一部を免除しているものであり、お尋ねの「交通事故を起こす危険性」の「差」が生じないよう、道路交通の安全確保のために必要な確認を行っているものと認識している。
質問2
短期滞在者は住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の適用を受けず、外免切替の申請に当たっては、ホテルを住所として申請をすることが可能である。しかしながら、ホテルを住所として本邦の運転免許証を取得した者が交通事故を起こした場合、当該者の滞在先が変わっていれば、連絡を取ることが困難になると考えられる。
1 ホテルを住所として本邦の運転免許証を取得した者が交通事故を起こした場合、当該者が滞在先を変えているときは、各警察は当該者の連絡先をどのように確認しているのか、政府の把握しているところを明らかにした上で、令和四年及び令和五年において、どの程度把握できているのか示されたい(把握の状況について、数値による回答が困難な場合は、例えば、「概ね把握できている」、「把握できていない事例が半分程度ある」といった抽象的な表現で示されたい)。
2 当該者が既に本邦から出国している場合、政府はどのように対応しているのか示されたい。
回答(質問2 の1について)
交通事故が発生した場合には、御指摘のように「当該者が滞在先を変えている」か否かにかかわらず、都道府県警察が、当事者の運転免許証により住所を確認した上で、当事者からの聴取等により、その時点における滞在先の住所や当事者の連絡先等の把握に努めているものと承知している。また、お尋ねの「当該者の連絡先」に関し、「令和四年及び令和五年において、どの程度把握できているのか」については、統計的に把握していないため、お答えすることは困難である。
回答(質問2 の2について)
御指摘の「外免切替制度」により運転免許を受けた者であるか否かにかかわらず、一般に、警察においては、交通事故を起こした者が出国した場合には、必要に応じ、関係機関等と連携し、所在の確認等を行っているほか、我が国への再入国時に必要な捜査を行っているところである。
質問3
外国免許切替者が交通事故を起こした場合又は外国免許切替者に対し反則金を科した場合において、当該者の滞在先が運転免許証の住所と異なっていたことにより捜査や納付等に支障を来した事例は、直近三年間において、それぞれ何件あるか可能な限り示されたい。
回答(質問3 について)
お尋ねの「当該者の滞在先が運転免許証の住所と異なっていたことにより捜査や納付等に支障を来した事例」の件数については、統計的に把握していないため、お答えすることは困難である。
質問4
外免切替制度において、ホテル等を住所として本邦の運転免許証の取得を可能とすることは、事件・事故の捜査や反則金の納付等に支障を来すと考えるが、政府の見解を問う。
回答(質問4 について)
交通事故や交通違反が発生した場合には、都道府県警察が、当事者の運転免許証により住所を確認した上で、当事者からの聴取等により、その時点における滞在先の住所や当事者の連絡先等の把握に努めているものと承知しているところ、お尋ねの「ホテル等を住所として本邦の運転免許証の取得」をしたことによる「事件・事故の捜査や反則金の納付等」への「支障」については、具体的に把握していないため、お答えすることは困難であるが、その有無を含め、把握に努めてまいりたい。
質問5
本邦では、運転免許証は、携帯電話の契約や銀行口座の開設を始め、様々な場面で本人確認の手段として利用されている。また、外免切替制度を利用して本邦の運転免許証を取得すれば、本邦で国外運転免許証の交付を受けることができ、道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)の加盟国においても自動車等を運転することが可能となる。さらに、令和六年一月一日付産経新聞では、教習所経営者の「まさに免許ロンダリングです。信用度が高い日本の免許に簡単に切り替えられる制度が悪用されている」との声も紹介されている。
本邦の運転免許証は、本来は本邦において自動車等を運転するために受け取るものであると考えられるところ、ホテルに滞在している短期滞在者が、本邦における自動車等の運転以外の目的で、外免切替制度を利用して本邦の運転免許証を取得することは適切か、政府の見解を問う。
回答(質問5 について)
道路交通法(昭和三十五年法律第百五号。以下「法」という。)第九十条第一項等の規定においては、運転免許を受けようとする目的とは関係なく、都道府県公安委員会は、運転免許試験に合格した者に対し、運転免許を与えなければならないとされているところ、法第九十七条の二第三項の規定により、我が国の運転免許を受けようとする者が外国等の運転免許を有する者であるときは、その者が自動車等を運転することに支障がないことを確認した上で、運転免許試験の一部を免除できることとされており、道路交通の安全確保のために必要な確認が行われ、運転免許証が適切に交付されているものと認識している。
質問6
外免切替制度を利用すれば、通常の運転免許試験に比べ、簡易に本邦の運転免許証を取得することができるが、当該運転免許証が外免切替制度を利用して取得されたものであるかどうかは、券面には記載されない。しかし、外免切替制度を利用して取得された本邦の運転免許証が、本人確認書類として犯罪に利用されることがあれば、運転免許証の身分証としての信頼性を揺るがしかねない。また、ホテルに滞在している短期滞在者については、申請時の滞在予定期間が終了した後も同じホテルに滞在しているとは限らないことから、短期滞在者の滞在予定期間を券面から判別できるようにすべきと考える。
外免切替制度を利用して本邦の運転免許証を取得する場合、初めて交付される運転免許証には、当該運転免許証が外免切替制度を利用して取得するものであることや、短期滞在者の滞在予定期間(申請書の添付書類に記載されたもの。)を表示すべきと考えるが、政府の見解を、具体的な理由とともに示されたい。
回答(質問6 について)
御指摘の「外免切替制度」については、お尋ねの点を含め、国民の間にも様々な意見があるものと承知しているが、外国等の運転免許を有する者に関しては、都道府県公安委員会が、その者が自動車等を運転することに支障がないことを確認した上で、運転免許試験の一部を免除しているところであり、運転免許を受けていることを証明するための運転免許証の記載事項(法第九十三条各項に規定するものをいう。)において、当該免除を受けた者かどうかを記載する項目を追加する必要はないと考えられることから、お尋ねのように「当該運転免許証が外免切替制度を利用して取得するものであることや、短期滞在者の滞在予定期間(申請書の添付書類に記載されたもの。)を表示」することについては慎重な検討が必要であると考えている。