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アニメーション人材育成調査研究事業の成果活用状況及び今後の取組に関する再質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 八幡愛
会派 れいわ新選組
公式リンク 第217回国会 / 質問答弁

先に提出した「アニメーション人材育成調査研究事業の成果活用状況及び今後の取組に関する質問主意書」に対する答弁書(内閣衆質二一七第六四号)では、本事業により制作されたアニメーション作品の知的財産権(以下、「IP」という。)の所在に関する質問に対し、具体的な契約内容や帰属状況について明確な回答を示さなかった。しかしながら、本事業は税金を投入して実施されたものであり、国民の財産としてその成果物の取扱いが適正に行われているかを明らかにすることは極めて重要であると考える。

加えて、先の答弁では、「原画、設定資料、脚本などの中間素材」は「一義的には当該事業者において管理されるべきものであり、政府として、「中間素材がどのように保存・管理されているか」について把握していない」と述べられている。この点に鑑み、本事業において「一義的にIPをどこに所属させるべきか」についても、政府の明確な答弁が必要であると考える。

これらの点を踏まえ、以下の質問について、政府に再質問する。

質問1

本事業におけるIPの基本的な取扱いについて

1 先の答弁では、「原画、設定資料、脚本などの中間素材」は「一義的には当該事業者において管理されるべきもの」とされたが、では、IPについては一義的にどこに帰属させるべきものと政府は考えているのか。国、制作会社、あるいはその他の主体のいずれが本事業の成果を適切に管理すべきと考えているのか、政府の基本的な方針を示されたい。

2 本事業により制作されたアニメーション作品のIPについて、政府は当初から制作会社または第三者に帰属させることを前提とした契約を結んでいたのか。それとも、国が何らかの権利を保有することを検討した経緯があるのか。過去の契約方針及びその変更の経緯を含めて明確に示されたい。

3 IPの所在に関する契約内容は年度ごとに異なるのか、それとも一貫した方針のもとに決定されているのか。異なる場合、その変更の理由を具体的に示されたい。

回答(質問1 について)

 お尋ねの「本事業の成果を適切に管理」、「本事業により制作されたアニメーション作品のIP」、「当初から制作会社または第三者に帰属させることを前提とした契約を結んでいたのか」、「過去の契約方針及びその変更の経緯」及び「IPの所在に関する契約内容」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、「若手アニメーター等人材育成事業」及び「アニメーション人材育成調査研究事業」(以下これらを合わせて「育成事業」という。)において事業者により制作された作品に係る著作権については、育成事業の初年度である平成二十二年度から一貫して、基本的には当該事業者に帰属することとしている。

質問2

IPの現在の帰属状況について

1 二〇一〇年度から二〇二三年度までに本事業の支援を受けて制作されたすべての作品について、IPの帰属先(国、制作会社、クリエイター、その他の第三者)を年度別にそれぞれ可能な限り明示されたい。

2 上記作品のIPが制作会社またはその他の第三者に帰属している場合、それぞれの契約形態(完全譲渡、部分的な権利保持、ライセンス契約等)について、政府が把握している範囲で具体的に示されたい。

3 各年度の制作会社ごとに、政府がIPの契約内容を事前に確認し、適正であると判断したのか、それとも制作会社が独自に契約を決定し、政府は関与しなかったのか。もし関与していないのであれば、その理由を示されたい。

4 IPが制作会社ではなく、何らかの第三者の手に渡っているケースがあるのか。万が一そのような事態がある場合、それはどのような契約形態に基づくものなのか。政府はその実態を把握しているのか示されたい。

回答(質問2 の1及び4について)

 お尋ねの「IPの帰属先(国、制作会社、クリエイター、その他の第三者)」及び「IPが制作会社ではなく、何らかの第三者の手に渡っているケース」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、育成事業において事業者により制作された作品に係る著作権については、基本的には当該事業者に帰属することとしているところ、それを当該事業者から第三者に移転するときは、あらかじめ一般社団法人日本アニメーター・演出協会又は一般社団法人日本動画協会の承認を受けることとしており、一般社団法人日本アニメーター・演出協会及び一般社団法人日本動画協会によれば、現時点までに当該承認が行われた例はないものと承知している。

回答(質問2 の2及び3について)

 お尋ねの「契約形態(完全譲渡、部分的な権利保持、ライセンス契約等)」及び「IPの契約内容を事前に確認し、適正であると判断」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

質問3

IPの活用状況及び収益の分配について

1 本事業で制作された作品が商業的に活用され、配信、商品化、海外展開等により収益を得た場合、その収益は誰に帰属し、どのように分配されているのか。政府はその収益の状況を把握しているのか、また、それに関与する権限を有しているのか明示されたい。

2 一般に、国が資金提供した文化プロジェクトにおいては、IPの一部または利用権を国が保持し、公共の利益に資する形で活用することが考えられるが、本事業においてはそのような措置を講じていないのか。講じていない場合、その理由を具体的に示されたい。

回答(質問3 の1について)

 「収益は誰に帰属し、どのように分配されているのか」及び「その収益の状況を把握しているのか」とのお尋ねについては、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、育成事業において制作された作品の事業者による「配信、商品化、海外展開等」により生じた収益の額等の詳細については把握していない。

 「それに関与する権限を有しているのか」とのお尋ねについては、その具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

回答(質問3 の2について)

 お尋ねの「IPの一部または利用権を国が保持し、公共の利益に資する形で活用する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、育成事業は、事業者による作品の制作を通じた人材育成を目的とするものであり、文化庁としては、当該目的に沿って、育成事業の成果の関係業界等への普及に取り組んできたところである。