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金融政策に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
政府は昨年十一月、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」をとりまとめ、令和六年度補正予算を編成し、成立させ、今国会に令和七年度予算を提出し現在審議が進められているところである。同総合経済対策では、経済の現状について、「我が国は、この三十年余の間、バブル崩壊に伴う混乱やデフレ、世界的な金融危機、度重なる自然災害、コロナ禍といった幾多の難局に直面したが、国民各層のたゆまぬ努力によって、これらを乗り越えてきた。その結果、名目GDPは六百兆円、設備投資は百兆円をそれぞれ超え、賃金も三十三年ぶりの高い賃上げ率が実現した。」としている。しかしながら、より効果的な経済政策の遂行、賢い財政支出のためには、より丁寧に経済の状況を把握する必要があると考える。
政府がいうところの、この三十余年の間、「物価の安定」を使命とする日本銀行は、さまざまな金融緩和策を講じてきた。こうした金融緩和策は、わが国の経済の各分野に大きな影響を及ぼしてきたことは言をまたないところであると考える。特に二〇一三年以降、政府・日本銀行は、いわゆるアコード「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」のもと、大規模な金融緩和を実施してきた。その効果と副作用は日本銀行が昨年公表した「金融政策の多角的レビュー」にとりまとめられているが、超低金利政策、大規模な金融緩和が経済の各分野の利子収支に与えた影響は明らかではないと考える。以下、家計、法人(非金融)、金融機関ごとに、超低金利政策、大規模な金融緩和が利子収支に与えた影響について試算を求めるとともに、その結果に対する政府の見解について質問する。
質問1
いわゆる失われた三十年の間、超低金利政策が家計、法人(非金融)、金融機関の利子収支に与えた影響額について、国民経済計算年次推計に基づき、次の金額を、可能な限り試算されたい。
なお、本試算に当たっては、可能な限り最新の統計を用いつつ、二〇〇五年一月二十八日の衆議院予算委員会および二〇〇七年三月二十二日の参議院財政金融委員会における福井俊彦日本銀行総裁(当時)の答弁を参考にされたい。
1 一九九三年から二〇二三年までの受取利子の累計額。
2 一九九三年の受取利子が二〇二三年までそのまま続いていたと仮定して、一九九三年から二〇二三年までの累計額。
3 超低金利政策によって失われた逸失利子の累計額(前記1から2を控除した金額)。
4 一九九三年から二〇二三年までの支払利子の累計額。
5 一九九三年の支払利子が二〇二三年までそのまま続いていたと仮定して、一九九三年から二〇二三年までの累計額。
6 超低金利政策によって軽減された軽減利子の累計額(前記5から4を控除した金額)。
回答(質問1 について)
お尋ねの「超低金利政策」、「逸失利子」及び「軽減利子」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成五年につき内閣府のホームページにおいて公表している「二千九年度国民経済計算(二千年基準・九三SNA)」の数値、平成六年から令和五年までにつき同府のホームページにおいて公表している「二千二十三年度国民経済計算(二千十五年基準・二〇〇八SNA)」における参考値である「FISIM調整前」の数値をそれぞれ用い、御指摘の方法により機械的な計算を行えば、1の「累計額」は、家計が約二百七十二兆円、非金融法人企業が約百四十三兆円及び金融機関が約千九百八十兆円であり、2の「累計額」は、家計が約八百九十七兆円、非金融法人企業が約三百七兆円及び金融機関が約四千二十九兆円であり、3について、お尋ねの「前記1から2を控除した金額」は、家計が約マイナス六百二十五兆円、非金融法人企業が約マイナス百六十四兆円及び金融機関が約マイナス二千四十八兆円であり、4の「累計額」は、家計が約三百九十四兆円、非金融法人企業が約四百三十六兆円及び金融機関が約千百五十八兆円であり、5の「累計額」は、家計が約六百四十四兆円、非金融法人企業が約千三百十八兆円及び金融機関が約二千九百八十二兆円であり、6について、お尋ねの「前記5から4を控除した金額」は、家計が約二百五十兆円、非金融法人企業が約八百八十一兆円及び金融機関が約千八百二十四兆円である。
質問2
いわゆるアベノミクスによる大規模な金融緩和が家計、法人(非金融)、金融機関の利子収支に与えた影響額について、国民経済計算年次推計に基づき、次の金額を、可能な限り試算されたい。
1 二〇一三年から二〇二三年までの受取利子の累計額。
2 一九九三年から二〇一二年までの受取利子の平均金額が、二〇一三年から二〇二三年までそのまま続いていたと仮定して、二〇一三年から二〇二三年までの累計額。
3 アベノミクスによる大規模な金融緩和によって失われた逸失利子の累計額(前記1から2を控除した金額)。
4 二〇一三年から二〇二三年までの支払利子の累計額。
5 一九九三年から二〇一二年までの支払利子の平均金額が、二〇一三年から二〇二三年までそのまま続いていたと仮定して、二〇一三年から二〇二三年までの累計額。
6 アベノミクスによる大規模な金融緩和によって軽減された軽減利子の累計額(前記5から4を控除した金額)。
回答(質問2 について)
お尋ねの「逸失利子」及び「軽減利子」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成五年につき内閣府のホームページにおいて公表している「二千九年度国民経済計算(二千年基準・九三SNA)」の数値、平成六年から令和五年までにつき同府のホームページにおいて公表している「二千二十三年度国民経済計算(二千十五年基準・二〇〇八SNA)」における参考値である「FISIM調整前」の数値をそれぞれ用い、御指摘の方法により機械的な計算を行えば、1の「累計額」は、家計が約四十五兆円、非金融法人企業が約五十八兆円及び金融機関が約四百四十一兆円であり、2の「累計額」は、家計が約百二十五兆円、非金融法人企業が約四十七兆円及び金融機関が約八百四十六兆円であり、3について、お尋ねの「前記1から2を控除した金額」は、家計が約マイナス八十兆円、非金融法人企業が約十一兆円及び金融機関が約マイナス四百五兆円であり、4の「累計額」は、家計が約九十三兆円、非金融法人企業が約六十一兆円及び金融機関が約二百三十三兆円であり、5の「累計額」は、家計が約百六十五兆円、非金融法人企業が約二百七兆円及び金融機関が約五百九兆円であり、6について、お尋ねの「前記5から4を控除した金額」は、家計が約七十二兆円、非金融法人企業が約百四十六兆円及び金融機関が約二百七十六兆円である。
質問3
超低金利政策、大規模な金融緩和が長期間行われたことにより、経済の各分野(家計、法人(非金融)、金融機関)の利子収支に与えた影響は大きく、その恩恵や弊害の差も大きいとみられる。こうした状況が、全体として日本経済に与えた影響についての政府の見解を明らかにされたい。
回答(質問3 について)
お尋ねの「超低金利政策」、「恩恵や弊害の差」及び「こうした状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に一について及び二についてでお答えした数値を前提とするお尋ねであれば、当該数値は、一及び二で御指摘の方法により一定の仮定の下で機械的に算出した数値を含むものであり、これらの数値に基づいてお尋ねの「日本経済に与えた影響」を分析することは想定していないため、政府としてこれらの数値を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい。なお、大胆な金融緩和を含むアベノミクスについては、令和六年十二月四日の参議院本会議において、石破内閣総理大臣が「大胆な金融緩和を含むアベノミクスは、デフレではない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益の増加傾向にもつながりました。」と答弁しているところである。