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公職選挙法の虚偽事項公表罪に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
二〇二四年に執行された内外の各級の選挙においてインターネット上で偽情報が野放しになり、その偽情報によって選挙結果に影響を与えたのではないか、選挙を公明かつ適正に行うことができなかったのではないか、との見方があるところ、以下、質問する。
質問1
二〇二四年十二月三日の参議院本会議で辻元清美議員からの公職選挙法第二百三十五条第二項に規定される虚偽事項公表罪についての質問に対し村上誠一郎総務大臣は「SNSを含め、インターネット上での発信なども公職選挙法の対象になる」と答弁した。インターネット上での発信には、自ら入力した文字や画像だけでなく他人の投稿を拡散する行為(いわゆる、シェア、リポストなど)も含まれるか。政府の見解は如何に。
回答(質問1 について)
お尋ねの「自ら入力した文字や画像だけでなく他人の投稿を拡散する行為(いわゆる、シェア、リポストなど)」が、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第二百三十五条第二項の虚偽事項の公表罪に該当するか否かについては、個別具体の事実に即して判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、同項の罪については、当選を得させない目的をもって公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした場合に成立するものである。
質問2
兵庫県知事選挙での読売新聞の出口調査では、「どの情報を最も参考にしましたか」との問いに対して、「新聞やテレビ」が三十四%、「SNSや動画投稿サイト」が二十六%との回答であったところ、インターネット上での情報が選挙に大きな影響を与えていると考えられる。インターネット上の偽情報によって選挙結果が悪影響を受けるリスクがあるところ、選挙期間中であっても公職選挙法第二百三十五条第二項に規定される虚偽事項公表罪を適用し取締りを行う必要があると考えるが、政府の見解は如何に。
回答(質問2 について)
御指摘の「選挙結果が悪影響を受ける」の意味するところが必ずしも明らかではないが、都道府県警察においては、御指摘の公職選挙法第二百三十五条第二項違反を含め、同法違反の取締りに当たり、個別具体の事実に即して、法と証拠に基づき適切に対処しているものと承知している。
質問3
ルーマニア憲法裁判所はインターネットでの偽情報の拡散などロシアからの介入の可能性を踏まえて二〇二四年十一月二十四日に執行された大統領選挙の第一回投票の結果を無効とする判断を示した。外国勢力による偽情報の発信や情報プラットフォームのアルゴリズム操作は選挙結果に悪影響を与えうることから、我が国の選挙を公明かつ適正に行うためには更なる対策が必要と考えるが、政府の見解は如何に。
回答(質問3 について)
御指摘の「外国勢力」、「情報プラットフォームのアルゴリズム操作」及び「選挙結果に悪影響を与えうる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、選挙における「偽情報の発信」への対策については、令和五年四月三日の参議院決算委員会において、松野内閣官房長官(当時)が「民主主義の根幹を成す選挙においては、有権者の自由な意思による公正な選挙が確保されることが重要と考えます。このため、現行制度においては、外国による偽情報も含め、公職選挙法の虚偽事項公表罪や刑法の名誉毀損罪など、罰則による対策を講じているところであります。偽情報による選挙干渉に対しては、偽情報の動向を早期に把握し、必要に応じ周知や注意喚起を行うことが基本であり、偽情報の内容等に応じて関係機関が連携して対応することにより、選挙の公正の確保に取り組んでまいりたいと考えています。」と述べたとおりである。