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屋久島沖で発生した米空軍のオスプレイの墜落事故に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
令和五年十一月二十九日に屋久島沖で発生した米空軍所属のオスプレイの墜落事故の調査報告書が、令和六年八月二日に米空軍事故調査委員会から公表された。
同報告書は、墜落事故の原因として、左側のプロップローター・ギアボックス(以下、PRGBという。)の破損による機体の不具合と、警告灯が表示されたにもかかわらず適切な対応をとらなかった操縦者の不十分なリスク管理を指摘している。しかし、木原防衛大臣(当時)は令和六年八月二日の記者会見において、PRGBの破損の原因であるハイスピード・ピニオンギアの破断について、二次的な損傷により初期破損の痕跡が不明瞭になったことから、正確な根本的原因は特定できていないことを明らかにした。
これを踏まえ、次のとおり質問する。
質問1
米空軍事故調査委員会による調査を経ても墜落事故の根本的原因は依然として不明のままであるが、木原防衛大臣は、前述の記者会見で「原因に対応した安全対策の措置を講じることによって、安全に運用を行うことが可能」と述べている。「根本的原因」が特定できていない中で、「原因に対応した安全対策の措置」を講じることは困難だと思われるが、政府の見解を伺いたい。
回答(質問1 について)
令和五年十一月二十九日に屋久島沖で発生したティルト・ローター機CV−二二の墜落事故(以下「本件事故」という。)については、令和六年八月二日(日本時間)、米側から、本件事故の状況及び原因に関する事故調査報告書が公表され、本件事故の原因は、「プロップローター・ギアボックスの突発的故障」及び「操縦士の意思決定」とされていると承知している。
御指摘の「根本的原因」については、当該報告書において、「初期不具合の証拠を不明確にした二次的な損壊により特定することはできない」と結論付けられているが、政府としては、本件事故を受け、米側との間で技術情報に関する前例のない極めて詳細なやり取りを行っており、本件事故の原因に対応した安全対策の一つとして、「屋久島の沖合で発生した米空軍横田基地所属のCV−二二オスプレイの墜落事故に関する事故調査報告書」(令和六年八月防衛省作成)に記載のとおり、「チップ探知機を用いて、全機を対象に運用再開前の予防的点検を行うとともに、維持整備の頻度を増やすことで、PRGBの不具合の予兆を早期に把握」し、「必要に応じPRGBを交換」することとしており、このことにより、安全な運用を行うことができると考えている。
質問2
オスプレイの安全性をめぐっては米議会でも懸念の声が上がり、調査が行われており、複数の有力議員が令和六年七月に、墜落事故の原因が解決されるまでオスプレイの飛行を停止するよう求める書簡をオースティン国防長官に送ったことも報じられている。こうした米議会の動きについて、政府はどのように認識しているか伺いたい。また、米議会においても墜落事故の調査が行われている中で、政府が安全性に問題ないと断言する根拠を示されたい。
回答(質問2 について)
御指摘の「米議会の動き」の逐一について、政府としてコメントすることは差し控えたい。
その上で、ティルト・ローター機MV−二二については、平成十七年に米国政府がその安全性及び信頼性を確認した上で、量産が開始されたものであり、また、平成二十六年に我が国も輸送ティルト・ローター機V−二二(以下「V−二二」という。)を導入することを決定したが、その検討過程のみならず、導入が決定された後においても、各種技術情報を収集・分析するとともに、陸上自衛隊員が、実際に機体の操縦及び整備を行い、V−二二が安全な機体であることを改めて確認している。
また、本件事故を踏まえた上での安全性については、令和六年三月二十一日の参議院政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会において、安藤防衛省防衛政策局次長が「今般の部品の不具合について、機体自体の設計を変更するなどの必要性はなく、機体自体の安全性にも問題はなく、また、飛行の安全に関わる構造上の欠陥がないことにも変わりはない旨の説明を受けております」と答弁していることに加え、一についてで述べたとおり、特定された本件事故の原因に対応した安全対策を行うことで、安全な運用を行うことができると考えている。
これらのことから、政府としては、御指摘の「安全性」に問題はないと考えている。