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新型コロナワクチンに関する質問主意書
経過状況:答弁受理
本年九月十二日、厚生労働省の薬事審議会医薬品第二部会において、MeijiSeikaファルマ株式会社のレプリコンワクチンであるコスタイベ筋注用が薬事承認について了承されたことを踏まえ、同月十三日に薬事承認された。
しかしながら、レプリコンワクチンの安全性をめぐっては、「メッセンジャーRNA等が無限に増える」といった懸念も示されている。
こうしたことも踏まえ、次の事項について質問する。
質問1
刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十七条第一項は、「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。」と規定している。
一方、厚生労働省の「薬事審議会審議参加規程」第十三条は、「委員等本人又はその家族が、申告対象期間中に審議品目の製造販売業者又は競合企業から寄附金・契約金等の受取の実績があり、それぞれの企業からの受取額が、申告対象期間中のいずれの年度も五百万円以下である場合は、当該委員等は、審議会等へ出席し、意見を述べることができるが、当該審議品目についての議決には加わらない。」とした上で、「ただし、寄附金・契約金等が、申告対象期間中のいずれの年度も五十万円以下の場合は、議決にも加わることができる。」と規定している。
この点に関し、薬事審議会の委員等は非常勤の国家公務員とされているが、薬事審議会審議参加規程にあるように、委員が製造販売業者等から寄附金を受領していた場合には、刑法第百九十七条第一項の規定に抵触しないのか。政府の見解を示されたい。
回答(質問1 について)
お尋ねの「委員が製造販売業者等から寄附金を受領していた場合には、刑法第百九十七条第一項の規定に抵触」するかについて、同項に規定する「その職務に関し、賄賂を収受し」たといえるか否かを含め、犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個々に判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、御指摘の「薬事審議会審議参加規程」に関しては、令和六年三月二十二日の参議院財政金融委員会において、政府参考人が「審議会への参加規程は、弁護士等の外部委員から構成される審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会というのがございますが、ここにおいて、従来の遵守事項の運用状況や我が国や海外状況、特に米国FDAにおける規程状況等を踏まえて検討されたものでございます。審議会の都度、ルールに沿って企業と委員の利益相反を確認し、公表しており、議論の公平性や透明性は確保されているものと考えられることから、少額であっても企業から金銭を受け取っていることをもって直ちに不適当であるとは言えないと考えております。審議会への参加に当たっては、企業等との間で審議の公平性に疑念を生じさせる特別の利害関係を有していないことを確認することを参加規程に定めており、委員就任時にもこの参加規程に基づき同様の確認をしております。このため、委員就任時及び参加時とも利害関係に疑義がないことを確認しており、引き続きこうした運用を適切に行い、審議会における議論の公平性、また透明性の確保に努めてまいりたいと考えております。」と答弁しているとおりである。
質問2
令和四年五月二十日、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和四年法律第四十七号)が施行され、新たに緊急承認制度が創設された。同制度の対象となる医薬品の要件としては、「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品であり、かつ、当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと」とされている。
この点に関し、同日発出された「緊急承認制度における承認審査の考え方について」(令和四年五月二十日付け薬生薬審発〇五二〇第一号)においては、感染症に用いる治療薬及びワクチンについては、有効性及び安全性の評価に係る考え方が示されている。この「ワクチン」の定義を示されたい。
回答(質問2 について)
感染症の予防に用いられるワクチンについては、「感染症予防ワクチンの臨床試験ガイドライン」(令和六年三月二十七日付け医薬薬審発〇三二七第四号厚生労働省医薬局医薬品審査管理課長通知別添)において、例えば、「特定の抗原を標的として免疫を賦活化して薬効を発揮する医薬品」、「感染性病原体に対する特異的な免疫を誘導する」もの、「免疫を賦活化して薬効を発揮し、主に健康な人における感染症の予防を目的として接種される」もの等とされているところ、御指摘の「緊急承認制度における承認審査の考え方について」における「ワクチン」は、このような意味で用いている。
質問3
厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」(以下「ADB」という。)に対し、「ワクチン接種歴別の新規陽性者数」に関する資料を提出していた経緯があると承知している。同資料は、HER−SYSに登録されている新規陽性者を、不明を含むワクチン接種歴の有無で分けて集計したものとなっている。
一方、厚生労働省は、同資料の作成に当たり、ワクチン接種歴が未記入の場合、令和四年四月二十日までのADB提出データでは未接種に分類していたが、同年五月十一日以降のADB提出データでは接種歴不明に分類している。このため、四月二十日までのADB提出データでは、未接種の新規陽性者数が実際よりも多くなっていたと指摘されている。
この点に関し、厚生労働省は、未接種の新規陽性者数を多く見せようとしていたのではないか。政府の見解を示されたい。
回答(質問3 について)
御指摘の「「ワクチン接種歴別の新規陽性者数」に関する資料」における新型コロナウイルス感染症に係る予防接種(以下「新型コロナ予防接種」という。)に使用するワクチン(以下「新型コロナワクチン」という。)の接種歴が未記入の場合における分類については、令和四年六月七日の参議院厚生労働委員会において、政府参考人が「HER−SYSにおける発生届の入力画面におきましては、ワクチン接種歴を入力する欄は、当初、ワクチン接種者が非常に少なかったことから、医療機関や保健所などの現場の入力負担を少しでも軽減する観点から、接種歴を特に選択しない場合には未接種としておりました。このような形で入力されたデータに基づき、これまで、単純集計ではありますけれども、ワクチン接種歴別の新規陽性者数に関する資料を作成してきたことから、昨年十二月、HER−SYSの入力画面のデフォルトを未記入に変更した後も、従来どおりの取扱いにのっとり、入力データを機械的に集計してアドバイザリーボードに毎回公表してきたものでございます。一方で、国立感染症研究所におきましては、昨年十二月以降、ワクチン接種歴が未記入の方を一律に接種歴不明であるとした上で資料を作成し、やはり同じアドバイザリーボードで公表してきた経緯がございます。厚生労働省の資料、数字と感染研の数字との乖離が大きくなってきたこと、また、このことについては本委員会でも四月に御指摘をいただきまして、五月十一日のアドバイザリーボード提出資料以降は、感染研における取扱いとの整合性を確保する観点から、厚生労働省の資料におきましても、接種歴が未記入の方は感染研と同様に接種歴不明として扱うこととしたものでございます。」と答弁しているとおりであり、令和四年四月二十日までの間の「「ワクチン接種歴別の新規陽性者数」に関する資料」において、御指摘のように「未接種の新規陽性者数を多く見せようとしていた」わけではない。
質問4
メッセンジャーRNAワクチンを接種し、メッセンジャーRNAがヒトの細胞内に取り込まれると、このメッセンジャーRNAをもとに、細胞内でスパイクタンパク質が産生される。また、ウイルスベクターワクチンを接種し、遺伝子がヒトの細胞内に取り込まれると、この遺伝子をもとに細胞内でスパイクタンパク質が産生される。これらのスパイクタンパク質が疾病の原因とならないことをどのように証明したのか。治験の具体的内容及び政府の見解を示されたい。
回答(質問4 について)
お尋ねの「スパイクタンパク質が疾病の原因とならないことをどのように証明したのか」の趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「メッセンジャーRNAワクチン」の接種により発現されるスパイクタンパク質の身体への影響も含めて治験において有効性及び安全性に係るデータを収集しており、例えば、ファイザー社の新型コロナワクチンでは、十六歳以上の四万三千四百四十八例を対象とする治験等が行われ、また、当該新型コロナワクチンに係る独立行政法人医薬品医療機器総合機構の特例承認に係る報告書において、「本剤を筋肉内投与した場合、本剤は主に投与部位に分布し、一部は全身(主に肝臓)へ一時的に分布し、それぞれでタンパク質を発現するが、いずれの部位でも時間の経過とともに本剤及び発現したタンパク質は消失すると推察された。」とされており、当該報告書等を踏まえ、令和三年二月十二日に開催した薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において審議が行われ、その結果を踏まえて承認を行ったものである。
なお、これらの承認後においても、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第六十八条の十第一項及び第二項並びに医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号)第二百二十八条の二十第一項の規定により、医薬品の製造販売業者や医師等は、当該医薬品の副作用その他の事由によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生、それらの使用によるものと疑われる感染症の発生等に関する事項を知ったときは、その旨を、特に医薬品の製造販売業者は、同項第二号ロの規定により、当該医薬品の副作用若しくはそれらの使用による感染症によりがんその他の重大な疾病、障害若しくは死亡が発生するおそれがあること、当該医薬品の副作用による症例等若しくはそれらの使用による感染症の発生傾向が著しく変化したこと又は当該医薬品が承認を受けた効能若しくは効果を有しないことを示す研究報告を知ったときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならないとされ、また、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第十二条第一項及び予防接種法施行規則(昭和二十三年厚生省令第三十六号)第五条の規定により、医師等は、定期の予防接種等を受けた者が、当該定期の予防接種等を受けたことによるものと疑われる特定の症状を呈していることを知ったときは、その旨を同大臣に報告しなければならないとされているところ、政府としては、引き続きこうした報告に基づく評価を行い、新型コロナ予防接種の安全性を確認することとしている。
質問5
「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(令和六年七月二日閣議決定)は、情報提供・共有、リスクコミュニケーションに関する項目を設けている。
また、「情報提供・共有(リスクコミュニケーション)に関するガイドライン」(令和六年八月三十日内閣感染症危機管理監決裁)は、偽・誤情報への対応に関し、国はSNSのトレンドなどを確認し、例えば、事実関係として明らかに誤っている情報が拡散され、国民等への影響等に鑑み必要がある場合には、表現の自由に配慮しつつ、関係機関と連携しながら、その時点で把握している科学的知見等に基づく正確かつ分かりやすい情報の周知や注意喚起を行うとしている。これらの項目に係るこれまでの国の予算の支出先及び支出額を示されたい。
さらに、「新型コロナウイルス感染症のワクチンの情報提供に資するための国民の認識や意向に関する調査及び情報提供資材制作一式」及び「「新型コロナウイルス感染症のワクチン広報プロジェクト」業務一式」に係るこれまでの国の予算の支出先及び支出額並びに偽・誤情報への対応状況を具体的に示されたい。
回答(質問5 について)
前段のお尋ねについて、御指摘の「国はSNSのトレンドなどを確認し、例えば、事実関係として明らかに誤っている情報が拡散され、国民等への影響等に鑑み必要がある場合には、表現の自由に配慮しつつ、関係機関と連携しながら、その時点で把握している科学的知見等に基づく正確かつ分かりやすい情報の周知や注意喚起を行う」に関しては、令和六年八月三十日に「新型インフルエンザ等対策政府行動計画ガイドライン」(平成二十五年六月二十六日新型インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議決定(令和四年六月三十日一部改定))が全面改定され、策定された「情報提供・共有、リスクコミュニケーションに関するガイドライン(内閣感染症危機管理監決裁)」において新たに記載されたものであり、令和六年十二月六日現在、これに基づく国の予算の支出実績はない。
後段のお尋ねについて、御指摘の「「新型コロナウイルス感染症のワクチンの情報提供に資するための国民の認識や意向に関する調査及び情報提供資材制作一式」及び「「新型コロナウイルス感染症のワクチン広報プロジェクト」業務一式」に係るこれまでの国の予算の支出先及び支出額」は、前者はターギス株式会社に令和三年一月から同年三月までで九百七十七万五千四百二十五円であり、後者は株式会社プラップジャパンに同年二月から令和四年三月までで一億七千百四十七万九千六百円、株式会社電通PRコンサルティングに同年四月から令和六年三月までで二億三十九万六千五百十六円である。また、御指摘の「偽・誤情報への対応状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、これらの業務においては、新型コロナワクチンについて、迅速かつ丁寧な情報発信を行い、正しい情報に基づいて、国民が接種を受けるかどうかの冷静な判断を行い得る環境を醸成すること等を目的として、厚生労働省が保有及び運営している各種広報手段の活用の支援等に取り組んできたところである。
質問6
本年九月十三日、コスタイベ筋注用を承認した理由を示されたい。
また、同月十二日、コスタイベ筋注用の承認について了承した厚生労働省薬事審議会医薬品第二部会におけるコスタイベ筋注用の非臨床試験に係る議論の内容を具体的に示されたい。
回答(質問6 について)
お尋ねについては、令和六年五月二十九日に開催した令和六年度第二回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会において、令和六年度の新型コロナウイルス感染症の定期の予防接種(予防接種法第五条第一項の規定による定期の予防接種をいう。)において「二〇二四/二五シーズンの定期接種において使用するワクチンの抗原構成について、WHOの推奨と同様に「JN.一系統及びその下位系統へのより高い中和抗体を誘導する抗原を含むこととし、その一例としては一価のJN.一系統が考えられる。」と決定した。」とされ、「一価のJN.一系統」に対応するワクチンが用いられることとなったことを踏まえ、御指摘の「コスタイベ筋注用」について、同年五月三十一日にMeiji Seika ファルマ株式会社から法第十四条第十五項の規定による承認事項の一部変更承認の申請が行われたことから、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の審査報告書において、御指摘の「非臨床試験」について、「本剤の効力を裏付ける試験の結果から、本剤の変異株対応ワクチンが、対応するそれぞれの変異株に対して免疫原性を示すことを確認した。また、本剤の一価(JN.一)ワクチンが、JN.一系統をはじめ、現在の流行株を含むオミクロン株の様々な亜系統(KP.三系統を含む)に対する中和抗体を誘導した。」とされており、また、「JN.一系統」のコロナウイルスに類似するウイルスに対するワクチン株を用いて実施した臨床試験において、ファイザー社の新型コロナワクチンとの「非劣性が検証された」とされていることを踏まえ、同年九月十二日に開催した薬事審議会医薬品第二部会において議論が行われ、その結果を踏まえて承認を行ったものである。
質問7
日本赤十字社の献血ルーム等の献血場所のうち、新型コロナワクチンを接種した者の献血を拒否している献血場所は存在しているのか。政府の見解を示されたい。
回答(質問7 について)
お尋ねの「新型コロナワクチンを接種した者の献血を拒否している献血場所」の「存在」は承知していない。なお、日本赤十字社が行う献血者の採血については、令和三年四月二十七日に開催した令和三年度第一回薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会安全技術調査会等での議論を踏まえ、血液製剤の安全性、献血者の安全確保、血液製剤の安定供給等を総合的に勘案し、ワクチンの特性や副反応の発現頻度等の観点から、新型コロナワクチンの接種後にワクチンの種類に応じて一定の期間における採血を見合わせることとしており、「「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第二十五条に基づく健康診断並びに生物由来原料基準第二の一(一)及び二(一)に規定する問診等について」の一部改正について」(令和四年十月三十一日付け薬生発一〇三一第四号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)において、当該期間を設けているところである。
質問8
ワクチンの被接種者から当該ワクチンの接種により産生された物質等が拡散されて他の者に影響を与える事象(以下「シェディング」という。)に対する政府の認識を示されたい。
また、政府がシェディングは存在しないと認識している場合、その根拠を示されたい。さらに、蚊等の吸血によるシェディングの危険性に対する政府の認識を示されたい。
加えて、シェディングの可能性が指摘されているレプリコンワクチンを承認したことにより、今後、邦人の海外渡航に支障が生ずる可能性もあると考える。我が国のワクチン政策について、今後、諸外国に対し、どのように説明していくのか。政府の見解を示されたい。
回答(質問8 の前段及び中段について)
お尋ねの「ワクチンの被接種者から当該ワクチンの接種により産生された物質等が拡散されて他の者に影響を与える事象」について、政府としては、ワクチンのうち、感染性を有する病原体そのものを接種する生ワクチンについて、飛沫又は接触によりワクチンに用いた病原体が伝播する可能性があるものが存在すると承知している。また、お尋ねの「蚊等の吸血によるシェディング」により健康被害が生じたとの事例は承知していない。
回答(質問8 の後段について)
御指摘の「シェディングの可能性が指摘されているレプリコンワクチン」の具体的に意味するところが明らかではないが、いわゆる「レプリコンワクチン」であるコスタイベ筋注用については、現時点で、「ワクチンの被接種者から当該ワクチンの接種により産生された物質等が拡散されて他の者に影響を与える事象」が生ずるとの科学的知見はないものと承知している。そのため、コスタイベ筋注用が我が国で承認されていることを理由として、御指摘のような「邦人の海外渡航に支障が生ずる可能性もある」とは考えていない。また、御指摘の「我が国のワクチン政策」については、ワクチンの安全性に係る情報を含めホームページ等で周知を図っているところであり、仮に外国政府から安全性に関する懸念が寄せられた場合には、適切に説明していく考えである。
質問9
日本国憲法第七十三条第三号は条約の承認について規定している。このうち、国会の承認を必要とする国会承認条約については、?法律事項を含む国際約束、?財政事項を含む国際約束及び?我が国と相手国との間、あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束であって、それゆえに、発効のために批准が要件とされているものとされている(いわゆる「大平三原則」)。
一方、世界保健機関(以下「WHO」という。)総会は、本年六月一日、疾病の国際的伝播を最大限防止することを目的とした国際保健規則(以下「IHR」という。)(二〇〇五)の改正案を採択した。本改正は、「パンデミック緊急事態」の定義を新たに規定すること等としており、拒否又は留保を表明した国を除く全ての加盟国に対して、改正の採択に関するWHO事務局長による通報の日から一年後に効力が生じることとなっている。
これらの点に関し、本年六月一日のIHR改正は、財政事項を含む国際約束であり、国会の承認を必要とする国会承認条約に該当するのではないか。政府の見解を示されたい。
また、同改正に基づき、「パンデミック緊急事態」に該当する場合に発出される勧告は、従来と同様、法的拘束力はないのか。政府の見解を示されたい。
回答(質問9 について)
御指摘の「本年六月一日のIHR改正は、財政事項を含む国際約束であり」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、参議院議員須藤元気君提出パンデミック条約及び国際保健規則改正案に関する質問に対する答弁書(令和六年二月九日内閣参質二一三第一一号)一について及び三についてでお答えしたとおり、国際保健規則は世界保健機関憲章(昭和二十六年条約第一号)上の規則に該当するものであり、同規則そのものは条約ではなく、同規則の改正については、「国会の承認」を要するものではないことから、御指摘の「本年六月一日のIHR改正」は、御指摘のように「国会の承認を必要とする国会承認条約に該当する」ものではないと考えている。
また、「同改正に基づき、「パンデミック緊急事態」に該当する場合に発出される勧告は、従来と同様、法的拘束力はないのか」とのお尋ねについては、同規則第一条において、勧告とは、世界保健機関が発出する拘束力を有しない助言とされており、御指摘のとおりである。