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良質な幼児教育実現のための制度の整備に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
幼児教育は生涯の人格形成の基礎を培うものであり、その重要性に鑑みれば、全ての子どもが良質な幼児教育を受けられる環境を整えることは喫緊の課題である。とりわけ、幼児教育において私立幼稚園・認定こども園の果たしてきた役割は大きく、国としても私立幼稚園・認定こども園の振興予算を充実させ、良質な幼児教育実現のための制度を整備する必要があると考える。
以上を踏まえ、次の事項について質問する。
質問1
二〇二五年度予算における、私立幼稚園・認定こども園の振興、その教職員の処遇改善、その他幼児教育の質の向上につながる事業の例を挙げられたい。特に私立高等学校等経常費助成費等補助(幼稚園分)については、二〇二四年度に比べ補助内容の拡充・増額が図られた項目を列挙されたい。
回答(質問1 について)
令和七年度予算においては、例えば、「私立学校施設整備費補助金」による私立の幼稚園の新設等のための園舎の新築及び増築等に必要な経費の一部の補助に要する経費を計上しており、また、「私立高等学校等経常費助成費補助金」について、幼稚園における継続的な賃上げへの支援に加え、新たに幼児教育の質の向上のための処遇改善への支援を行うとともに、令和六年度当初予算と比較して「幼稚園等特別支援教育経費」や「子育て支援推進経費」に係る予算を増額して計上しているところである。
質問2
家庭や地域の状況にかかわらず、全ての子どもが格差なく質の高い学びへ接続できるよう、幼児期及び幼保小接続期の教育の質を保障する施策を推進する必要がある。現在、文部科学省において推進している「幼保小の架け橋プログラム」では、十九のモデル地域を採択してカリキュラムの開発や実施等に取り組んでいるものと承知しているが、地域の幼児教育と小学校教育の円滑な接続を図るため、これを全国展開する必要があると考える。当該事業の現在の取組状況を示された上で、今後の全国展開の見通しについて、政府の見解を示されたい。
回答(質問2 について)
お尋ねについては、「幼保小の架け橋プログラム事業」において、モデル地域における五歳児から小学校一年生までの二年間の教育に係るカリキュラムの開発、実施、改善等を行ってきたところであり、令和七年度予算においては、「幼児教育推進体制等を活用した幼保小の架け橋プログラム促進事業」の実施に必要な経費を計上し、これらの取組の全国展開を図っているところである。
質問3
人口減少が進む中でも、全ての地域において良質な幼児教育を受けられる環境を整える必要があると考える。
1 各々の地域内の幼児教育の質の保障を図るため、国として地方自治体に対し働きかけを行っているか、現在の取組状況を示されたい。
2 文部科学省が二〇二四年十月に公表した、今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会最終報告では、国の行うべきこととして、幼児教育センターや幼児教育アドバイザー等の果たす役割を踏まえ、法令等に位置付けることについて検討すること、また地方自治体等のリーダーシップの下で各幼児教育施設がつながるネットワークが構築されるよう、地方自治体への財政支援も含めて検討すべきであること等が指摘されている。これらの指摘は大変有用なものであると考えるが、今後の取組の方向性について、政府の見解を示されたい。
回答(質問3 の1について)
お尋ねについては、幼児教育の質の向上を図るため、例えば、「教育支援体制整備事業費交付金」により、地方自治体における、幼児教育に関する調査研究や研修、情報提供等の施策を総合的に実施するための拠点である「幼児教育センター」の設置や、幼稚園、保育所、認定こども園等に対して教育内容、指導方法等に関する助言を行う「幼児教育アドバイザー」の配置等に必要な経費を補助するとともに、各種会議等の機会を通じて、地方自治体に対して、これらの設置や配置の必要性等について周知を図っているところである。
回答(質問3 の2について)
政府としては、幼児教育の質の向上を図るため、地方自治体の取組を支援する「幼児教育推進体制等を活用した幼保小の架け橋プログラム促進事業」や、幼稚園等が直面する課題について調査研究する「幼児教育の学び強化事業」等、様々な施策を講じているところであり、御指摘の「今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会最終報告」における指摘も踏まえ、引き続き、必要な施策を検討してまいりたい。
質問4
幼児教育の重要性に鑑み、国として、幼児教育の質の向上に向けた調査研究を実施し、エビデンスに基づく政策形成に一層取り組むとともに、幼児教育の重要性等について家庭や社会に対し普及啓発を行うべきと考える。これらの点についての現在の取組状況を示された上で、今後の取組の方向性について、政府の見解を示されたい。
回答(質問4 について)
文部科学省においては、幼児教育が子供の発達及び小学校以降の学習や生活に与える影響を明らかにするため、「幼児教育に関する大規模縦断調査事業」を行っているところであり、当該調査の結果も踏まえ、必要な施策を検討してまいりたい。また、同省においては、幼児教育の重要性等についてのポスターや動画等を作成し、同省のホームぺージ等において周知しているところであり、引き続き、このような普及啓発に係る取組を進めてまいりたい。
質問5
教育費の負担軽減は、少子化対策として重要であるとともに、幼児教育の機会を子どもたちに対して保障する役割も担っている。しかるに、二〇一九年十月の幼児教育・保育の無償化以降、私学助成を受ける幼稚園を利用する家庭に対する補助額は月額二万五千七百円に据え置かれているところ、昨今の急激な物価上昇や人件費高騰により、当該補助額は良質な幼児教育を提供するための財政支援として十分な水準とは言いがたいと考える。補助額の上限を引き上げる必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
回答(質問5 について)
お尋ねについては、厳しい財政状況の下、他の子ども・子育て関連施策等との均衡等を勘案すると、課題が多く慎重な検討が必要と考えている。
質問6
私立幼稚園・認定こども園に勤務する全ての教職員が、やりがいをもって子どもたちに接することができるようにするために、教職員の処遇を充実させることは極めて重要である。園の設置形態、また私学助成と施設型給付の別にかかわらず、私立幼稚園・認定こども園に勤務する教職員の更なる処遇改善に取り組むべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
回答(質問6 について)
認定こども園及び私立の幼稚園のうち特定教育・保育施設(子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第二十七条第一項に規定する特定教育・保育施設をいう。以下同じ。)である幼稚園に勤務する教諭等の給与については、令和七年三月十四日の衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会において、政府参考人が「保育士、幼稚園教諭等の処遇改善、これは人材確保の観点からも非常に重要であると思っております。令和六年度補正予算では十・七パーセントの大幅な改善を実施し、令和七年度予算案、当初の予算案でも財源を確保した上でこれを反映しているところでございます。(中略)今後も改善状況を注視しながら、こども未来戦略に基づいて民間給与動向を踏まえた更なる処遇改善を進めてまいりたいと考えております。」と答弁しているとおりである。また、私立の幼稚園のうち特定教育・保育施設ではない幼稚園に勤務する教諭等の給与については、「私立高等学校等経常費助成費補助金」による継続的な賃上げへの支援に加え、新たに幼児教育の質の向上のための処遇改善に対する支援を行うこととしており、令和七年度予算においてもこれらに要する経費を計上しているところである。
質問7
これまで、私立幼稚園・認定こども園は地域における幼児教育の拠点として、また全ての子育て家庭に開放された社会的な居場所として、幅広い子育て支援活動を行ってきたと承知している。引き続き私立幼稚園・認定こども園がそのような役割を果たし、二〇二六年度から全国の地方自治体において実施予定のこども誰でも通園制度における未就園児の受け皿として機能するためにも、国として十分な支援を行う必要があると考える。
1 人材確保及び環境整備のための財政的支援や、幼児教育機能を活かした質の高い預かりを提供するための教育内容に関する研究及び普及啓発等についての取組の現状を示されたい。
2 1については財政面と教育面の両面にわたる支援を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
3 2の支援に際して、こども誰でも通園制度の利用方法(定期利用及び自由利用)や実施方法(一般型及び余裕活用型等)の別によってコストが異なることを考慮し、各々の方法に応じた補助金体系を策定する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
回答(質問7 について)
お尋ねの「人材確保及び環境整備」、「幼児教育機能を活かした質の高い預かり」、「財政面と教育面の両面にわたる支援」及び「補助金体系」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、文部科学省においては、「私立学校施設整備費補助金」において、幼児の預かりを行う事業等の実施に伴う園舎の改築等に要する経費への補助等の支援を行うとともに、令和六年度に実施した「幼児教育の学び強化事業」における「子育ての支援や家庭等との連携強化に関する調査研究」において作成したリーフレットの配布等を通じて幼稚園における零歳から二歳までの乳幼児の受入れに関する実践例等の普及啓発を図る予定であり、こうした取組により、今後とも支援の充実に努めてまいりたい。また、御指摘の「こども誰でも通園制度」については、こども家庭庁成育局長が参集を求めて開催していた「こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討会」が令和六年十二月二十六日に公表した取りまとめにおいて、「令和八年度からの給付化に伴い、こども誰でも通園制度の一時間当たりの費用について、公定価格として設定する必要があり、その在り方について検討する必要がある。」とされていることも踏まえ、必要な対応を検討してまいりたい。
質問8
私立幼稚園が認定こども園へ円滑に移行できるよう、市町村や都道府県による積極的な支援体制を整える必要があると考える。
1 国としての取組の現状を示されたい。
2 移行に係る手続等の業務負担を軽減するため、事務経費に係る支援が必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。
回答(質問8 について)
私立の幼稚園の認定こども園等への移行に関する支援については、例えば、「教育支援体制整備事業費交付金」により、当該移行の際の事務職員等の雇用等に係る経費の一部を補助しているところである。