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TSMC及びJASMに対する支援等に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 原口一博
会派 立憲民主党
公式リンク 第217回国会 / 質問答弁

政府は、先端半導体の製造基盤整備のため、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(以下「TSMC」という。)及びJapan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社(以下「JASM」という。)に対して、特定半導体基金事業によりこれまで合計一兆二千八十億円もの巨額の補助金を投入するなど支援を行い、令和六年十二月には熊本県菊池郡菊陽町のJASM第一工場が本格稼働を開始した。しかし、巨額の補助金を投入したTSMC及びJASMの我が国への誘致は、熊本県内に交通渋滞などの悪影響をもたらしているほか、我が国の半導体産業の育成及び強化につながらないと考えるため、以下質問する。

質問1

TSMC及びJASMの誘致による我が国及び地元への影響

1 JASM工場の立地地域である熊本県内では、渋滞の発生、地価の高騰、農地の減少等のマイナスの影響が生じていると聞く。政府は、このような地元へのマイナスの影響についてどのように把握し、評価しているのか。

2 JASMは第一工場と第二工場で合わせて三千四百名の雇用を予定しているほか、TSMC及びJASM誘致に伴う企業進出等を背景に人材争奪戦が激化しており、地元企業では必要な人材の確保が困難となる事態が生じていると聞く。政府は、こうした地元企業による人材確保への影響についてどのように把握し、評価しているのか。

3 政府は、以上のような立地地域等に生じたマイナスの影響を緩和するためどのような対策を講じていくのか。

4 熊本県内ではJASM工場の本格稼働により、同県の宝である地下水の枯渇や汚染といった環境への影響を懸念する声もあると聞く。政府は、立地地域におけるこうした目に見えない不安を払拭するため、どのような対策を講じていくのか。

回答(質問1 の1から3までについて)

 御指摘の「地元へのマイナスの影響」及び「地元企業による人材確保への影響」については、地元自治体や事業者からのヒアリングや各種公表データ等を通じて把握しており、Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社(以下「JASM」という。)を始めとした半導体関連企業による投資は、地域経済を活性化させることにつながるため、歓迎する意見がある一方で、その投資規模の大きさに伴い、JASMの工場の周辺地域への悪影響を懸念する意見もあると承知している。

 こうした懸念への対応としては、例えば、御指摘の「渋滞の発生」については、令和五年度補正予算で創設した「地域産業構造転換インフラ整備推進交付金」(以下「インフラ交付金」という。)により、熊本県に対し、JASMの工場の周辺の道路整備事業に関する支援を行うなど、渋滞解消に向けたインフラ整備に取り組むこととしている。また、御指摘の「人材確保」については、経済産業省九州経済産業局において、「九州半導体人材育成等コンソーシアム」を設立するなど、産学官で連携して人材育成に取り組んでいるとともに、中小企業等における構造的な人手不足に対しては、中小企業等の生産性向上を後押しするために令和五年度補正予算で措置した省力化投資支援等を実施している。引き続き、地元自治体等と連携しながら「影響を緩和する」ために適切な対策を講じてまいりたい。

回答(質問1 の4について)

 お尋ねの「地下水の枯渇」や「汚染」への対策については、先の答弁書(令和六年十二月十日内閣衆質二一六第九号。以下「前回答弁書」という。)三の2のアについてで述べたとおり、地元自治体や事業者等において様々な取組が講じられていると承知しているところ、政府としても、地元自治体や事業者等と連携し、適切な対策を講じているところであり、お尋ねの「地下水の枯渇」への対策としては、インフラ交付金により熊本県に対して工業用水道整備事業に関する支援を行うなど、地下水のみに依存しない用水の供給体制確立を目指している。また、お尋ねの「地下水」の「汚染」への対策としては、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(令和二年法律第三十七号。以下「法」という。)第十一条第三項に基づく認定(以下「認定」という。)を受けるためには、同条第一項に規定する特定半導体生産施設整備等計画(以下「特定半導体生産施設整備等計画」という。)の内容が法第六条第一項に規定する特定高度情報通信技術活用システムの開発供給等の促進に関する指針の内容に照らし適切な内容であることが必要であり、同指針において、法第二条第四項に規定する特定半導体(以下「特定半導体」という。)の生産に係る国内関係法令を遵守することを求めているところ、認定を受けた者(以下「認定事業者」という。)において排水に関係する各種法令を遵守するよう、引き続き、適切に対応してまいりたい。

 さらに、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(以下「TSMC」という。)及びJASMから提出された特定半導体生産施設整備等計画において、環境対策については、法令基準以上の取組を講じていく旨が記載されていることから、当該特定半導体生産施設整備等計画に基づき事業が進められていることについても確認を行ってまいりたい。

 なお、認定事業者が認定に係る特定半導体生産施設整備等計画に従って特定半導体生産施設整備等を実施していない、又は同項各号のいずれかに適合しないものとなったと認められるときは、経済産業大臣は、法第十二条第二項及び第三項の規定に基づき、当該特定半導体生産施設整備等計画の変更を指示し、又は当該認定を取り消すことができるとされており、これを踏まえ、助成金の交付を受けた認定事業者に対して当該認定に基づく助成金の返還を請求することが必要な場合においては、当該助成金の交付に係る業務を行う国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構において、特定半導体基金事業費助成金交付規程(令和四年四月三十日付け国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構作成)に基づき、請求する返還額については経済産業省からの指示に従い、適切に対応していくものと承知している。

質問2

我が国における半導体の供給確保及び半導体産業の育成、強化の在り方

1 私が第二百十六回国会で提出した質問主意書に対し、政府は、我が国半導体産業の復活に向けて、まず足下の生産基盤の確保に取り組むこととし、特に特定半導体については、国際的にも生産能力が限られているため、外国企業であるか否かにかかわらず、国内における安定的な生産体制の確保が重要であると答弁している。しかし、TSMC及びJASMの誘致により生産体制が確保されたとしても、同工場において製造される半導体が我が国企業をはじめとする我が国に確実に供給されなければ、我が国における特定半導体の安定供給確保につながらないと考えるが、TSMC及びJASMは我が国に対し半導体の供給義務を負うのか、政府の見解を問う。

2 TSMC及びJASMの誘致により半導体の生産基盤が確保されたとしても、外国企業であるTSMCに我が国における半導体の製造を依存することにつながりかねず、我が国の半導体産業における自立的な半導体製造能力の育成や半導体産業の振興に寄与するのか疑問もある。TSMC及びJASMの誘致により我が国半導体企業の製造能力の育成や半導体産業の振興にどのような効果がもたらされるのか、政府の見解を問う。

3 一で述べたTSMC及びJASMの我が国への誘致に伴う地元に生じたマイナスの影響や我が国半導体産業への効果を踏まえれば、外国企業であるTSMC及びJASMの誘致のために巨額の国費を投入するのではなく、自国の半導体製造企業の育成・強化を徹底的に図ることこそ重要と考えるが、政府の見解を問う。

回答(質問2 の1について)

 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Aの千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第十一条は、食糧その他輸出締約国にとって不可欠な産品の危機的な不足を防止するために一時的に課すものであること等の例外的な場合を除き、他の締約国への輸出について、関税その他の課徴金以外の制限を課すことを原則として禁止していることから、法は、国内向けに優先的に出荷する義務を課してはいないものの、前回答弁書二の2のア及び3についてでお答えしたとおり、TSMC及びJASMから提出された特定半導体生産施設整備等計画については、経済産業大臣として、需給がひっ迫した場合において増産すること、法第十一条第三項第二号に規定する特定半導体等の生産が十年以上継続的に行われると見込まれること等の認定に係る要件を満たすものと判断し、令和四年六月及び令和六年二月に認定を行ったものである。

 なお、認定事業者が認定に係る特定半導体生産施設整備等計画に従って特定半導体生産施設整備等を実施していない、又は同項各号のいずれかに適合しないものとなったと認められるときは、同大臣は、法第十二条第二項及び第三項の規定に基づき、当該特定半導体生産施設整備等計画の変更を指示し、又は当該認定を取り消すことができるとされており、これを踏まえ、助成金の交付を受けた認定事業者に対して当該認定に基づく助成金の返還を請求することが必要な場合においては、当該助成金の交付に係る業務を行う国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構において、特定半導体基金事業費助成金交付規程に基づき、請求する返還額については経済産業省からの指示に従い、適切に対応していくものと承知している。

回答(質問2 の2について)

 政府としては、特定半導体の生産施設等を整備し、生産を行うことは、特定半導体の国内安定供給確保に資するものであることに加え、半導体製造装置や半導体材料等の関連産業の集積、人材育成等を通じて、我が国における半導体関連技術の向上や半導体関連産業の振興に寄与するものであると考えている。

回答(質問2 の3について)

 国内における半導体製造企業の育成及び強化については、政府として、「半導体・デジタル産業戦略」(令和五年六月六日経済産業省改定)を踏まえて進めてきており、前回答弁書一の2についてでお答えしたとおり、足下の半導体の製造基盤の確保、次世代技術の確立及び将来技術の研究開発に取り組むことが必要であると考えており、例えば、令和十二年度まで特定半導体基金事業及び安定供給確保支援事業を、令和十一年度までポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業を、それぞれ実施するなど、引き続き必要な支援を行っていく考えである。