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有機フッ素加工物がこどもの健康に及ぼす影響に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
近年話題になっている「永遠の化学物質」といわれる有機フッ素化合物(PFAS)は、こどもへの影響は具体的に解明されていないのが現状である。
化学物質の汚染は、胎児、乳幼児、児童、成長期のこどもたちの体に大きな影響を与える。胎児は胎盤から、乳幼児は母乳からダイレクトに代謝物が移行して、最も体に影響を受けやすい(母子間での農薬移行の実態をあらゆる行動実験で研究している神戸大学大学院教授の星信彦氏論文)。原因と結果の因果関係が完全に確立されていない不確実性があったとしても、考慮すべきという予防原則の観点で、曝露を極力下げるよう取り組むことが世界中の常識となっている。
以下、政府に対し具体的に質問する。
質問1
環境省は、体重五十キログラムの人が水を一生涯にわたって毎日二リットル飲用したとしても、PFASが、この濃度以下であれば人の健康に悪影響が生じないとする水準を基にこの目標値を設定している。五十ナノグラム/Lというのは、大人の体重を想定している。体重の少ないこどもたちも同基準でよいのか。
回答(質問1 について)
我が国の水道水の水質管理におけるペルフルオロ(オクタン−一−スルホン酸)及びペルフルオロオクタン酸の濃度の暫定目標値は、世界保健機関等が飲料水の水質基準の設定に当たって採用している方法を基本とし、生涯にわたって継続して摂取しても全ての年代の人の健康に影響がない水準を基に設定している。
質問2
科学的妥当性が担保されている環境省が二〇一〇年度に始めた「エコチル調査」の結果を、内閣府食品安全委員会のPFAS健康影響評価書案に反映するよう、こども家庭庁からも働きかけるべきではないか。
回答(質問2 について)
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、有機フッ素化合物(以下「PFAS」という。)に係る食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第十一条第一項に規定する食品健康影響評価については、令和五年二月から、食品安全委員会において「子どもの健康と環境に関する全国調査」(以下「エコチル調査」という。)の成果を含むその時点において到達されている水準の科学的知見に基づいて調査審議を行い、令和六年六月に取りまとめたところである。エコチル調査で得られた成果は、環境省から食品安全委員会及びこども家庭庁を含めた関係府省庁に情報提供を行っているほか、同省のウェブサイトに全て掲載している。同庁としては、必要に応じて、関係府省庁と適切に連携してまいりたい。
質問3
イスラエル、フィンランドでは血液検査が行われていると聞く。我が国においてもPFASに限らず、希望者のみだけでも血液検査を行うなどして、こども期の化学物質曝露を調査し、科学的にデータを蓄積し、保育、教育、医療の現場で活かすことが必要ではないか。
回答(質問3 について)
環境省においては、PFASに限らない化学物質等の環境要因が子供の健康に与える影響を明らかにするため、エコチル調査において、血液を含む生体試料を用いて化学分析を行い、子供の健康影響の指標との関連等について研究を行っており、当該研究で得られた成果については、関係府省庁に対して情報提供を行うとともに、同省のウェブサイトやシンポジウム等を通じて幅広く国民に対する情報提供を行っている。
質問4
日本国内で現在、PFAS汚染が確認されている地域のこどもの健康について、文部科学省、厚生労働省、環境省は追跡調査をするべきではないか。
回答(質問4 について)
お尋ねの「PFAS汚染が確認されている地域のこどもの健康について」の「追跡調査」が具体的にどのような調査を指すのか必ずしも明らかではないが、PFASが子供の健康に与える影響を明らかにするため、政府としては、国内外の科学的知見の収集を進めるとともに、三についてで述べたエコチル調査において平成二十三年一月から平成二十六年三月までに募集した約十万人の妊婦から生まれた子供の追跡調査を行っているところであり、引き続きこれらの取組を進めていく。