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政府が保有する日本電信電話株式会社の株式の処分等に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 原口一博
会派 立憲民主党
公式リンク 第216回国会 / 質問答弁

日本電信電話株式会社(NTT)及びその子会社が保有する様々な設備や研究所などの施設は、電話の設置という目的のために国民の負担により整備された我が国の国民固有の「特別な資産」であり、NTTだけでなく他の情報通信事業者にとっても事業活動の基礎的インフラである。現在、政府では、NTTの株式に係る政府の株式保有義務の撤廃及び外国人等の株式取得に対する規制の緩和又は撤廃が検討されていると承知している。

ついては、本件に関し、以下、政府の見解又は把握するところを答えられたい。

質問1

令和六年八月末現在、NTT株式の時価総額は約十四兆千億円であるが、これはNTTが保有する、暗渠等のインフラ、研究所、知的財産、技術力、それらの源となる人的資源等の資産価値に比べ過小に評価されている。これらの義務の撤廃等の検討の前に、会社の資産価値等を調査して評価するいわゆるデューデリジェンスが必要であるが、政府は、NTTやその子会社に対してこれを行ったのか。行っていないのであれば、適切なプロセスを経ずに無責任な検討が継続されていることとなり由々しき事態であるが、その理由を答えられたい。

また、NTTが保有する資産の数々は、国民の負担を基に築き上げたものであり、我が国民の資産であると言えるが、政府にそのような認識はあるのか。

回答(質問1 について)

 前段及び中段のお尋ねについては、御指摘の「政府の株式保有義務」及び「外国人等の株式取得に対する規制」の在り方については、情報通信審議会において、日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下「日本電信電話株式会社等」という。)が保有する、二で御指摘の「情報通信インフラ」等の重要性及び公共性を踏まえて検討することとしており、お尋ねの「デューデリジェンス」は、現時点では、必要とは考えておらず、行っていない。

 また、後段のお尋ねについては、御指摘の「NTTが保有する資産の数々」の具体的な範囲が必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「国民の負担を基に築き上げたものであり、我が国民の資産である」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、日本電信電話株式会社等が日本電信電話公社から承継した線路敷設基盤は、他の通信事業者にとっても必要不可欠な公共的な基盤であると考えている。

質問2

これらの義務の撤廃等が行われると、東京証券取引所における売買株式数の約七割が外国人投資家である現状を鑑みれば、NTTの経営に対する外資の影響力の増大は必至である。これは、同社の「特別な資産」の上に構築された我が国の情報通信産業、ひいては我が国の産業全体が、外資の影響力に対して脆弱になることを意味する。そのような状況は、我が国の経済安全保障上大きな懸念を生じさせ、また、災害等の非常時において極めて重要な情報通信インフラの安定性を損ね、国民の安全を脅かすものとなる。すなわち、こうした義務の撤廃等は日本を売り飛ばす暴挙であると言っても過言ではない。政府は当然にこのことによるリスクを承知しているものと思うが、政府の見解を伺いたい。その上で、なぜこのような検討を継続しているのか、その理由を伺いたい。

回答(質問2 について)

 お尋ねについては、日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律(令和六年法律第二十号)附則第四条の規定に基づき、情報通信審議会において、日本電信電話株式会社等に係る制度の在り方について検討しているところであり、お尋ねの「見解」について、現時点で予断をもってお答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、通信サービスは国民生活及び経済活動の基盤であり、日本電信電話株式会社等が保有する、御指摘の「情報通信インフラ」等の重要性及び公共性に鑑みると、御指摘の「重要な情報通信インフラの安定性」の維持やこれを通じた「我が国の経済安全保障」の確保を図ることは重要であると考えている。