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介護施設等に入所する高齢者や障がい者等におけるマイナ保険証の利用への配慮や従来の健康保険証の利用継続の必要性等に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
医療のデジタル化を進めること自体は否定しないが、それを進める上で、誰一人取り残されないよう配慮が必要である。特に、医療機関を利用する機会が多い高齢者や障がい者等に対しては、医療を受ける権利を守るため、より一層の配慮が求められる。
そうした中、介護施設や福祉施設等(以下「介護施設等」という。)では、入所者の健康保険証を預かり、管理しているところが多く、また、入所者は医療を受ける機会も多いとされる。そのため、マイナンバーカード健康保険証(以下「マイナ保険証」という。)を基本とする仕組みの下では介護施設等がマイナンバーカードを預かることになり、その管理に不安を抱く介護施設等もある。マイナ保険証を利用する際の暗証番号の管理についても同様である。
介護施設等におけるマイナンバーカードの管理等については、デジタル庁・総務省・厚生労働省が、「福祉施設・支援団体の方向けマイナンバーカード取得・管理マニュアル」を作成し、紛失防止のため鍵付きのロッカー等に保管すること、出し入れした日時など管理の記録をつけること、職員のうちマイナンバーカードの管理を行う者の範囲を定めておくこと等の管理方法を示していることは承知している。
しかしながら、介護施設等の現場からは、入所者が夜間に緊急で受診する場合もあるため、管理を行う者を定めることなどは現実的ではないとの指摘や、そもそも入所者からマイナンバーカードを預かること自体が負担であるといった指摘がある。こうした指摘が出ていることからも、マイナ保険証ではなく資格確認書で対応するケースが現場では一定数生じると思われる一方、マイナ保険証を保有していない者に交付される資格確認書は有効期限が最大五年であり、五年経過後も資格確認書制度が存続するのか、先行きが見えない状況にある。
そこで質問する。
質問1
介護施設等におけるマイナンバーカードの管理の留意点等をマニュアル等で示すに当たっては、介護施設等の現場の実態を確認した上で、実態に即した、職員等にとってより負担の少ない方法を示していくことが必要と考えられるが、政府の見解を伺う。併せて、マニュアル等の作成以外に何らかの対策を講じているのであれば、その取組状況を明らかにされたい。
回答(質問1 について)
御指摘の「管理の留意点等をマニュアル等で示す」及び「マニュアル等の作成以外」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねのような「方法を示していくこと」は必要であると考えている。その上で、政府としては、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会専門家ワーキンググループ」において、介護施設等や支援団体等の関係団体から、御指摘の「現場」における個人番号カードの管理に際しての管理方法や暗証番号の取扱いについての懸念等の意見があったことなどを踏まえ、当該管理方法についての懸念に対しては、「福祉施設・支援団体の方向けマイナンバーカード取得・管理マニュアル」(令和五年八月七日付けデ国第五三二号等デジタル庁国民向けサービスグループ参事官等通知別添一及び同日付け総行マ第一〇五号総務省自治行政局住民制度課マイナンバー制度支援室長通知別添一)を作成し、都道府県及び指定都市並びに関係団体を通じて周知したところであり、加えて、当該暗証番号の取扱いについての懸念に対しては、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律施行規則及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に規定する個人番号、個人番号カード、特定個人情報の提供等に関する命令の一部を改正する命令(令和五年デジタル庁令・総務省令第十七号)を制定するとともに、「福祉施設・支援団体の方向けマイナンバーカード取得・管理マニュアル」を改訂し、「暗証番号の設定や管理に不安がある方等が安心してマイナンバーカードを取得し、利用でき、代理交付を受ける方の負担軽減にもつながるよう」、「利用者証明用電子証明書の利用に係る本人確認方法を機器による顔認証又は目視による顔確認に限定する設定を行い、暗証番号の設定を不要とした」「顔認証マイナンバーカード」を導入したところである。さらに、これら以外のお尋ねの「対策」の「取組状況」については、「マイナンバーカードの更なる申請促進に向けた福祉施設・支援団体への出張申請受付等の積極的な実施について」(令和六年九月三十日付け総務省自治行政局住民制度課マイナンバー制度支援室長等事務連絡)において、「福祉施設等において、・・・マイナンバーカードの取得支援及びカードの管理を行う上で・・・有効と考えられる対応について」として、「福祉施設等において、暗証番号の設定や管理に不安があるとの声を踏まえ、施設利用者や施設スタッフの方々が安心してカードを取得し、利用できるよう、顔認証マイナンバーカード・・・を導入して」いる中での、御指摘の「現場の実態」として市区町村から報告のあった「福祉施設・施設団体等から施設利用者の親族等へ顔認証マイナンバーカードのメリットについて積極的に周知を行った結果、申請促進に繋がった事例」等を紹介するなどにより、個人番号カードの管理に際しての対応について丁寧に周知してきたところである。
質問2
介護施設等におけるマイナンバーカードの管理にあたる職員等の負担を軽減するため、介護施設等の入所者等に対しては従来の健康保険証の制度を存続させることや発行済みの健康保険証の有効期間の延長を認める等、柔軟な運用が行えるよう制度を見直すべきと考えるが、政府の見解を伺う。
回答(質問2 について)
政府としては、一についてでお答えしたとおり、御指摘の「職員等の負担」の「軽減」に取り組んでいるところであり、また、マイナ保険証(健康保険証として利用するための登録が行われた個人番号カードをいう。以下同じ。)は、「介護施設等の入所者等」を含め、本人の健康や医療に関するデータに基づいたより適切な医療を受けることが可能となるなど、様々なメリットがあるため、その利用を促進していきたいと考えており、さらに、「介護施設等の入所者等」を含め、マイナ保険証を有していてもオンライン資格確認を受けることができない状況にある被保険者又は被扶養者に対しては、申請により資格確認書を交付することとするなど、全ての方が保険医療機関又は保険薬局から安心して療養の給付を受けることができる体制の整備に取り組んでいることから、御指摘のように「制度を見直すべき」とは考えていない。
質問3
資格確認書制度は今後もマイナ保険証を利用しない場合の選択肢として存続するのか、一時的な制度なのか、政府の方針を伺う。
回答(質問3 について)
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、資格確認書の有効期限については、健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第四十七条第二項等の規定により、保険者が交付の日から起算して五年を超えない範囲内において定めるものとされているが、資格確認書を交付する仕組み自体については、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第五十一条の三等において定められているところ、期限については定められていない。