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選択的夫婦別姓制度に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 中谷一馬
会派 立憲民主党
公式リンク 第216回国会 / 質問答弁

令和六年十一月二十二日受領の政府答弁書(内閣衆質二一五第四七号)において、「お尋ねの「民法の改正に着手する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については、国民の間に様々な意見があり、政府としては、これらの国民各層の意見や国会における議論の動向等を踏まえ、更なる検討をする必要があるものと考えているところである。」との答弁があった。

選択的夫婦別姓制度は、現行の夫婦同姓制度ではやむを得ず事実婚を選択するカップルや、旧姓の通称使用では解消できないビジネス上の様々な理由による不便・不利益等の解消のために必要な制度であり、その導入に関する議論は、国民生活に直結する極めて重要な議論である。石破総理は、選択的夫婦別姓制度の導入には前向きな発言をしており、総理大臣に就任したことで議論が前に進むことを期待した国民は少なくない。それにもかかわらず、石破総理は、これまでの内閣の姿勢を踏襲する形で前出の答弁の内容を繰り返すばかりで、これまでその実現に向けた動きが全く見受けられていない。石破内閣として、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた議論をどのように進めていくのか、そのビジョンを明確に国民に示すべきである。

以下、選択的夫婦別姓制度の導入に関する政府の見解について質問する。

質問1

平成八年二月二十六日に法務省の法制審議会が答申した「民法の一部を改正する法律案要綱」について、政府としては、同要綱の第三、第四、第十一及び第十二の二の内容は現在も妥当であると考えているのか、見解を伺う。

回答(質問1 について)

 法制審議会は法務大臣の諮問機関であり、その答申は尊重すべきものと考えている。

質問2

石破総理は、本年十二月十六日の参議院予算委員会において、公明党の佐々木さやか議員への答弁の中で、「閣法として出す場合、政党の事前了承が必要だ。閣法を優先する考えは現段階ではない。」旨述べている。平成八年に法制審議会から選択的夫婦別姓制度の導入を内容とする民法改正案の要綱が答申されているにもかかわらず、政府として民法改正案を国会に提出せず、三十年近くも議論を放置している状況において、この発言は政府としてあまりに無責任ではないかと考える。

1 国会に議論を促すのであれば、まずは政府として早急に閣法を提出し、各党から提出された議案があれば閣法とあわせて国会において議論を行えば良いと考えるが、政府の見解を伺う。

2 先の答弁どおりであれば、国民に議論を提起するためには一刻も早く「政党の事前了承」を得て、閣法を提出すれば足りるものと考えられるが、政府としてそのための環境整備を進める考えがあるのか、あるとすればそのスケジュールの目途について、石破内閣の見解を伺う。

回答(質問2 及び質問3 の1について)

 お尋ねの「そのための環境整備を進める」の意味するところが必ずしも明らかではないが、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については、国民の間に様々な意見があり、より幅広い国民の理解を得る必要があると考えられることから、政府において法律案を提出するか否かについては、これらの国民各層の意見や国会における議論の動向等を注視しながら、総合的に検討する必要があるものと考えているところであり、また、国会の審議の在り方は、国会で御判断いただくものであると考えている。

質問3

政府は、選択的夫婦別姓制度の導入については、「導入を求める声があることは承知しているが、国民の間に様々なご意見があるものと承知している。」、「国民各層の意見や国会における議論の動向を注視し、更なる検討を進める。」旨の答弁を繰り返している。その「国民各層の意見」に関し、各報道機関が実施した最近の世論調査では、選択的夫婦別姓について、賛成が五割を超えているのに対し、反対は二割程度に留まっている。特に共同通信社が本年十月に実施した世論調査においては、賛成が六十七%、反対が二十二%であって、その導入は自民党議員も含めた多くの同僚議員にも賛同をいただけるものであると承知している。

1 こうした状況にかかわらず、政府は同じ答弁を繰り返すばかりであるが、前記世論調査の結果等もある中で、どのような状況に至れば政府は議論が熟したとの判断を示すのか、その基準を示されたい。

2 あわせてこれまでの具体的な検討のための取組状況(周知・広報を含む)を示すとともに、その検討に基づいて何が行われているのか、明確に示されたい。

回答(質問2 及び質問3 の1について)

 お尋ねの「そのための環境整備を進める」の意味するところが必ずしも明らかではないが、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については、国民の間に様々な意見があり、より幅広い国民の理解を得る必要があると考えられることから、政府において法律案を提出するか否かについては、これらの国民各層の意見や国会における議論の動向等を注視しながら、総合的に検討する必要があるものと考えているところであり、また、国会の審議の在り方は、国会で御判断いただくものであると考えている。

回答(質問3 の2について)

 お尋ねの「これまでの具体的な検討のための取組状況(周知・広報を含む)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については、国民の間に様々な意見があることを踏まえ、法務省ウェブサイト等において、必要な情報提供を行っているところである。

質問4

本年十月、国連の女子差別撤廃委員会は、日本政府に対して、夫婦同姓を義務付ける民法の規定を見直し、選択的夫婦別姓制度を導入するよう四度目の勧告を行った。同委員会の最終見解では、日本政府は、二年以内にフォローアップを行い、その報告を行うよう求められている。日本政府は、これまでの同様の勧告に対し、通称使用の拡大を含む取組についてフォローアップの報告を行っているものの、その取組は十分と評価されず、今回の四度目の勧告を受けることとなった。

1 この点からしても、日本政府の取組は国際社会においては評価されていないものと考えるが、政府の見解を伺う。

2 今回の勧告に対するフォローアップの期限である二年以内に、日本政府として選択的夫婦別姓制度の導入に向けた結論を出すべきであると考えるが、政府の見解を伺う。

回答(質問4 の1について)

 御指摘の「日本政府の取組は国際社会においては評価されていない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、選択的夫婦別氏制度も含め、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進めていくこととしているところであって、御指摘の女子差別撤廃委員会に対しても、このような我が国の立場に理解が得られるように説明に努めたところである。

回答(質問4 の2について)

 お尋ねの「導入に向けた結論を出す」の意味するところが必ずしも明らかではないが、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については、国民の間に様々な意見があり、政府としては、これらの国民各層の意見や国会における議論の動向等を踏まえ、更なる検討をする必要があるものと考えているところである。