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日本放送協会の受信料の在り方に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
日本放送協会においては、番組における虚偽字幕など、様々な問題が噴出しており、公共放送としての基礎と国民の信頼が損なわれる事態が続いている。
また、物価上昇のペースに賃金上昇が追い付いておらず実質賃金が二十六ケ月連続で下がり続けている現在の状況にあっては、令和五年十月に受信料の値下げがなされたとはいえ、受信料の負担は決して軽くはない。
令和六年通常国会の放送法改正で、インターネットを用いた放送番組等の配信も協会の必須業務となり、放送番組等の配信実施に係る費用を確保するために協会が受信料を値上げすることが強く懸念されるところである。また、改正後も協会の主たる必須業務が放送であることに何ら変わりなく、インターネット配信にまで業務を拡げることによって公共放送としての信頼を損ないかねない。
そこで、協会の受信料等の在り方に関し、以下質問する。
質問1
現行の受信料制度は行き詰まっていると考えるが、テレビ等の受信設備を設置した者が負担する受信料をもって公共放送である協会の主たる財源とする根拠は何であるか、政府に問う。
回答(質問1 について)
お尋ねの「主たる財源とする根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十九年十二月六日最高裁判所大法廷判決において示されているように、日本放送協会(以下「協会」という。)が「事業運営の財源を受信設備設置者から支払われる受信料によって賄うこととしている」ことについては、「特定の個人、団体又は国家機関等から財政面での支配や影響が」協会「に及ぶことのないようにし、現実に」協会「の放送を受信するか否かを問わず、受信設備を設置することにより」協会「の放送を受信することのできる環境にある者に広く公平に負担を求めることによって、」協会「が上記の者ら全体により支えられる事業体であるべきこと」によるものであると考えており、また、受信料収入の予算額を含む協会の毎事業年度の収支予算、事業計画及び資金計画については、放送法(昭和二十五年法律第百三十二号。以下「法」という。)第七十条第二項の規定において、国会の承認を受けることとされている。
質問2
協会の公共放送としての基礎及び国民の信頼がことごとく失われ、また、実質賃金も下がり続けるなど厳しい国民生活が続いている中、受信料の引下げを含めその制度の在り方について政府の考えを具体的に回答されたい。
回答(質問2 について)
お尋ねの「受信料の引下げを含めその制度の在り方」の意味するところが必ずしも明らかではないが、協会の受信料の額については、法第二十条第一項に規定する業務を実施するために必要な収入を確保する等の観点から、法第七十条の規定に基づき、協会が収支予算を自ら作成し、国会が当該収支予算を承認することにより定められるものであると考えている。
質問3
インターネット配信費用の増大により、その費用を確保するためにパソコンやスマートフォンを所持することをもって協会との受信契約の締結義務が生じることは今後もないという理解でよろしいか、政府に問う。
回答(質問3 について)
お尋ねの「パソコンやスマートフォンを所持することをもって協会との受信契約の締結義務が生じる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、放送法の一部を改正する法律(令和六年法律第三十六号)による改正後の法(以下「新法」という。)第六十四条第一項において、「パソコンやスマートフォン」等の公衆によって日常的に使用されている通信端末機器を用いて新法第二十条の三第九項に規定する特定必要的配信(以下「特定必要的配信」という。)の受信を開始した者を含め、特定必要的配信の受信を開始した者は、協会と受信契約を締結しなければならないと規定されており、新法第六十四条第一項の規定の見直しについては、現時点では検討していない。