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農業における高温被害及び害虫被害への対策に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 奥野総一郎
会派 立憲民主党
公式リンク 第216回国会 / 質問答弁

我が国の年平均気温は、百年当たり一・三五℃の割合で上昇し、世界平均の二倍近い上昇率で温暖化が進み、このことが農業における重大なリスクとなっており、作物の収量減少・品質低下など、生産現場に大きな影響が生じている。また、害虫のまん延リスクの増加にも繋がっており、害虫防除が喫緊の課題となっている。

水稲については、高温によって白未熟粒や胴割れ粒が生じることにより、品質が低下しており、令和五年産米では、一等米の比率が過去最低の六十・九%となった。果樹については、りんごやぶどうの着色不良、うんしゅうみかんの浮皮や日焼け、日本なしの発芽不良などが発生している。

害虫については、気温上昇による分布の北上・拡大、発生量の増加、越冬の可能性が報告・指摘されている。本年においては、カメムシ類などの大発生が予測される事態が生じて、病害虫発生予察情報のうち、警報が四県で発出された。

このような、高温や害虫の大量発生の被害対策として、農業現場における遮熱資材の導入や農薬散布等の害虫防除への支援が必要と考える。

これらを踏まえ、以下、質問する。

質問1

令和二年以降における高温及び害虫による農業被害額を、可能な限り示されたい。

回答(質問1 について)

 御指摘の「高温や害虫の大量発生」と「農業被害額」との因果関係が必ずしも明らかではないことから、お尋ねについては把握しておらず、お答えすることは困難である。

質問2

国が農業者に対して行っている、高温被害及び害虫被害の防止に関する施策を具体的に示されたい。また、これらの施策が、農業被害を防止する対策として十分であったのか、政府の見解を示されたい。

回答(質問2 について)

 御指摘の「高温被害」の「防止に関する施策」については、農林水産省においては、これまで累次にわたり、「高温に伴う農作物等の被害防止に向けた技術指導の徹底について」(令和六年八月二日付け六農産第千九百五十四号・六畜産第千五百九号農林水産省農産局農業環境対策課長・農林水産省畜産局企画課長通知)等の通知を発出し、都道府県に対して、高温による農作物等の被害を防止するための農業技術指導の徹底を図ってきており、また、令和五年度補正予算等で措置した「産地生産基盤パワーアップ事業」において遮光のための資材の導入等の高温による被害の対策に必要な経費を支援してきており、さらに、平成十九年度から毎年度、地球温暖化の影響と考えられる農業現場における農作物等の高温障害等の影響、その適応策等を「地球温暖化影響調査レポート」として取りまとめ、公表してきている。これらの施策は、農業現場において活用され、高温による被害の減少につながっているものと考えている。

 また、御指摘の「害虫被害」の具体的な内容が必ずしも明らかではないが、同省においては、指定有害動植物(植物防疫法(昭和二十五年法律第百五十一号)第二十二条第一項に定める指定有害動植物をいう。以下同じ。)について、その防除を適時で経済的なものにするため、同法第二十三条第一項に定める発生予察事業により、指定有害動植物による農産物への損害の発生を予察し、これに基づく情報を農業者に提供しているほか、同法第二十二条の二第一項の規定に基づき農林水産大臣が定める「指定有害動植物の総合防除を推進するための基本的な指針」(令和四年農林水産省告示第千八百六十二号)に基づき、農業者による指定有害動植物の発生状況に応じた防除の普及推進を図っているところである。さらに、都道府県に対して、気候変動の影響による指定有害動植物の発生量の増加や発生時期の変化等に対応した、新たな防除技術等の実証や農業者に対する講習等を実施するための消費・安全対策交付金による支援を行っているところである。これらの施策により、指定有害動植物の発生及び増加の抑制並びにこれが発生した場合における駆除及びまん延の防止が図られているものと考えている。

質問3

令和五年度補正予算で措置された「高温対策栽培体系への転換支援」事業を継続し、農業者の遮光資材の導入等高温被害対策への支援をさらに拡充する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

回答(質問3 について)

 御指摘の「高温対策栽培体系への転換支援」事業については、夏に高温であった令和五年の農産物検査(農産物検査法(昭和二十六年法律第百四十四号)第二条第一項に定める農産物検査をいう。)により一等と証明された水稲うるち玄米の比率が過去最低となったこと等から、令和五年度補正予算において高温である環境に適応した品種及び栽培技術に係る資材等の導入に必要な実証に係る経費を緊急的に措置したものであり、今後は当該事業による成果の普及を促進することにより産地の高温による被害への対策を後押ししていく考えであることから、令和六年度以降の予算では同様の事業を措置していない。また、御指摘の「遮光資材」に加え、当該事業による支援の対象としていた資材等の一部については、令和六年度補正予算で措置している「産地生産基盤パワーアップ事業」において、その導入に必要な経費の支援が可能である。

質問4

害虫被害を防止するためには、農薬散布による駆除や、防虫ネットの設置による侵入防止などの対策が重要である。加えて、防虫ネットを設置した際の温度上昇を抑制するための遮光資材等の設置も必要である。このため、農業者が行う害虫被害防止対策やそれに付随する対応について、国が支援する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

回答(質問4 について)

 御指摘の「農業者が行う害虫被害防止対策やそれに付随する対応」については、令和五年度補正予算等で措置した「産地生産基盤パワーアップ事業」において、御指摘の「農薬散布による駆除」に必要な農業機械、「防虫ネット」、「遮光資材」等の導入に必要な経費を支援してきているところである。