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沖縄における米兵による事件事故等に関する再質問主意書
経過状況:答弁受理
私が提出した質問に対して、二〇二五年三月十八日付で答弁書(内閣衆質二一七第八六号。以下「本件答弁書」という。)を受領したが、本件答弁書の答弁が不十分であったと考えるため、その内容を踏まえつつ、以下、再質問する。
質問1
本件答弁書の一について
1 本件答弁書は林官房長官の「衆議院予算委員会における石破総理の答弁は、質疑者との一連のやり取りの中で行われたものでございますので、個別の表現ぶりのみを取り上げて論評することが適切であるというふうに考えておりません」とする記者会見発言を引用するが、予算委員会における石破総理の発言について「個別の表現ぶりのみを取り上げて論評することが適切で」ないとする理由を明らかにされたい。
2 米軍人・軍属が所在する米軍基地と事件事故等との因果関係について、政府の認識を改めて伺う。
3 基地があるため、米軍人・軍属が存在し、それによって事件事故も発生しているという認識を政府も共有するのかどうか明示されたい。
4 過去二十年間における、米軍人・軍属による事件事故の発生件数、当該者の所属基地について、政府の把握するところをそれぞれ可能な限り示されたい。
回答(質問1 の1から3までについて)
お尋ねについては、先の答弁書(令和七年三月十八日内閣衆質二一七第八六号)一についてで述べたとおりである。
回答(質問1 の4について)
お尋ねの「米軍人・軍属による事件事故」の具体的に意味するところが明らかではないため、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、平成十七年から令和六年までの間において、警察が検挙した合衆国軍隊の構成員又は軍属による警察の犯罪統計の区分における刑法犯に係る検挙件数について、沖縄県において発生した件数は、七百四十八件であり、当該合衆国軍隊の構成員又は軍属の所属する基地は、キャンプ・ハンセン、キャンプ・コートニー等である。
また、平成十七年から令和六年までの間において、警察が検挙した合衆国軍隊の構成員又は軍属による警察の犯罪統計の区分における特別法犯に係る検挙件数については、犯罪が発生した都道府県別の件数は把握していないが、沖縄県警察による検挙件数は、二百六十二件であり、当該合衆国軍隊の構成員又は軍属の所属する基地は、キャンプ・ハンセン等である。
さらに、警察が検挙した合衆国軍隊の構成員又は軍属による道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)違反事件の検挙件数については、令和二年二月以前の件数は把握していないが、令和二年三月から令和六年十二月までの間において、警察庁として把握している限りでは、同県警察による検挙件数は、二百十九件であり、当該合衆国軍隊の構成員又は軍属の所属する基地は、キャンプ・ハンセン、キャンプ・コートニー等である。
加えて、合衆国軍隊の構成員又は軍属による交通事故(人の死傷を伴うものに限る。)の同県における発生件数については、令和二年二月以前の件数は把握していないが、令和二年三月から令和六年十二月までの間において、警察庁として把握している限りでは、三十三件であり、当該合衆国軍隊の構成員又は軍属の所属する基地は、キャンプ・ハンセン、キャンプ・コートニー等である。
質問2
本件答弁書の四について、二〇二三年十二月の事案について「日本側の捜査当局」が「非公表とすべきと判断したものと承知して」いるとし、外務省もその判断を踏まえ、事務方において「関係者に対する情報提供は控えるべきものと理解し、対応した」と答弁している。
1 「日本側の捜査当局」とは、具体的に何を指すのか明らかにされたい。
2 「日本側の捜査当局」が十六歳未満の性的暴行事件で被害者が殺害された案件を除き、同年十二月の事案以前の過去五年間で「公表」した事案があれば件名、発生年月日をそれぞれ可能な限り明らかにされたい。
3 「日本側の捜査当局」が性的暴行事件で「公表」「非公表」とする判断の基準を明らかにされたい。
4 同年十二月の事案以前の過去五年間で発生した米兵による性的暴行事件の件数を年度ごとに可能な限り示された上で、その中で「日本側の捜査当局」が「非公表とすべきと判断」したため、日米合同委員会合意(一九九七年三月合意)に基づく日米による通報手続及び情報共有の仕組みを活用しなかった事案があれば示されたい。
5 二〇二四年七月三十日の衆議院安全保障委員会において、捜査当局は外務省に対して、前記の合意に基づく通報手続を行わないよう求めた事実はないと警察庁長官官房審議官が答弁している。本件答弁書で述べられている「外務省においても、こうした判断を踏まえ」とは誰のどのような判断なのか明らかにされたい。
6 「日本側の関係当局による迅速な対応も確保されていたところであり」、「日米合同委員会合意の目的が達成されたものである」とする具体的な理由を説明されたい。
7 二〇二三年十二月の事案について通報を受けなかった防衛省沖縄防衛局が担うべきだったはずの業務の概要を示された上で、その業務を誰がどのように対応したことで、「目的が達成された」のか説明されたい。
8 沖縄県が担当する対応業務を示された上で、誰がどのように対応したことで「目的が達成された」のか、政府の把握するところを説明されたい。
回答(質問2 の1について)
那覇地方検察庁及び沖縄県警察である。
回答(質問2 の2について)
お尋ねの「「日本側の捜査当局」が十六歳未満の性的暴行事件で被害者が殺害された案件を除き、同年十二月の事案以前の過去五年間で「公表」した事案」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和元年から令和五年までの五年間に沖縄県警察が検挙した沖縄県における合衆国軍隊の構成員による性犯罪事件のうち、同県警察が報道発表を行った事件としては、令和三年一月三十一日に発生した強制わいせつ事件があるものと承知している。
回答(質問2 の3について)
お尋ねについて、那覇地方検察庁及び沖縄県警察を含め、捜査当局においては、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四十七条の趣旨を踏まえて、個別の事案ごとに、公益上の必要性とともに、関係者の名誉及びプライバシーへの影響並びに捜査・公判への影響の有無・程度等を考慮し、公表するか否か、公表するとしてどの程度の情報を公表するかを判断するものと承知している。
回答(質問2 の4について)
お尋ねの「同年十二月の事案以前の過去五年間で発生した米兵による性的暴行事件」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和元年から令和五年までの五年間に沖縄県警察が検挙した沖縄県における合衆国軍隊の構成員による刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十六条、第百七十七条及び第百七十九条から第百八十一条まで(不同意わいせつ、不同意性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等及びこれらの罪の未遂罪並びに不同意わいせつ等致死傷)の罪並びに刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(令和五年法律第六十六号)による改正前の刑法第百七十六条から第百八十一条まで(強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等及びこれらの罪の未遂罪並びに強制わいせつ等致死傷)の罪に係る事件の件数は、令和元年は零件、令和二年は零件、令和三年は三件、令和四年は零件及び令和五年は二件である。また、平成九年三月三十一日の在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続に関する日米合同委員会合意(以下「通報手続に関する日米合同委員会合意」という。)に基づくお尋ねの「日米による通報手続及び情報共有の仕組みを活用しなかった」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねの「事案」があるか否かについてお答えすることは困難である。
回答(質問2 の5について)
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「事案」への対応については、令和六年十二月十九日の衆議院安全保障委員会において、岩屋外務大臣が「お尋ねの一九九七年の日米合同委員会合意に基づく通報の取扱いについては、日頃から外務省事務方において対応しております。本件につきましては、捜査当局において、事案が公になることによって被害者の名誉、プライバシーに甚大な影響を与えることがあり得ることなどを考慮して、非公表とすべきと判断したものと承知しておりまして、外務省におきましても、そのような捜査当局における判断を踏まえて、事務方において関係者に対する情報提供は控えるべきものと理解し、対応したところでございます。・・・そして、誰だったのかというお尋ねですが、外務省としては組織として対応していることでございますので、誰であったかということを申し上げることは控えさせていただきたいと思います。」と答弁しているとおりである。
回答(質問2 の6から8までについて)
お尋ねの「防衛省沖縄防衛局が担うべきだったはずの業務」及び「沖縄県が担当する対応業務」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、通報手続に関する日米合同委員会合意の目的は、事件・事故が発生した際に、日米間で適切に情報のやり取りを行い、その結果として日本側の関係当局の迅速な対応を確保し、そうした事件・事故が地域社会に及ぼす影響を最小限にすることであり、御指摘の「事案」への対応においては、日本側の捜査当局から外務省への情報提供を踏まえ、日米間で適切な情報のやり取りが行われ、また、日本側の関係当局においても、日本側の捜査に支障が生じないよう米側とも協力し、その結果として、迅速な対応が確保されていたところであり、当該目的は達成されたと考えている。