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日本航空百二十三便の御巣鷹山墜落事故に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 原口一博
会派 立憲民主党
公式リンク 第216回国会 / 質問答弁

昭和六十年八月十二日に、群馬県多野郡上野村の山中において日本航空百二十三便が墜落し、搭乗していた乗客・乗員五百二十四名のうち、五百二十名が亡くなり、四名が重傷を負う事故(以下「墜落事故」という。)が発生した。事故当日、当時の運輸省航空事故調査委員会(現国土交通省運輸安全委員会)は、運輸大臣からの事故発生の通報を受け、事故調査を開始し、昭和六十二年六月十九日に航空事故調査報告書(以下「報告書」という。)を公表、また、亡くなられた方(以下「犠牲者」という。)のご遺族の疑問点にわかりやすく説明するために、平成二十三年七月二十九日に報告書の解説書(以下「解説書」という。)を公表した。報告書における事故原因の結論として、ボーイング社による不適切な修理ミスによる後部圧力隔壁の破損等により操縦機能等を喪失したため、と推測されているが、例えば、圧力障壁が破損すれば急減圧により搭乗者は目や耳を痛めてしまうが、生存者にはそのような外傷はないこと、墜落現場についての情報が二転三転し、翌日の朝までわからなかったこと等、不可解な点が多数存在することから、事故原因は他にあるのではないかと疑念が生じている。運輸安全委員会設置法において、事故等調査の実施に当たっては、被害者及びその家族又は遺族の心情に十分配慮し、これらの者に対し、当該事故等調査に関する情報を、適時に、かつ、適切な方法で提供することが明記されていることから、政府は、このような疑念を払拭する責務がある。事故原因を問い質すことは、公共交通機関の信頼性及び国土交通省と航空業界が一体となって安全対策に取り組んでいく上で必要不可欠であることから、政府は、多くの犠牲者を出した当該事故原因の再調査等を含め、真相を明らかにする必要がある。

このような状況を踏まえ、以下質問する。

質問1

国土交通省ホームページに掲載されているトピックスにおいて、令和二年八月十二日及び令和三年八月十二日に、それぞれ「日航機事故ご遭難者三十五周年追悼慰霊式に参列」、「日航機事故ご遭難者三十六周年追悼慰霊式に参列」に関する内容が掲載されており、遭難者との記載がある。国土交通省では、墜落事故で亡くなられた方を犠牲者ではなく、遭難者として扱っているのか明らかにされたい。また、遭難者として扱っているのであれば、その理由も明らかにされたい。

回答(質問1 について)

 お尋ねの「遭難者として扱っている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国土交通省においては、御指摘の「墜落事故で亡くなられた方」を指して「遭難者」と呼ぶことはしていない。なお、御指摘の「日航機事故ご遭難者三十五周年追悼慰霊式」及び「日航機事故ご遭難者三十六周年追悼慰霊式」は公益財団法人慰霊の園が主催する式典の名称である。

質問2

犠牲者の遺族が日本航空株式会社(以下「JAL」という。)に対し、墜落事故を起こした日本航空百二十三便のボイスレコーダー(音声記録装置)とフライトレコーダー(飛行記録装置)の生データの開示を求めるため、令和三年三月二十六日に東京地方裁判所へ訴状を提出した「令和三年(ワ)第七六〇九号 ボイスレコーダー等開示請求事件」について、令和四年十月十三日に棄却との判決が言い渡され、その後の控訴審において棄却、最高裁判所においても上告棄却とされた。しかし、事故原因については、報告書と矛盾する目撃証言が多数報告されていることから、ボイスレコーダーやフライトレコーダーの生データを開示すれば、真の事故原因の解明に繋がり、犠牲者の遺族の疑念や矛盾点の解消を明らかにすることができるのではないかと考える。JALが所有しているボイスレコーダーやフライトレコーダーを開示しない理由を明らかにされたい。また、政府は、JALに対して、生データの開示を促すべきであると考えるが、政府の見解を伺いたい。

回答(質問2 について)

 お尋ねの「理由」については、政府として承知する立場にない。また、御指摘の「生データの開示」については、日本航空株式会社において適切に判断すべきものと認識している。

質問3

報告書では、事故は、後部圧力隔壁の不適切な修理に起因し隔壁が損壊したことにより、胴体後部・垂直尾翼・操縦系統が損壊し、飛行性能の低下と主操縦機能を喪失したために生じたと推定され、解説書では、ミサイルや自衛隊の標的機が衝突したとの外的要因はないとされている。それに対し、圧力隔壁が損壊した場合には、客室内に猛烈な風が吹き抜け、室温も低下するのに、生存者はそのようなことはなかったと証言しており、また、急減圧があった場合には、操縦士は酸素マスクを着けるように訓練されているはずだが、着けていなかったのはなぜか、という疑問が生じている。つまり、圧力隔壁損壊による急減圧はなかったと推定されることから、事故原因は圧力隔壁の損壊障壁の破損によるものではないと考えられる。さらに、解説書に記載されているミサイル等の外的要因の検証結果は、犠牲者の遺族等が納得する説明となっていないため、再調査を行う等、改めて事故原因の調査を行う必要があると考えるが、政府の見解を伺いたい。

回答(質問3 について)

 御指摘の「事故」の原因究明については、運輸省航空事故調査委員会(現在の国土交通省運輸安全委員会)において、航空機の機体の損傷状況等に関する調査について専門委員を任命するなどにより、事故原因について様々な角度から調査・解析を行った上で、航空機の運航、航空力学等を専門分野とする委員長及び委員による審議を経て、調査結果を昭和六十二年六月十九日に航空事故調査報告書として公表しており、当該事故に関して、その後新たに重大な情報を把握していないことから、現時点では再調査を行う必要があるとは考えていない。

質問4

報告書によると、東京航空局東京空港事務所内に設置された救難調整本部は、日本航空百二十三便の緊急状態発生通報を墜落事故当日の十八時二十六分に、機体がレーダーから消えた旨の通報を十八時五十九分にそれぞれ受領し、直ちに、その情報を警察庁、航空自衛隊入間救難調整所及び海上保安庁に通報したとされる。また、当時の防衛庁(現防衛省)は、機体がレーダーから消えた旨の通報により緊急事態と認識し航空機を発進させ、十九時二十一分に事故現場と思われる場所に炎を確認、より正確な位置確認をするためヘリコプターを発進させ、二十時四十二分に現場上空に到着、翌日の八月十三日四時十九分に墜落現場を特定したとされている。しかし、墜落事故発生の十八時五十六分頃から墜落現場の特定までに九時間以上という相当な時間を要していることは不自然であると考える。墜落現場の発見から特定までに相当な時間を費やした理由を明らかにされたい。

回答(質問4 について)

 お尋ねについては、御指摘の「日本航空百二十三便」の機体の発見及び墜落地点の確認までに時間を要した理由については、御指摘の「報告書」において「墜落地点は登山道がなく、落石の危険が多い山岳地域であり、夜間の捜索ということもあったため、機体の発見及び墜落地点の確認までに時間を要したことはやむを得なかったものと考えられる」としている。

質問5

墜落現場が判明した後、警察や自衛隊等による捜索・救難活動が行われ、生存者の発見や遺体の収容等が行われ、遺体の検死を警察官や医師等が行ったことは承知している。なお、検死に際し、一部の遺体をひとまとめにしたとされるが、それは、死因を解明させないための措置ではないかと疑念が生じているが、それが事実であるか明らかにされたい。また、遺体の中に、多数の完全に炭化した状態の遺体があったとされるが、飛行機の燃料に使用されるジェット燃料は灯油に似た性質をもっており、通常では、炭化するような状態になり得ないため、他に燃焼力の強い物質等によって炭化したのではないかと疑念が生じている。炭化した遺体が見つかった要因について明らかにされたい。

回答(質問5 について)

 御指摘の「検死に際し、一部の遺体をひとまとめにした」の意味するところが必ずしも明らかではないが、警察官等が御指摘の「死因を解明させないための措置」を講じたという事実は承知していない。

 また、お尋ねの「炭化した遺体が見つかった要因」については、御指摘の「報告書」において「機体の損壊による強度の衝撃と火災発生による火熱を受けたため、・・・遺体には離断・焼損・炭化による損傷が著しかった」としている。