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国鉄民営化に係る自民党の約束と東日本旅客鉄道のサービス改悪に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 福田玄
会派 国民民主党
公式リンク 第216回国会 / 質問答弁

自由民主党は、昭和六十二年の国鉄分割民営化に際し、昭和六十一年五月二十二日の全国紙に意見広告を掲載し、国民に以下の約束をしたと承知するところであるが、昨今の東日本旅客鉄道株式会社のサービス改悪を鑑みるに約束違反も甚だしいと指摘せざるえない。石破総理は、「自民党をして責任政党」であると主張されていると知るところであるが、自由民主党が担う政権としてこの約束違反についてどのように対応されるのかについて、政府に対し以下質問する。

なお、本主意書で問題とする昭和六十二年の自由民主党の約束とは、以下のとおりである。

民営分割 ご期待ください。

 ・全国画一からローカル優先のサービスに徹します。

 ・明るく、親切な窓口に変身します。

 ・楽しい旅行をつぎつぎと企画します。

民営分割 ご安心ください。

 ・会社間をまたがっても乗りかえもなく、不便になりません。運賃も高くなりません。

 ・ブルートレインなど長距離列車もなくなりません。

 ・ローカル線(特定地方交通線以外)もなくなりません。

質問1

「明るく親切な窓口に変身します。」とあるが、東日本旅客鉄道に関していえば、窓口は集約化される方向にあり、かつてはどこにでもあった「みどりの窓口」も現在では都市部の一部の駅にしか設置されていない。明るく親切な窓口といっても、その窓口が最寄り駅になく、窓口に相談するために鉄道を使って移動しなければない上に、集約化された窓口は慢性的に混雑している状況を鑑みるに、むしろ不親切であるといっても過言ではないであろう。そこで質問するが、窓口の集約化は「親切な窓口」という標語と矛盾しないのか政府の見解如何。

回答(質問1 について)

 御指摘の「親切な窓口」については、日本国有鉄道の分割民営化の際に、自由民主党が掲載した御指摘の「意見広告」であって、特定の政党の活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。

質問2

「楽しい旅行をつぎつぎと企画します。」については、豪華列車「四季島」や不定期の企画列車カシオペアの運行など富裕層を対象にした企画は充実していると承知している。他方で、「ブルートレインなど長距離列車もなくなりません。」については、ほとんどの長距離列車は運行をやめて久しい。これは新幹線など高速鉄道の開業や延伸などによるものであると承知している。しかしながら、かつて長距離列車が運行していた区間などであっても、たとえば、北陸新幹線を例にすれば、高崎駅から長野駅までを在来線で直通で移動することができなくなっている。在来線を廃線するのはたやすいことであるが、鉄道開通までに至るまでの土木工事にかかる先人の苦労を考えれば、この鉄道インフラを放棄するのは慎重にも慎重を期するべきと考える。また、石破総理の政治信条であられる「地方創生」にあっては、鉄道インフラの維持は大きな課題であると考える。東日本旅客鉄道は、今般、久留里線の一部区間の廃線の方針を表明したときく。当該廃線区間の開業は一九三六年であり、地域住民のために先人たちが切り開いた貴重な遺産である。この遺産をこのようにいとも簡単に放棄するのは、「地方創生」という観点から鑑みるに地方活性化の足かせになるのではないかと危惧するものである。国有鉄道でなく民営化された鉄道会社である以上、利益を優先するのは致しかたないが、鉄道の公共性を鑑みるに、廃線の意思決定がこれ以上広がっていくことに国家としての在り方として非常に大きな危機感をもつものである。「ローカル線もなくなりません」も含めて、昨今の地方路線廃線の流れについての政府の見解如何。

回答(質問2 について)

 御指摘の「ローカル線もなくなりません」については、日本国有鉄道の分割民営化の際に、自由民主党が掲載した御指摘の「意見広告」であって、特定の政党の活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。

 御指摘の「廃線の流れ」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「地方路線」の状況については、令和六年三月二十二日の参議院国土交通委員会において、斉藤国土交通大臣(当時)が「一部のローカル線につきましては、人口減少や少子化、マイカー利用の普及やライフスタイルの変化などにより輸送人員が大幅に減少し、大量輸送機関としての鉄道特性が十分に発揮できない状況が生じてきております。今後、更なる人口減少も予測されている中で、地域や利用者にとって最適な形での地域公共交通の維持、確保を鉄道事業者の経営努力のみに委ねることは限界がございます。町づくりや観光振興に取り組む沿線自治体との官民連携を通じた再構築の取組が急務であると考えております。そのため、昨年、地域交通法を改正し、鉄道事業者又は自治体の要請を受けて国が再構築協議会を設置できることとするなど、制度面、予算面においてローカル鉄道の再構築に向けた関係者の取組を支援する仕組みを整えました。各地域におきまして、こうした新しい仕組みが積極的に活用され、利便性や持続可能性の高い地域公共交通が実現するよう、国としても取り組んでまいりたいと思っております。」と答弁したとおりである。

質問3

最後に、英国では、鉄道事業の再国有化を始めていると聞くところだが、国民の財産ともいえる鉄道インフラを保つために、我が国においても鉄道事業の再国有化を検討してもよいのではないかと考えるが、政府の見解如何。

回答(質問3 について)

 お尋ねについては、日本国有鉄道の分割民営化により発足した北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社(以下「旅客会社」と総称する。)については、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成十三年法律第六十一号)附則第二条に基づく「新会社がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針」(平成十三年国土交通省告示第千六百二十二号)等において示しているとおり、地域の経済及び社会の健全な発展の基盤の確保等の観点から、国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえて現に営業する路線の適切な維持に努めることが重要であり、政府としては、旅客会社に対して、同指針を遵守すること等について指導してきているところである。また、政府としては、鉄道事業者や地方公共団体等の地域の関係者によって、当該地域における今後の公共交通の在り方について十分に議論が行われるよう促すとともに、当該議論の結果を踏まえ、当該関係者に対して適切な支援を行うことができるよう、予算面及び制度面での枠組みを整備しているところである。これらにより、利便性や持続可能性の高い地域公共交通の実現に取り組んでいるところであり、現時点において、御指摘の「鉄道事業の再国有化を検討してもよいのではないか」とは考えていない。