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いわゆる「袴田事件」無罪判決に対する「検事総長談話」等に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 櫻井周
会派 立憲民主党
公式リンク 第216回国会 / 質問答弁

本年九月二十六日、静岡地方裁判所は袴田巖さんに無罪判決を言い渡した。これを受けて、検察庁は上訴権を放棄し、同年十月九日にいわゆる「袴田事件」の無罪判決が確定したところである。この無罪確定の前日である十月八日、畝本直美検事総長は「検事総長談話」を発表した。この「検事総長談話」において畝本検事総長は、再審請求審で開示された「五点の衣類」についての静岡地裁の証拠評価に対して「大きな疑念を抱かざるを得ません」「何ら具体的な証拠や根拠が示されていません」とし、「本判決は、その理由中に多くの問題を含む到底承服できないものであり、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容である」と述べている。「袴田事件」の再審請求審、再審公判では、捜査当局による証拠の捏造が裁判所によって厳しく指弾されたわけであるが、畝本検事総長がいまだに袴田巖さんを犯人視していることは、袴田巖さんの名誉を棄損するばかりか、歴史的な冤罪事件となった「袴田事件」における捜査の誤りへの反省がまったく見られないと言わざるをえない。「袴田事件」が日本の刑事司法のあり方に与えた影響の大きさに鑑み、以下質問する。

質問1

一般論として、「検事総長談話」で示される内容は、検事総長個人の見解か、検察庁の見解か。

回答(質問1 について)

 お尋ねの「検事総長談話」という用語について確立した定義はないため、お尋ねについて一般論としてお答えすることは困難である。

質問2

本年十月八日に公表された「検事総長談話」で示された内容は、検事総長個人の見解か、検察庁の見解か。

回答(質問2 について)

 お尋ねの「本年十月八日に公表された「検事総長談話」で示された内容」については、検察当局において、組織として決定した内容である旨を対外的に説明しているものと承知している。

質問3

本年十一月二十七日、静岡地方検察庁の山田英夫検事正は、袴田巖さん、袴田ひで子さんと面会し、「この事件の犯人が袴田さんであるというようなことは申し上げるつもりはございませんし、犯人視することもない」と述べ謝罪した。この発言は、山田検事正個人の見解か、検察庁の見解か。

回答(質問3 について)

 お尋ねの「発言」については、検察当局において、組織としての見解である旨を対外的に説明しているものと承知している。

質問4

畝本検事総長の「検事総長談話」と山田検事正の発言は、その内容上、齟齬があると考えるが、検察官同一体の原則に照らし、山田検事正の発言は、畝本検事総長の「検事総長談話」の内容に矛盾しないのか、政府の見解を明らかにされたい。

回答(質問4 について)

 御指摘の「袴田事件」について、検察当局においては、無罪判決を受け入れ、これを確定させる以上、今後、袴田巖氏が同事件の犯人であるなどと申し上げることはないという考え方は御指摘の「畝本検事総長の「検事総長談話」」を発表した当初から変わっておらず、御指摘の「山田検事正の発言」はその内容と矛盾するものではない旨を対外的に説明しているものと承知している。

質問5

畝本検事総長は、検事総長就任にあたり、「検察が国民の信頼という基盤に支えられていることを心に刻み、全国の検察職員が、その職責を深く自覚し、熱意をもって職務に取り組むよう、力を尽くしたい」と述べている。十月八日に公表された「検事総長談話」は、「国民の信頼という基盤」に支えられ得るものと政府は考えるか。

回答(質問5 について)

 お尋ねの「十月八日に公表された「検事総長談話」は、「国民の信頼という基盤」に支えられ得る」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。