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腐敗防止の国際協力に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 櫻井周
会派 立憲民主党
公式リンク 第216回国会 / 質問答弁

グローバル化の進展に伴い、公務員に係る贈収賄、公務員による財産の横領等腐敗に関する問題は、持続的な発展や法の支配を危うくする要因として、もはや地域的な問題ではなく、すべての社会および経済に影響を及ぼす国際的な現象となっている。また、腐敗行為と組織的犯罪等その他の形態の犯罪との結び付きも指摘がなされるようになり、効果的に腐敗行為を防止するためには国際協力を含め包括的かつ総合的な取組が必要であるとの認識が共有されるようになっている。このような状況の下、国際連合において腐敗問題に対処するための包括的な国際文書の作成が検討され、二〇〇三年十月の国連総会において「腐敗の防止に関する国際連合条約」(国連腐敗防止条約)が採択され、同年十二月、わが国も署名を行った。その後、この条約は二〇〇五年十二月に発効したところ、わが国は二〇一七年六月の国内法の整備を待って、同年七月十一日に同条約を締結、同年八月十日にわが国について効力が発生したところである。腐敗防止の国際協力を推進することの重要性に鑑み、以下質問する。

質問1

国連腐敗防止条約の締約国であるわが国が負っている条約上の義務は何か。

回答(質問1 について)

 我が国は、腐敗の防止に関する国際連合条約(平成二十九年条約第二十四号。以下「国連腐敗防止条約」という。)に基づき、公務員に係る贈収賄、犯罪収益の洗浄、司法妨害等を犯罪として定め、これらの犯罪について自国の裁判権を設定すること、犯罪人引渡し、犯罪収益の没収、財産の返還等について国際協力を促進すること等の義務を負っている。

質問2

外務省ウェブサイトの「腐敗防止」のページでは「国際社会の主要メンバーである我が国としての貢献が期待されています」との記載があるが、わが国に期待されている具体的な「貢献」とは何か。

回答(質問2 について)

 お尋ねについては、我が国は、一についてで述べた国連腐敗防止条約上の義務の履行に加えて、腐敗対策の分野における開発途上国に対する技術援助等が期待されていると考えている。

質問3

腐敗防止の国際協力は、多国間の枠組みに加え、二国間の協力関係も重要であると考えるが、腐敗防止に関しわが国と二国間で具体的に協力を行っている国はあるのか、あるとすればその国名は何か。

回答(質問3 について)

 お尋ねについては、例えば、腐敗対策に関し、米国等と二国間の意見交換を随時実施しているところである。

質問4

国連腐敗防止条約の相互審査の仕組みに基づき、二〇二三年九月に対日審査報告書が採択されているが、そこで示された条約実施上の課題はどのようなものであり、今後日本政府はどのように対処していくのか。

回答(質問4 について)

 御指摘の「対日審査報告書」においては、国連腐敗防止条約第三章及び第四章の規定に関し、我が国として当該規定に基づく義務の履行を怠っている旨の指摘はなかったが、当該規定の実施上の課題として、外国公務員等に係る収賄を犯罪として定めることを考慮することや国際協力の要請に関するデータ収集のシステムを強化すること等の腐敗行為の防止に関する我が国における既存の措置を更に強化し得る事項や我が国に対して実施を考慮することを奨励し又は勧告する事項が指摘されている。政府としては、これらの指摘を踏まえつつ、関係省庁が連携し、引き続き、国連腐敗防止条約の着実な実施に努めてまいりたい。

質問5

腐敗防止の国際協力を推進することについて、政府の見解を明らかにされたい。

回答(質問5 について)

 お尋ねについては、国連腐敗防止条約前文において、「この条約の締約国は、腐敗が社会の安定及び安全に対してもたらす問題及び脅威が、民主主義の制度及び価値、倫理上の価値並びに正義を害すること並びに持続的な発展及び法の支配を危うくすることの重大性を憂慮し」、「腐敗がもはや地域的な問題ではなく、すべての社会及び経済に影響を及ぼす国際的な現象であり、腐敗行為を防止し、及び規制するための国際協力が不可欠であることを確信し」とされているところ、我が国としては、かかる認識の下、国際的な取組を積極的に推進してまいりたい。