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こどもまんなか社会の実現に向けた保育関係予算及び制度等に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 屋良朝博
会派 立憲民主党
公式リンク 第216回国会 / 質問答弁

保育施設は地方創生の要でもあり、その機能を失えば地域の存続は望めなくなる。日本の将来を担う全ての子どもは国の宝である。保育所及び認定こども園等の質と機能の向上に向けて、より一層子ども・子育て施策が推進され、また、安定した財源が確保される必要がある。

以上を踏まえ、次の事項について質問する。

質問1

平成二十四年の「社会保障と税の一体改革」以降積み残された、いわゆる「〇・三兆円メニュー」について、「こども未来戦略」(令和五年十二月二十二日閣議決定)では、一歳児並びに四歳児及び五歳児の職員配置基準の改善が明記された。しかし、一歳児の職員配置については、「二〇二五年度以降」の「加速化プラン期間中の早期に」改善を進めるとされるにとどまっているところ、具体的にいつ実施されるのか、政府の検討状況とあわせて明らかにされたい。また、制度発足以来七十五年ぶりにようやく実現した四歳児及び五歳児の職員配置の改善は、「経過措置として当分の間は従前の基準により運営することも妨げない」とされているところ、当分の間について具体的な期間を示されたい。

回答(質問1 の前段について)

 お尋ねについては、「こども未来戦略」(令和五年十二月二十二日閣議決定)において、「二千二十五年度以降、一歳児について、保育人材の確保等の関連する施策との関係も踏まえつつ、加速化プラン期間中の早期に六対一から五対一への改善を進める。」とされており、これも踏まえ、具体的な改善方法について、令和七年度予算編成過程において検討し、現在、最終的な調整を行っているところであり、予断をもってお答えすることは差し控えたい。

回答(質問1 の後段について)

 お尋ねの「具体的な期間」については、現時点で具体的に特定の期間を想定しているものではない。

質問2

こどもまんなか社会の実現に必要な安定的財源について、速やかに道筋を示すとともに財源の確保を着実に進める必要がある。政府は、こども未来戦略の「加速化プラン」を支える安定的な財源として、既定予算の最大限の活用等のほか、歳出改革等による公費節減の効果及び社会保険負担軽減の効果の活用により、三・六兆円程度の安定財源を確保するとしている。令和七年度における、こども未来戦略に明記された歳出改革等による公費節減効果及び実質的な社会保険負担軽減効果は、どの程度であると想定しているのか。

回答(質問2 について)

 令和七年度におけるお尋ねの「公費節減効果及び実質的な社会保険負担軽減効果」については、同年度の予算編成の結果明らかとなるものであるところ、当該予算編成については、現在、最終的な調整を行っているところであり、予断をもってお答えすることは差し控えたい。

質問3

全産業の労働者との賃金格差がなくなり、安定して長く働くことができるよう、早期に全ての保育関係職員において処遇改善がなされる必要がある。こども家庭庁は、保育士等の処遇の抜本的な改善を行い、現状からの大脱却を図るとし、令和六年度補正予算により保育士等の人件費の改定率を十・七パーセント引き上げるとしている。これについて、保育士等に含まれる者の具体的な範囲を示されたい。また、実際に現場で働く全ての保育士等の処遇が確実に十・七パーセント改善される見込みの有無と、これを担保する具体的な方策についても示されたい。

回答(質問3 の前段について)

 御指摘の「これについて」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「保育士等に含まれる者の具体的な範囲」については、こども家庭庁のホームページの「公定価格に関するFAQ(よくある質問)(令和六年十二月二十三日時点版)」において、「人事院勧告を踏まえた国家公務員の給与改定に伴う保育士等の処遇改善の対象となる者については、子どものための教育・保育給付交付金の交付に係る特定教育・保育施設、特定地域型保育事業所及び特例保育を行う施設又は事業所で通常の教育・保育に従事する職員のうち、令和六年度補正予算の積算上は、常勤職員として公定価格の基本分単価の対象としている施設長、主任保育士、保育士、調理員等の職種が対象ですが、職員の給与の決定は一義的には各設置者及び事業者の判断で行われるものであるため、今般の補正予算による公定価格上の人件費の増額分を活用した賃金改善は、全ての職員が対象に成り得ます。」と示しているとおりである。

回答(質問3 の後段について)

 お尋ねの「実際に現場で働く全ての保育士等の処遇が確実に十・七パーセント改善される見込みの有無」及び「これを担保する具体的な方策」については、三の前段についてで述べたホームページで示しているとおり、「職員の給与の決定は一義的には各設置者及び事業者の判断で行われるものである」ことから、一概にお答えすることは困難である。いずれにせよ、政府としては、令和六年十二月四日の参議院本会議において、石破内閣総理大臣が「保育分野につきましては、・・・今般の経済対策に大幅な処遇改善を盛り込んだところでございます。今後、この措置が迅速かつ確実に事業主から保育士に行き渡るように、実績報告を求めますとともに、保育所などの給与状況を明らかにするなど、経営情報の可視化、見える化についても進めてまいります。」と答弁しているとおりであり、こうした取組を進めてまいりたい。

質問4

保育士等の人材確保推進のため、子どもの命と安全を守る保育の重要性を広くアピールするとともに、保育士等の魅力を発信し、社会的地位をさらに向上させる取組が必要である。保育士は中高生にとってなりたい職業の上位に入るとの調査結果もある中で、中高生に対してどのように魅力を伝えていくのか、政府の具体的な方策について示されたい。

回答(質問4 について)

 お尋ねについては、学識経験者や保育関係団体等の関係者が保育士等の魅力向上や情報発信の促進等について意見交換等を行う「保育人材確保懇談会」を開催しているほか、こども家庭庁のホームページにおいて、「ハローミライの保育士」を開設し、主に中学生及び高校生を対象として、保育士資格の取得方法を示すとともに、保育所等における児童の発達の段階に応じた遊び方を紹介しながら、保育の実践事例等について情報提供を行っているところである。

質問5

子ども・子育て支援制度の公定価格において、今後さらに子どもの数が減少していく情勢に鑑み、利用定員を充足していない保育施設がその機能を維持できるよう、未充足の度合いに応じた加算率による乗除調整や、小規模定員区分における定員の細分化など、既存の仕組みを拡充・整備する必要があると考えるところ、政府の見解を問う。

回答(質問5 について)

 御指摘の「子ども・子育て支援制度の公定価格において、今後さらに子どもの数が減少していく情勢に鑑み、利用定員を充足していない保育施設がその機能を維持できるよう」にするための施策については、厚生労働省子ども家庭局長(当時)が開催した「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会」が令和三年十二月二十日に公表した取りまとめにおいて、「地域における人口減少が進み、都市部における状況との差が大きくなる中で、保育所の機能を踏まえた支援の在り方について、公定価格を含め検討すべきである。」「特に公定価格における利用定員の区分については、利用児童が減少している保育所の運営に支障が生じないよう、その細分化を検討する必要がある。また、利用児童が減少した際に利用定員を適切に見直すことが必要であることについて改めて地方自治体に周知を行うなど、人口減少を踏まえた対応を進めるべきである。このうち、公定価格に関する見直しについては、早期実現に向けて、子ども・子育て会議における議論も踏まえ必要な財源の確保と合わせた検討を進めていくべきである。」とされていることも踏まえ、必要な対応を検討してまいりたい。

質問6

山間部や島しょ部等の生活が著しく不便な地域において、保育人材の確保を促進するため、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第十三条の二及び第十四条において規定される「特地勤務手当等」に準じた「特地勤務加算」を公定価格上に定める必要があると考えるところ、政府の見解を問う。

回答(質問6 について)

 お尋ねについては、平成三十年三月五日の参議院予算委員会において、松山内閣府特命担当大臣(少子化対策)(当時)が「離島やへき地にあるこの認可保育所に勤務する保育士等への特地勤務手当を導入することにつきましては、ほかの手当と同様にそのまま公定価格に準用させることが適当かどうか、また対象となる保育所等をどのように規定をしていくかと、導入した場合の予算措置、財源等の問題も課題があるかというふうに思っております。」と答弁しているとおりである。

質問7

公定価格においては、冷暖房費加算、除雪費加算及び降灰除去費加算が、保育所等の所在地域に応じて加算されているが、地域の特性によって生じる経費には、沖縄及び離島地域の地理的・経済的な不利性による輸送費・交通費等も考えられる。光熱費や食材料費の高騰への対応も含め、地域の実態に応じた補助となるよう、また、きめ細かな支援が可能となるよう体制を整備する必要があると考えるところ、政府の見解を問う。

回答(質問7 について)

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、保育所等における御指摘の「光熱費や食材料費の高騰への対応」については、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」(令和六年十一月二十二日閣議決定)において、「地方創生臨時交付金のうち「重点支援地方交付金」では、地方公共団体が行う物価高対策を支援するため、推奨事業メニューとして、・・・事業者については、・・・医療・介護・保育施設、学校施設、商店街・自治会等に対し、エネルギー価格や食料品価格等の物価高騰に対する支援を、それぞれ示してきている。引き続き、地域の実情に応じて、困難な状況にある者をしっかり支えるとの観点から、上記の取組を継続しつつ、これから厳冬期を迎えることを念頭に灯油支援のメニューを新たに追加するなど、推奨対象を拡大した上で、「重点支援地方交付金」の更なる追加を行う。」としており、こども家庭庁及び文部科学省において、各都道府県等に対して、各事業者の負担の軽減に向け、引き続き、「重点支援地方交付金」を積極的に活用するよう依頼しているところである。