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原口五原則とマイナンバー制度との整合性に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
私が提出した質問に対する答弁書(内閣衆質二一六第四号。以下「令和六年答弁書」という。)を令和六年十二月十日に受領したが、答弁内容に不十分な部分があるので、質問の意図をより明らかにした上で質問する。
質問1
番号に関する原口五原則
令和六年十一月二十八日に提出した「原口五原則とマイナンバー制度との整合性に関する質問主意書」においては、「原口五原則」として、?権利保障の原則、?自己情報コントロールの原則、?プライバシー保護の原則、?最大効率化の原則、?国・地方協力の原則の五つを提示している。
これに対し、令和六年答弁書の一についてでは、現在のマイナンバー制度については、「原口五原則」を踏まえ、マイナンバーの利用及び提供の限定やマイナンバーカードの普及及び利活用の推進等に取り組んでいる旨答弁している。
?から?までの原則が、いわゆるマイナンバー法のどの条文に反映されているのか、具体的に示されたい。
回答(質問1 について)
御指摘の「原口五原則」の趣旨を踏まえた行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号。以下「番号利用法」という。)の条文としては、例えば、「権利保障の原則」については番号利用法第七条及び第八条が、「自己情報コントロールの原則」及び「プライバシー保護の原則」については番号利用法第九条、第十五条、第十九条、第二十条及び第二十三条が、「最大効率化の原則」については番号利用法第八条が、「国・地方協力の原則」については番号利用法第五条及び第二十一条が、それぞれ該当するものと考えている。
質問2
原口五原則とマイナンバー制度との整合性
1 権利保障の原則
令和六年答弁書の二の1についてでは、「「市区町村の窓口で即日再交付できる仕組み」については、(中略)現時点において、実現することは困難である」としている。
ア 他方、現行の運転免許証の紛失時においては、運転免許試験場で即日再交付できる仕組みが現に整備されている。運転免許証とマイナンバーカードとの間で再交付の体制にどのような違いがあるため困難であるのか、具体的に示されたい。
イ 令和六年十二月二日以降、従来の健康保険証の新規発行が終了となり、いわゆるマイナ保険証を基本とする仕組みに移行されたことを踏まえ、再交付手続に伴いマイナ保険証を利用できなくなる期間をできる限り短縮する観点から、「市区町村の窓口で即日再交付できる仕組み」を実現する必要性について、政府の見解を伺う。
2 自己情報コントロールの原則
令和六年答弁書の二の2のアからウまでについてでは、「「いわゆる自己情報コントロール権に関連する仕組み」、「いわゆる自己情報コントロール権の担保に資する仕組み」及び「いわゆる自己情報コントロール権の行使に際して差別的な取扱いを受けること」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。」としている。
その上で、情報提供ネットワークシステムを使用した自身の一定の利用特定個人情報の提供等の記録をマイナポータルを通じて確認することができる仕組みについては、利用者に手数料の負担を求めていないとしている。
ア 「いわゆる自己情報コントロール権」については、令和五年六月二日の衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会厚生労働委員会連合審査会において政府参考人が「いわゆる自己情報コントロール権につきましては、その内容、範囲及び法的性格に関し、様々な見解がございまして、明確な概念として確立しているものではないと承知しております」と答弁している。
「様々な見解」があると承知しているのにもかかわらず「意味するところが必ずしも明らかではない」とする理由は何か。また、「様々な見解」として、主要な学説について、政府の把握するところを端的に示されたい。
イ マイナポータルを通じて確認することができる仕組みは、マイナンバーカードを所有していない者は利用できない。マイナンバーカードの取得を望まない者が、同様の確認をするためには、多大な時間と手数料を負担した上で、書面による開示請求を行うしかないのか。若しくは、他の方法はあるのか。
ウ マイナンバーカードの取得は任意とされている中で、マイナンバーカードの取得を望まない者についても、手数料の負担なく同様の確認をすることができる仕組みを構築する必要性について、政府の見解を伺う。
3 プライバシー保護の原則
令和六年答弁書の二の3のア及びウについてでは、「「準ずる事務」の対象となる事務は、番号利用法第九条第一項及び第四十六条においてデジタル庁の長である内閣総理大臣と総務大臣が共同で発する命令で定めることとされており、その範囲は法令において明確にされている。」としている。また、二の3のイについてでは、「「利用範囲及び情報連携の拡大について協議する会議体」は存在していない。」としている。
ア 会議体が存在していないのであれば、「準ずる事務」の対象となる事務について、誰が立案し、どの行政機関等において協議・決定した上で、当該命令を定めることとなるのか、命令制定までの過程を明らかにされたい。
イ 「準ずる事務」の対象となり得る事務について、国の行政機関及び地方公共団体からの提案を受け付ける体制が整備されているのか政府の見解を伺う。
ウ 当該命令を定めようとする際には、パブリック・コメントに付することとなるのか政府の見解を伺う。
4 最大効率化の原則
ア 令和六年答弁書の二の4のイについてでは、「「照会可能な事務から削除するなど、実情に応じて合理化する必要」があるとは考えていない。」としている。
これまで、マイナンバー情報照会の実施が可能であったが、後日に照会可能な事務から削除された事務はあるか。ある場合には、?当該事務の名称、?照会可能な事務に追加された年月日、?同事務から削除された年月日、?削除の理由をそれぞれ可能な限り明らかにされたい。
イ 令和六年答弁書の二の4のウ及びエについてでは、ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービスの提供の募集における調達仕様書において、「当該ガバメントクラウドに保管されている情報を、当該情報を管理する者以外の者が閲覧することはできないようにするための措置が講じられることとしている。また、(中略)各利用者の情報が保管される当該ガバメントクラウド上の領域は、それぞれ論理的に分離されるものとしている。」としている。
(1) 不正アクセスやサイバー攻撃から日本国民の個人情報を守るために多重の防御を講ずることは当然必要であると考える。ガバメントクラウドにおいて、ファイアウォールの設定はあるか。ない場合には、その理由を伺う。
(2) ガバメントクラウドの領域が論理的に分離されたものとしても、不正アクセスやサイバー攻撃により当該クラウドサービスの管理者権限が乗っ取られた場合には、論理的に分離された複数の領域で管理されている日本国民の個人情報が一度に外部へ漏えいしてしまうおそれはないか政府の見解を伺う。
(3) 個人情報が外部へ漏えいする事態を避けるためにも、論理的な分離ではなく、情報を複数のコンピュータで分散管理しているブロックチェーン技術の活用を進める必要性について、政府の見解を伺う。
回答(質問2 の1のア及びイについて)
お尋ねの「再交付の体制」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、個人番号カードは、対面でもオンラインでも安全かつ確実に本人確認ができるデジタル社会の基盤であることから、レーザー光によってカード基材を黒く変質させることでその券面の印字を行う等の運転免許証とは異なる偽造等防止対策が行われている。そのため、個人番号カードの作成については、先の答弁書(令和六年十二月十日内閣衆質二一六第四号。以下「前回答弁書」という。)で述べたとおり、カード発行機等の大規模な専用の設備の設置、盗難防止等のセキュリティ対策の実施、必要な人員の確保等を図った上で、均一な品質が確保される必要があることから、各都道府県警察の運転免許センター等で作成が可能な運転免許証とは異なり、現時点においては、各市区町村において行うことができず、その再交付までに一定の期間が必要となるものであるが、政府としては、個人番号カードの再交付に要する日数を短縮することは重要であると考えており、紛失時等の個人番号カードの交付を速やかに受ける必要がある場合には、原則一週間で再交付を可能とする制度を構築したところである。
回答(質問2 の2のアについて)
前回答弁書の二の2のアからウまでについてにおいては、法令において用いられている用語ではない「いわゆる自己情報コントロール権」という概念が意味する内容を確定することが困難であり、また、「関連する仕組み」、「担保に資する仕組み」及び「差別的な取扱いを受けること」の指し示す内容及び範囲が必ずしも明らかではなかったため、その旨を述べたものである。
また、お尋ねの「「様々な見解」として、主要な学説について、政府の把握するところ」については、「主要な学説」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
回答(質問2 の2のイ及びウについて)
御指摘の「同様の確認」を行う方法としては、デジタル庁の長である内閣総理大臣に対して個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第七十六条第一項の規定による開示の請求を行う方法があるところ、当該請求に当たっては、書面による手続が必要であり、また、原則として所要の手数料を納付する必要があるが、当該手数料については、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令(平成二十六年政令第百五十五号)第三十三条第一項の規定により、経済的困難により当該手数料を納付する資力がないと認めるときは、免除することができることとされていることから、当該場合以外の場合において、実費の範囲内において定められる当該手数料の負担を求めないこととするまでの必要はないものと考えている。
回答(質問2 の3のアからウまでについて)
お尋ねの「命令制定までの過程」及び「国の行政機関及び地方公共団体からの提案を受け付ける体制」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「「準ずる事務」の対象となる事務」については、各府省庁の意見や地方公共団体からの提案等を踏まえ、デジタル庁及び総務省等において協議を行った上で、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三十九条第四項第一号に該当する場合を除き同法の規定による意見公募手続を行い、当該意見公募手続で提出された意見を十分に考慮して、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第九条第一項に規定する準法定事務及び準法定事務処理者を定める命令(令和六年デジタル庁・総務省令第八号)において定めることとしている。
回答(質問2 の4のアについて)
御指摘の「照会可能な事務」については、番号利用法に基づく主務省令において定められているところ、当該主務省令は「照会可能な事務」の根拠法令の改正等に伴いその都度改正されるものであるため、お尋ねについて網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、令和二年七月三十一日から当該主務省令で定められていた新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第四十六条第三項の規定により読み替えて適用する予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第六条第一項の予防接種の実施に関する事務については、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(令和四年法律第九十六号)第十二条の規定による新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正により当該事務の根拠規定が削除されたことに伴い、令和四年十二月九日に当該主務省令から削除されている。
回答(質問2 の4のイの(1)について)
お尋ねの「ファイアウォールの設定」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、デジタル庁において現在運用しているガバメントクラウド(以下「現行ガバメントクラウド」という。)に関する令和五年度のクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者(以下単に「提供事業者」という。)の募集に係る調達仕様書においては、「情報漏洩につながるセキュリティ上の侵害、サービス可用性の低下につながる悪意のあるアクセス、システムリソースの過剰消費等、ウェブアプリケーションの脆弱性を利用した攻撃、及び自動化されたボット等のスキャニングを含むアクセスからウェブアプリケーション、API、エンドポイントを保護するためのWAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)を提供可能であること」及び「ステートフルファイアウォールを構成可能であること」を提供事業者が満たすべき要件として設けているところである。
回答(質問2 の4のイの(2)について)
御指摘の「当該クラウドサービスの管理者権限」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
回答(質問2 の4のイの(3)について)
現行ガバメントクラウドにおいても、御指摘の「ブロックチェーン技術」を活用して情報システムの整備を行うことは可能であるが、その活用については、ガバメントクラウドを利用して整備が行われる個別の情報システムの構成等に応じ、当該情報システムの整備を行う者において適切に判断されるべきものであると考えている。
質問3
マイナ保険証
1 令和六年答弁書の三の1についてでは、オンライン資格確認を行うことができない場合の対応について、厚生労働省保険局長通知に基づき、「患者がマイナポータルから自身の資格情報の画面を提示すること等により資格確認を行い、保険診療を受けることができる旨を示している。」としている。
ア 当該通知は健康保険組合等に対して行っているものだが、当該通知に示されたこれらの対応について、政府は国民に対してどのように周知・広報しているのか。
イ 令和六年十月三十一日に開催された「第百八十四回社会保障審議会医療保険部会」にて配付された資料二中、「医療機関・薬局での資格確認とレセプト請求(令和六年十二月二日以降の取扱い)」においては、マイナポータルから提示する画面について、マイナポータルからダウンロードしたPDFファイルも可としている。しかし、災害により携帯電話基地局からの通信が途絶した場合、マイナポータルにアクセスすることもダウンロードすることもできなくなる。
こうした災害による通信障害等を踏まえ、平時からPDFファイルを保存しておくことも必要なのではないかと考える。国民皆保険に基づく必要な医療提供体制を確保する観点からも、マイナポータルの利用が可能な国民に対しては、こうした対応の周知・広報を積極的に進めるべきではないか。政府の見解を伺う。
2 令和六年答弁書の三の3についてでは、「「マイナ保険証」の利用は、券面に本人の顔写真がない「従来の健康保険証」の利用と比較して、なりすましによる不正利用の防止に資するものと考えている。」としている。
政府は、「従来の健康保険証」のなりすましによる不正利用の件数について、調査・把握しているのか。当該件数を把握していない場合、「マイナ保険証」の利用が、当該不正利用の防止に資すると考える根拠は何か。
3 令和六年答弁書の三の4についてでは、「「従来の健康保険証」についても「被保険者の資格取得」から交付までに御指摘のような「一定程度の時間」を要する場合があると考えており、また、個人番号カードによるオンライン資格確認を通じて、健康情報を把握することが困難な方を含め、患者は本人の健康や医療に関するデータに基づいたより適切な医療を受けることが可能となるなど、様々なメリットがあるものと考えている。」としている。
ア 転職等により医療保険の資格変更があった場合、資格変更後の保険者が、事業主から資格取得届の提出を受けて、新たな資格情報をオンライン資格確認等システムに登録することとなる。その際、事業主から保険者への届出は五日以内、また、保険者は、事業主による届出から五日以内にデータ登録を行うこととされており、オンライン資格確認が利用できるまでに一週間から十日程度の時間を要することが想定される。
それに比べ、「従来の健康保険証」においては、小規模な健康保険組合など、即日交付が可能な組合もあることから、「従来の健康保険証」を「マイナ保険証」と同様に交付までに「「一定程度の時間」を要する」とした上で、マイナ保険証の利用によるメリットを挙げるのは、詭弁ではないか政府の見解を伺う。
イ 健康情報の把握に当たり、レセプトベースの医療情報についてはオンライン資格確認への反映に最大一か月半程度のタイムラグが生じることが指摘されている。より適切な医療提供体制の確保のためにも、電子カルテや電子処方箋の普及をマイナ保険証への一体化よりも先に進めるべきだったのではないか政府の見解を伺う。
ウ マイナ保険証への一体化を先に進めてしまったことが、かえって我が国における医療DXの推進を阻害してしまっているのではないか。政府の見解を伺う。
回答(質問3 の1のアについて)
御指摘の「当該通知に示されたこれらの対応」については、厚生労働省において広報啓発用リーフレットを作成し、医療機関等を通じて配布するなどにより、国民への周知・広報を行っている。
回答(質問3 の1のイについて)
御指摘の「災害による通信障害等」の場合における資格確認については、令和六年十月三十一日に開催された第百八十四回社会保障審議会医療保険部会の資料二において記載しているとおり、「何らかの事情でオンライン資格確認を行えなかった場合」には、「マイナポータル画面」や「マイナポータルからダウンロードしたPDFファイル」に記録された自身の資格情報を提示する方法のほか、「資格情報のお知らせ」を提示する方法等による資格確認が可能であり、引き続き、複数の方法による資格確認が可能であることを周知してまいりたい。
回答(質問3 の2について)
お尋ねの「「従来の健康保険証」のなりすましによる不正利用の件数」については、全ての保険者の状況を網羅的に把握しているわけではないが、例えば、国民健康保険においては、令和四年度までの過去五年間で五十件の不正利用が確認されていると承知している。また、お尋ねの「「マイナ保険証」の利用が、当該不正利用の防止に資すると考える根拠」については、令和六年五月十日の衆議院法務委員会厚生労働委員会連合審査会において、政府参考人が「現行の保険証は、券面には氏名、生年月日、性別は記載されておりますけれども、顔写真がなく、医療機関を受診する際に資格確認において成り済ましのリスクがあるとかねてから指摘されているところでございます。・・・マイナ保険証につきましては、オンライン資格確認を実施することによりまして、顔写真を用いて顔認証を行ったり、あるいは四桁の暗証番号を入力する、こうした措置が講じられることになりますので、成り済ましを防ぎ、電子的かつ確実な本人確認を行うことが可能と考えてございます」と答弁しているとおりである。
回答(質問3 の3のアについて)
前回答弁書の三の4についてにおいては、各保険者での健康保険証の発行に係る事務の状況によって「御指摘の「従来の健康保険証」についても「被保険者の資格取得」から交付までに御指摘のような「一定程度の時間」を要する場合があると考えて」いる旨を答弁したものであり、「詭弁」との御指摘は当たらない。
回答(質問3 の3のイ及びウについて)
お尋ねの「かえって我が国における医療DXの推進を阻害してしまっている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「マイナ保険証」については、患者本人の健康や医療に関するデータに基づいたより適切な医療を受けることが可能となることに加え、患者が保険医療機関等の窓口で限度額適用認定証がなくても高額療養費制度における限度額を超える支払の免除を受けることが可能となるといった、御指摘の「電子カルテや電子処方箋の普及」を前提としないメリットが存在し、また、今後、保険医療機関等における電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの普及によって、「マイナ保険証」を利用した際に、直近の処方又は調剤に係る情報の即時共有や他の保険医療機関等において必要な「電子カルテ」の情報等の閲覧が可能となるなど、様々なメリットがあり、このようなメリットが早期に広く享受されるよう、令和六年十二月二日に「マイナ保険証」を基本とする仕組みに移行したものである。