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石破新総理が提唱したアジア版NATOと核共有に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
石破新総理は、米ハドソン研究所に寄稿した「日本の外交政策の将来」と題する論文(以下「同論文」という。)において、「アジア版NATOの創設が不可欠である」とした上で、「アジア版NATOにおいても米国の核シェアや核の持ち込みも具体的に検討せねばならない。」と述べている。
これを踏まえ、次のとおり質問する。
質問1
アジア版NATO
1 石破新総理が同論文で提唱した「アジア版NATO」について、政府は具体的にどのようなものであると捉えているか、その目的、任務、地理的範囲、想定される加盟国などを示されたい。
2 上川前外務大臣は令和六年五月九日の参議院外交防衛委員会において、アジア太平洋地域は「欧州と比較をして、域内各国の同質性が低く、NATOのような集団的安全保障体制が成立しづらいといった分析などもあると承知をしており」、「現時点におきましては、日米同盟を基軸としつつ様々な対話の枠組みを重層的に活用していくことが現実的と考えている」と述べている。石破新内閣としては、「アジア版NATO」の必要性及び実現可能性についてどのように認識しているか伺いたい。
3 NATOのような相互に防衛義務を負う機構に我が国が加盟することは憲法上許容されるか、政府の見解を伺いたい。
回答(質問1 の1及び2について)
御指摘の「米ハドソン研究所に寄稿した「日本の外交政策の将来」と題する論文」(以下「論文」という。)については、石破茂衆議院議員の政治家個人としての見解であると承知しており、お尋ねについては、政府としてお答えする立場にないが、いずれにせよ、石破内閣としては、令和六年十月八日の参議院本会議において、石破内閣総理大臣が「アジア版NATOを含む日本の安全保障の在り方については、これまで私自身、一国会議員としての考え方を累次述べてまいりました。一朝一夕で実現するとは思っておりませんが、一国の総理大臣として、まずは喫緊の外交・安全保障の課題に取り組んでいく必要があると考えております。この地域における多国間の安全保障枠組みの構築は、大きな構想であります以上、当然のことながら、最終的にどのような枠組み、組織になるかは今後の議論次第であります。いずれか特定の国を念頭に置いたものではございません。」と答弁しているとおりである。
回答(質問1 の3について)
仮定の御質問にお答えすることは困難であるが、一般論として申し上げれば、憲法第九条の下で許容される「武力の行使」は、あくまでも、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しした「武力の行使」の三要件に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」に限られており、集団的自衛権の行使一般を認めるものではなく、他国を防衛すること自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められない。
質問2
核共有
1 石破新総理が同論文で言及した「米国の核シェアや核の持ち込み」について、政府は具体的にどのようなものであると認識しているか伺いたい。
2 政府は、核兵器の持ち込みのみならず、核共有についても、非核三原則を堅持していくこととの関係から認められない旨、累次にわたり国会で答弁している。石破新内閣としてもその方針に変わりはなく、「米国の核シェアや核の持ち込み」は非核三原則上認められないという見解か伺いたい。
回答(質問2 について)
御指摘の論文については、一の1及び2についてで述べたとおり、石破茂衆議院議員の政治家個人としての見解であると承知しており、お尋ねについては、政府としてお答えする立場になく、また、御指摘の「米国の核シェアや核の持ち込み」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、石破内閣としては、令和六年十二月三日の参議院本会議において、石破内閣総理大臣が「政府といたしまして、一般に、いわゆる核共有は、平素から自国の領土に米国の核兵器を置き、有事には自国の戦闘機等に核兵器を搭載、運用可能な態勢を保持することによって自国等の防衛のために米国の核抑止を共有するといった枠組みと考えられていると承知をいたしております。一般論として、国の安全保障の在り方については、それぞれの時代状況、国際情勢等を踏まえた様々な国民的議論があり得ると考えておりますが、核共有につきましては、仮に先ほど申し上げたような枠組みを指すのでありますれば、政府としては、非核三原則や原子力基本法を始めとする法体系との関係から認められないものと考えております。その上で申し上げれば、私が従来核共有の文脈で申し上げてまいりましたのは、非核三原則を堅持した上で、米国の拡大抑止に係る意思決定のプロセスについて米国との意思疎通を行うことの重要性を申し上げたものでございます。これは、先ほど申し上げた核共有には当たらないものの、現下の厳しい安全保障上の喫緊の課題に現実的に対応していく観点から、我が国の安全保障を強化する上でも重要な取組であると考えており、米国の拡大抑止の信頼性をこれまで以上に強化させるよう事務方に指示をいたしておるところでございます。政府としては、今後とも、我が国自身の防衛力を強化していくとともに、日米安保体制の下、核抑止力を含む米国の拡大抑止の信頼性をこれまで以上に強化していくための方策を不断に検討いたしてまいります。」と答弁しているとおりである。
質問3
石破新総理は、第二百十四回国会の所信表明演説において、持論である「アジア版NATO」や核共有について言及しなかった。それはなぜか理由を示されたい。
回答(質問3 について)
御指摘の所信表明演説の内容については、内外の諸情勢等を勘案し、閣議で検討を行った上で、最終的に内閣として決定したものである。