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在留外国人の国民年金保険料の納付率がわずか四十三・四%であることに関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 竹上裕子
会派 日本保守党
公式リンク 第217回国会 / 質問答弁

令和六年五月十五日の衆議院厚生労働委員会において、武見厚生労働大臣(当時)は、日本国籍者と外国籍者の社会保障の給付と負担の実態の把握について、これまで、日本人、外国人を区分した統計を取ってきていないとし、どのようなデータを把握すべきかという点について丁寧に検討していく必要がある旨を答弁している。

また、令和六年八月十七日付日本経済新聞朝刊において、日本に暮らす外国人をめぐり、厚生労働省が、年金や医療などの保険料の納付実態を把握する初めての調査を計画している旨の報道がされている。

国民年金保険料の納付率に関しては、厚生労働省年金局が公表した、令和五年度の国民年金の加入・保険料納付状況(令和六年六月)で、令和五年度の最終納付率(令和三年度分保険料)は八十三・一%とされている。

その一方で、在留外国人の国民年金保険料の納付率については、日本年金機構が作成した、日本年金機構の令和六年度の取組状況について(令和六年十二月二十五日第七十六回社会保障審議会年金事業管理部会提出資料)で、「年金局の集計では、外国人の国民年金保険料の令和五年度の最終納付率(令和三年度分保険料)は四十三・四%」とされている。

昨年、厚生労働省が公表した令和六年財政検証では、外国人の入国超過数を人口推計の前提にして見通しを試算しており、外国人を年金の支え手として期待していることがうかがえるが、国民年金保険料の納付率が約四十三%と半数にも満たない状況では、もはや国民年金制度が崩壊しているのではないかと評価せざるを得ないと考える。

我が国における年金制度の持続可能性を確保していくためには、外国人からの確実な保険料徴収や外国人の年金制度の在り方の検討も含めて、早急な対策を取る必要があると考える。

これまでの私の取組である、外国人の国民健康保険料等の滞納率が日本人の三ないし四倍に上ることを指摘した質問主意書(令和六年十二月十三日提出)や外国人による運転免許証の切替制度悪用を指摘した質問主意書(令和七年二月十三日提出)と同様に、本質問主意書は、急増する在留外国人に対し、日本の法制度が対応できていない実態を明らかにし、日本国民が被っている不利益を回復するために、日本保守党所属議員として政府へ移民政策の是正を求めるものである。

これらを踏まえて、以下質問する。

質問1

前記の新聞報道で示されている、年金や医療などの保険料の納付実態を把握するための調査の検討状況について

1 調査の実施主体、実施時期、対象者及び内容をそれぞれ可能な限り具体的にお示し願いたい。

2 前記の「年金局の集計では、外国人の国民年金保険料の令和五年度の最終納付率(令和三年度分保険料)は四十三・四%」との調査結果は、前記の武見厚生労働大臣(当時)の答弁や前記の新聞記事に掲載された実態把握の検討結果に基づいて行われたものであるのか、両者の関係をお示し願いたい。

回答(質問1 について)

 御指摘の「調査」の「対象者」及び「内容」並びに「新聞記事に掲載された実態把握の検討結果に基づいて行われたもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「年金や医療などの保険料の納付実態を把握するための調査」については、令和六年五月十五日の衆議院厚生労働委員会において、武見厚生労働大臣(当時)が「どのようなデータを把握すべきかという点については、その目的、さらに、調査にかかる自治体の負担などに配慮もしながら、法務省とも連携をして、こうした調査の在り方について丁寧に検討していくことが必要だと私は考えます。」と答弁しているところ、当該「調査」として、御指摘の年金に係る「調査」については、厚生労働省において、同年十一月一日現在の状況として、国民年金の加入記録を有する外国人を対象として、国民年金保険料の納付状況の実態を集計したものであり、また、御指摘の医療に係る「調査」については、令和七年四月三日の参議院厚生労働委員会において、政府参考人が「外国人の滞納状況の把握については、現在その滞納状況を実際に把握できている自治体とできていない自治体があるところでございますので、まずはその把握が可能な自治体、こちらのところについてよく聞き取りを行って、その結果を踏まえた分析を速やかに進めていきたい、その上で更に全体的な調査というのもしっかりやっていきたい、このように考えております。」と答弁したとおり、現在、同省において、国民健康保険の加入記録を有する外国人を対象とした「調査」に向けて、地方自治体等と調整を行いながら、必要な検討を行っているところであり、お尋ねの「実施時期」については、現時点で具体的にお答えする段階にない。

質問2

在留外国人の国民年金保険料の未納の原因がいかなるものであるかについての政府の見解をお示し願いたい。

回答(質問2 について)

 在留外国人の状況は様々であり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、例えば日本語による意思疎通が困難であること等により国民年金制度についての理解が十分でなく、国民年金保険料を納付する義務が認識されていないことや、国民年金保険料の免除制度等が利用されていないこと等が要因であると考えている。

質問3

在留外国人の国民年金保険料の令和五年度の最終納付率が四十三・四%であることについて、日本年金機構の担当者は、前記の審議会において、納付率が低い水準にとどまっていると考えている旨を発言している。

1 このことについて、政府としての評価及び見解をそれぞれお示し願いたい。

2 この数値を改善すべきものと評価している場合、外国人の国民年金保険料の納付率向上のために政府が必要と考える取組を、納付率の数値目標及び達成時期とあわせてそれぞれお示し願いたい。

回答(質問3 の1について)

 お尋ねについて、御指摘の「審議会」において、日本年金機構から「八十三・一パーセントという全体納付率の中で、今回、外国人の納付率が四十三・四パーセントということでございますので、低い水準にとどまっていると考えております」との「発言」があったところ、政府としても同様に考えている。

回答(質問3 の2について)

 お尋ねについては、日本年金機構法(平成十九年法律第百九号)第三十三条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定めた令和六年四月一日から令和十一年三月三十一日までを期間とする中期目標において、国民年金第一号被保険者全体の「国民年金保険料の納付率については、平成二十四年度から連続して上昇しており、令和四年度に初めて八十パーセント台を達成したところであるが、納付率の更なる向上を図ること」、うち在留外国人については「外国人が未納者とならないよう市区町村、出入国在留管理庁、文部科学省及び外国人支援・交流団体等と連携した制度周知を厚生労働省とともに行い、対象者を分析し、納付督励、免除勧奨の取組を実施すること」と示しているところ、これに基づき、日本年金機構において、同法第三十四条第一項の規定に基づき同機構が定めた中期計画において、在留外国人を含む国民年金第一号被保険者全体のお尋ねの「納付率の数値目標」について、「現年度納付率については、行動計画に基づき、効果的・効率的に収納対策を実施し、中期目標期間中に八十パーセント台前半を目指す。また、国民年金保険料の最終納付率については、中期目標期間中に八十パーセント台後半を目指す」とした上で、在留外国人に係る「収納対策の具体的な取組」として「外国人については今後増加が見込まれることから、市区町村、出入国在留管理庁及び外国人支援・交流団体等と連携し、未納を防ぐための効果的な収納対策を実施する」とするとともに、同法第三十五条の規定に基づき同機構が定めた「日本年金機構令和七年度計画」においては、在留外国人を含む国民年金第一号被保険者全体のお尋ねの「納付率の数値目標」について、「令和五年度分保険料の最終納付率については、八十パーセント台半ば(前年度実績以上)を目指す」とした上で、「外国人納付率の改善等に向けて、」「機構ホームページやパンフレットの充実化により多言語対応等の環境を整備する」及び「本部・年金事務所においてそれぞれの関係機関と連携を図り、外国人に対する適用・収納対策を実施する」とし、各種の取組が行われているものと承知しているところであり、政府としては、引き続き、これらの取組が着実に実施されるよう、同機構に対して必要な指導等を行っていきたいと考えている。

質問4

国民年金の第一号被保険者について、外国人の保険料納付率が最も低い三都道府県並びに当該都道府県における直近の年度の国籍別及び在留資格別の外国人の人数及び保険料納付率をそれぞれ可能な限りお示し願いたい。

回答(質問4 について)

 御指摘の「外国人の保険料納付率」については都道府県別に把握しておらず、また、調査を行って集計することは膨大な作業を要することなどから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

質問5

国民年金保険料を未納のまま帰国した外国人について、直近年度の人数及び帰国した外国人全体に対する割合をそれぞれ可能な限りお示し願いたい。

回答(質問5 について)

 お尋ねの「人数」及び「割合」については把握しておらず、また、調査を行って集計することは膨大な作業を要することなどから、お答えすることは困難である。

質問6

在留外国人が我が国の年金制度から脱退する際に支給される脱退一時金の金額は、そもそも多くても納付した保険料の半分であり、例えば年金保険料の支払い期間が六か月である場合と十一か月の場合とで支給額が変わらないなど、当該外国人が支払った額に対応していないと考える。これに対して、例えば中国では、日本人の企業従業員は同国の年金制度に加入することが義務付けられているものの、年金受給資格期間に満たない加入者については個人負担分である「個人養老金口座」残高の一括返金が認められると認識している。このように我が国と外国とで年金制度を脱退する際の扱いには不平等が生じていると考える。このことが、外国人の年金保険料を支払う意欲を失わせ、滞納の一因となっているのではないかとも思われる。そこで、外国人の年金保険料納付を促すためにも現行の脱退一時金の支給額を見直す必要があるとも思われるが、政府の見解をお示し願いたい。

回答(質問6 について)

 我が国の公的年金制度における脱退一時金については、外国人が保険料を負担したにもかかわらず老齢給付に結び付かないという問題について対応するための特例的な措置として、障害又は死亡という保険事故にも対応していることから保険料の納付が保険給付に結び付かないというわけではないものの、当該外国人本人の立場に配慮して例外的に、国民年金制度においては保険料負担額の二分の一に相当する額を基準とした額を、厚生年金保険制度においては事業主及び本人の保険料負担のうち本人の保険料負担相当分を基準とした額を支給するものである。こうした制度の趣旨を踏まえると、御指摘のように「現行の脱退一時金の支給額を見直す」ことは、慎重に検討する必要があると考えている。

質問7

直近の年度において、我が国が社会保障協定を締結している国の数並びに締結していない国で当該国出身の在留外国人の多い国(上位三か国)及び人数をそれぞれ可能な限りお示し願いたい。

回答(質問7 について)

 お尋ねについて、我が国は、令和七年四月現在、社会保障協定を二十三か国との間で、それぞれ締結しており、また、我が国と社会保障協定を締結していない国のうち、在留外国人数の多い上位三か国及びその人数は、出入国在留管理庁が公表した「令和六年末現在における在留外国人数について」によれば、それぞれ、ベトナムが六十三万四千三百六十一人、ネパールが二十三万三千四十三人、インドネシアが十九万九千八百二十四人である。

質問8

現状のままでは、年金保険料を支払わないまま我が国で高齢者となり低年金又は無年金のために生活保護を受給することになる外国人が増加していくことが危惧されるところ、直近の年度において、生活保護受給者に占める外国人の割合及び低年金又は無年金により生活保護を受けている外国人の数をそれぞれ可能な限りお示し願いたい。

回答(質問8 について)

 お尋ねの「割合」及び「数」については把握していないが、世帯主が日本の国籍を有しない者であって生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)に基づく保護に準じた保護を受けている世帯(以下「外国人被保護世帯」という。)について言えば、令和五年度被保護者調査によると、同年度の同法に基づく保護又はこれに準じた保護を受けている世帯(以下「被保護世帯」という。)の合計の数は百六十五万四百七十八世帯、うち外国人被保護世帯の数は四万七千三百十七世帯であり、被保護世帯に占める外国人被保護世帯の割合は約二・八七パーセントとなっており、また、外国人被保護世帯が「低年金又は無年金により生活保護を受けている」かどうかについては、把握していない。

質問9

直近年度において、国民年金保険料の未納者及び滞納者並びに生活保護を受給している外国人であって、「経営・管理」の在留資格で我が国に入国した者の数を可能な限りお示し願いたい。

回答(質問9 について)

 お尋ねの「数」については把握しておらず、また、調査を行って集計することは膨大な作業を要することなどから、お答えすることは困難である。

質問10

低年金又は無年金の外国人に対して生活保護を行う必要性があるのかについて、法的根拠も含めて政府の見解をお示し願いたい。

回答(質問10 について)

 お尋ねについては、御指摘の「低年金又は無年金」であるか否かにかかわらず、令和七年三月十四日の参議院予算委員会において、福岡厚生労働大臣が「生活に困窮する外国人につきましては、人道上の観点から、日本人と同様に国内で制限なく活動できる永住者、定住者等の一定の在留資格を有する方について、行政措置として生活保護の取扱いに準じた保護を行うこととしています。現時点でも、その生活に困窮する外国人の方が現に存在しておられる現状を踏まえれば、外国人を保護の対象外とすることは人道上の観点から適当でないというふうに考えています。」と答弁したとおりである。

質問11

外国人の国民年金保険料の納付率がこれほど低い現状に鑑みれば、現在、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の対象となっている外国人について、同法の対象から外した上で、それらの外国人を対象とした新たな年金制度を創設すべきと考える。このような制度設計のメリット及びデメリットについて、政府の見解をそれぞれお示し願いたい。

回答(質問11 について)

 国民年金制度は、社会連帯と相互扶助の理念等に基づき、国籍のいかんを問わず等しく保障を及ぼすべきであるという我が国の社会保険制度の基本的な考え方に照らし、外国人についても、適正な在留資格を有し、加入要件を満たしている場合には、原則として適用対象としているところであり、御指摘の「新たな年金制度を創設すべき」とは考えておらず、したがって、お尋ねの「制度設計」について、政府として具体的に検討していないことから、その「メリット及びデメリット」についてお答えすることは困難である。