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金融・税制・財政に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
質問1
持続的な経済成長を支えるためには、会社は株主だけのものではなく、従業員、顧客、取引先のほか、地域社会、国全体までもが利害関係者であって、会社の利益をこれらの幅広いステークホルダーに対して分配することで社会への貢献を果たすという、公益資本主義の考え方が重要であると考える。公益資本主義は、会社は株主のものとする株主資本主義と対立概念にあり、前岸田政権の掲げた新しい資本主義は、株主資本主義の修正を図ったものの不十分であったと考えている。
短期的利益を志向する投資家により、株主が会社の利益を貪るという弊害に対処し、中長期的な課題に取り組むための投資を促進する必要がある。企業は中長期的に安定した資本の確保があってこそ、中長期的な課題に取り組むことが可能となる。資本確保の不確実性の存在は、企業の中長期的な投資を抑制することにつながる。「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画二〇二四年改訂版」(新しい資本主義実現本部)では、一定のメニューが並んでいるものの、保有期間による税率の差を設けるといった企業に対する中長期的な投資を促すインセンティブ付与がなされていない点で不十分であると考える。
そこで、例えば、国内居住者における国内企業の発行する有価証券の短期譲渡所得に係る課税を強化する等の施策を講ずる必要があると考えられるが、新内閣の見解を問う。
回答(質問1 について)
令和六年四月二十六日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「例えば、金融商品の保有期間の長さに応じまして課税の在り方を変えること、これは、金融取引におけます課税の中立性を損ない、売買時期の判断や商品の選択に税制がゆがみを与えてしまうおそれがある、そのように考えます。」と答弁しているとおり、お尋ねの「国内居住者における国内企業の発行する有価証券の短期譲渡所得に係る課税を強化する等の施策」については、慎重な検討が必要である。
質問2
米国連邦準備制度理事会(以下「FRB」という。)では、金融政策の決定においては、政策審議の有効性及び情報伝達の明確さが損なわれてはならないとの趣旨から、米国連邦公開市場委員会(FOMC)参加者に公での発信を控えさせる「ブラック・アウト」期間を約二週間設けている。日本銀行の金融政策決定会合においては、「金融政策に関する対外発言についての申し合わせ」(平成二十三年四月二十二日)(以下「申し合わせ」という。)により、「各金融政策決定会合の二営業日前(会合が二営業日以上にわたる場合には会合開始日の二営業日前)から会合終了当日の総裁記者会見終了時刻までの期間は、国会において発言する場合等を除き、金融政策及び金融経済情勢に関し、外部に対して発言しない。」と定められている。
申し合わせの実効性を高めるため、申し合わせと同趣旨の内容をFRB並みの二週間ほどにした上で、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)に規定することを検討すべきであると考えるが、新内閣の認識を問う。
回答(質問2 について)
お尋ねの「金融政策に関する対外発言についての申し合わせ」については、日本銀行の業務運営に関する事項であり、同行において、同行の政策委員会議事規則(平成十年四月一日日本銀行制定)第二十三条の規定に基づき政策委員会が定めたものであると承知しており、その変更に関するお尋ねについては、同行の自主性を尊重する観点から、政府としてお答えすることは差し控えたい。また、政府として、当該申し合わせの内容について、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)に規定することは考えていない。
質問3
金融機関と、そこから融資を受ける中小企業や個人事業主をはじめとした借り手(以下「金融債務者」という。)の間には、金融、経済、法律等に関する知識や実務能力などに大きな隔たりがある。それを踏まえ、銀行等については、制度上、優越的地位の濫用が禁止されており、金融債務者の利益保護への配慮がなされているが、不十分な面もある。さらに、銀行等が貸付債権を債権回収会社に売却すると、債権者はある程度長期的な利益確保を目的とする銀行から短期的な債権回収を目的とする債権回収会社に代わることとなる。現行制度上、債権回収会社に対しても債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)により、金融債務者保護のための規制が設けられているものの、効率的に債権回収を行うことが、金融債務者にとって事業の継続を脅かすものとなる場合がある。
そこで、このような弱い立場にある金融債務者の立場に寄り添って、金融債務者をめぐる課題への対策を総合的に推進し、その保護を確保するため、新たに金融債務者の保護に係る包括的な法制度の整備を行う必要があると考えるが、新内閣の認識を問う。
回答(質問3 について)
御指摘の「銀行等」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、銀行については、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)及び銀行法施行規則(昭和五十七年大蔵省令第十号)において、顧客に対し、銀行としての取引上の優越的地位を不当に利用して、取引の条件又は実施について不利益を与える行為等が禁止されているほか、顧客の利益が不当に害されることのないよう体制の整備等の措置を講じることが義務づけられており、関連規定の遵守の状況について問題が認められた場合には、同法に基づき改善を求めることとなる。
債権回収会社については、債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)及び債権管理回収業に関する特別措置法施行規則(平成十一年法務省令第四号)において、債権の管理又は回収の業務を行うに当たり、偽りその他不正の手段を用いることを禁止するなど、債権回収会社の業務の適正な運営の確保を図るための規定が設けられており、これらの規定の遵守の状況について問題が認められた場合には、同法に基づき改善を求めることとなる。
お尋ねの「金融債務者の保護に係る包括的な法制度の整備」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「金融債務者」については、このような法制度に基づき、その保護を図っているところであり、政府としては、更なる法整備については、その必要性等を慎重に検討する必要があるものと考える。
質問4
令和五年十月のインボイス制度導入に伴い、一部の国民に新たな税負担が生じている。政府は令和六年四月十二日の衆議院財務金融委員会における答弁で、令和六年度税収見積りにおける国、地方の消費税収のうち、インボイス制度の導入による増収額については、国、地方合わせて「千七百三十億円」との見込みを示している。内訳は明らかでないものの、この「千七百三十億円」の多くは、インボイス制度の導入に伴いインボイス登録を行った免税事業者に新たに生じる税負担を意味すると推察される。
また、国税庁が令和六年五月に公表した「令和五年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について(報道発表資料)」によると、令和五年中に免税事業者からインボイス発行事業者になった者は百四万八千人であり、そのうち期限内申告者数は八十七万五千人であったとされる。そのうち二割特例(インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者となった事業者について、三年間、納付税額を売上げに係る消費税額の二割とすることができる特例)の適用者の割合は八十三・九%であるとされており、当該特例の適用期間終了後には更なる税負担の増加が予想される。
これらに関連して、以下質問する。
1 政府は過去の消費税率引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(平成二十五年法律第四十一号)(以下「価格転嫁特措法」という。)で私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)(以下「独占禁止法」という。)の規定を適用しないとする措置を講じてきたが、現在、価格転嫁特措法は失効している状態である。
この点、鈴木俊一財務大臣(当時)は、令和五年五月十五日の衆議院決算行政監視委員会で、「インボイス制度の導入に当たっては、免税事業者から課税事業者になった際に共同して行う価格の転嫁を一律に独占禁止法適用除外とするのではなく、個別の状況に応じて、免税事業者が課税事業者になった際、価格の転嫁ができる環境をきめ細かく整備すること」が重要である旨答弁している。
しかしながら、インボイス制度の導入に伴いインボイス登録を選択せざるを得ない免税事業者には、アニメーター等の様々な業種の個人事業主が含まれ、それらの個人事業主は取引先に対する立場が弱く、個別には価格交渉がしづらいため、団体、組合等を結成して連携せざるを得ない。これらの団体を結成し、やむを得ず共同して消費税分の価格転嫁を行った場合、価格転嫁特措法が措置されていないとカルテルに該当し独占禁止法違反になるおそれが生じかねない。立場の弱い事業者の対抗措置を担保するため、独占禁止法違反を阻却するための措置は最低限必要であると考えられる。
インボイス制度導入に際して、新たな税負担を国民に課すにもかかわらず、当該税負担を適切に価格へ転嫁するために必要な価格転嫁特措法を含めた措置を講じていない理由を示されたい。
2 インボイス制度は、事業規模が小さい個人事業主等の免税事業者に対し、課税事業者への転嫁による新たな税負担を課すものであり、税の応能負担に反すること、また、多大な事務負担を課すものであることから速やかに廃止すべきと考えるが、新内閣の認識を伺いたい。
回答(質問4 の1について)
お尋ねのインボイス制度の導入においては、制度の導入後も免税事業者から課税事業者となる事業者は一部であると想定される上に、個々の免税事業者によって、課税事業者になった際に必要な消費税の価格への転嫁の程度も異なるなど、その影響は、個々の事業者によって様々であると考えられるため、事業者が共同して行う消費税の価格への転嫁について、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定を適用しないとする措置は講じないこととしたものである。
回答(質問4 の2について)
お尋ねの「事業規模が小さい個人事業主等の免税事業者に対し、課税事業者への転嫁による新たな税負担を課すものであり、税の応能負担に反すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねのインボイス制度については、複数税率の下で適正な課税を行うために必要なものであり、同制度を廃止することは考えていない。
質問5
鈴木俊一財務大臣(当時)は消費税に関し、令和六年二月十六日の衆議院財務金融委員会において、「間接税とは、税負担の転嫁が行われ、納税義務者と税を負担する者が一致しないことを予定している税」であり、消費税は、「事業者が納税義務者である一方、価格への転嫁を通じて最終的には消費者が負担することを予定しているものであることから、間接税に該当する」旨答弁している。この答弁は、価格に消費税が確実に転嫁されていることを前提としている。しかし、令和五年五月十五日の衆議院決算行政監視委員会において、里見隆治経済産業大臣政務官(当時)が「消費税に限らず、コストが上昇する際に、交渉力の強い事業者と弱い事業者の間では、構造的にその上昇分を転嫁することが難しいという問題があるという認識」がある旨の答弁をしている。
これらに関連して、以下質問する。
1 政府の答弁にあるように、交渉力の弱い事業者が仕入れに係る消費税分を販売価格に転嫁するのが難しく、当該事業者が税負担することとなるという実態があるのであれば、消費税は直接税であるともいえるのではないか。
さらに、国税庁「令和四年度分会社標本調査」によれば、我が国においては九十九・三%が資本金一億円以下の法人であり、六十一・一%が欠損法人である。消費税は、欠損法人も負担しなければならず、これが日本経済の弱体化につながっていると認識しているが、新内閣の見解を伺う。
また、これを踏まえれば、消費税の減税を行うことにより、中小・零細事業者の税負担を軽減し、賃上げの原資に充当してもらうことが、国民の所得向上につながり、それが日本経済の成長に資すると考えるが、新内閣の見解を伺う。
2 現行、消費税の納付税額を計算する際、正社員をはじめとする直接雇用されている社員への給与支払いは仕入税額控除できないが、派遣労働者等の非正規雇用労働者の労働者派遣契約に基づく支払いは仕入税額控除できる仕組みとなっている。この仕組みにより、派遣労働者の受入先事業者においては、派遣労働者を受け入れるほど、当該事業者の仕入税額控除額が増加し、支払う消費税額が少なくて済むことになるため、派遣労働者を多く受け入れようとするインセンティブが働くことになる。派遣労働者の受入先事業者が負担する消費税額が少なくなる仕組みについて、新内閣の認識を伺う。
一方で、先の政府答弁にあるように、交渉力の強い事業者と弱い事業者の間では、構造的に消費税率の上昇分を転嫁することが難しいという問題がある。この問題は、派遣労働者の受入先事業者と人材派遣会社との間でも同様に生ずる可能性もあり、人材派遣会社においては、消費税率上昇分を派遣料に転嫁することが困難になることも考えられる。それにもかかわらず、受入先事業者においては上昇後の税率を適用した消費税額の仕入税額控除が可能となるため、より一層、低い賃金で調達可能な派遣労働に対する需要を強めることとなり、非正規雇用労働者の増加につながっていくと考えられる。
このような消費税の仕組みは、非正規雇用労働者を増やすことにつながり、雇用の不安定化を招くこととなるほか、雇用者側における税務上の取扱いに差が生ずることについて、新内閣の認識を伺う。
回答(質問5 の1について)
前段のお尋ねについては、令和六年二月二十日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「一般的に、直接税とは、納税義務者と税を負担する者が一致することを予定している税であり、一方、間接税とは、税負担の転嫁が行われ、納税義務者と税を負担する者が一致しないことを予定している税であるとされていると承知をいたしております。消費税につきましては、消費税法やその創設時の税制改革の基本理念等を示した税制改革法の規定を踏まえますと、事業者が納税義務者である一方、価格への転嫁を通じて、最終的には消費者が負担することを予定しているものであることから、間接税に該当すると考えているところであります。」と答弁したとおり、消費税が直接税と間接税のいずれであるかは、全ての事業者が消費税負担を転嫁できているか否かで判断するものではないことから、お尋ねのように「事業者が税負担することとなるという実態があるのであれば、消費税は直接税であるともいえる」とは考えていない。
中段のお尋ねについては、消費税については、納税義務者である事業者が国等に納付するが、価格への転嫁を通じて最終的には消費者が負担することを予定しているものであり、お尋ねの「欠損法人」を含む事業者は転嫁前の価格を引き下げることもあることから、「消費税は、欠損法人も負担しなければならず、これが日本経済の弱体化につながっている」とは考えていない。
後段のお尋ねについては、消費税については、急速な高齢化を背景に社会保障給付費が大きく増大する中で、国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置付けられており、消費税率を引き下げることは考えていない。このため、消費税率の引下げを前提とした検討を行っておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。
なお、御指摘の「国民の所得向上」については、石破内閣総理大臣が、令和六年十月四日の所信表明演説において、石破内閣の経済政策について「賃上げと人手不足緩和の好循環に向けて、一人一人の生産性を上げ、付加価値を上げ、所得を上げ、物価上昇を上回る賃金の増加を実現してまいります。」と述べているところである。
回答(質問5 の2について)
前段のお尋ね及び後段のお尋ねのうち「非正規雇用労働者を増やすことにつながり、雇用の不安定化を招くこととなる」については、非正規労働者のうちパートタイム労働者のように直接雇用される者に対して支払う給与に関しては、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)上、正社員に対して支払う給与と同様の取扱いとなり、また、非正規労働者のうち派遣労働者のように直接雇用されない者に関して支払う派遣料に関しても、平成二十五年三月六日の参議院本会議において、安倍内閣総理大臣(当時)が「派遣労働者の受入れ企業は、派遣料に係る消費税額を控除できることになりますが、一方で、人材派遣会社に対しては派遣料に上乗せして消費税を支払うことになるため、直接雇用の場合と比べて損得は生じないことになります。したがって、消費税が非正規雇用を拡大してきたということにはならないと考えております。」と答弁したとおりであり、消費税について、「派遣労働者の受入先事業者が負担する消費税額が少なくなる」及び「非正規雇用労働者を増やすことにつながり、雇用の不安定化を招くこととなる」との御指摘は当たらないと考えている。
また、後段のお尋ねのうち「雇用者側における税務上の取扱いに差が生ずること」については、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に人材派遣会社が消費税率の引上げ分に相当する額を派遣料に転嫁できていなくても派遣労働者を受け入れる事業者においては引上げ後の消費税率を適用して納税額を計算することを指すとすれば、ある労働者に係る報酬を、給与として労働者に直接支払うか、労働者派遣の対価に消費税相当額を上乗せして人材派遣会社に支払うかの選択について消費税は中立的であり、人材派遣会社に支払う金額が、給与として労働者に直接支払う場合の金額に消費税相当額を上乗せした金額を下回るときは、労働者派遣の対価そのものが引き下げられたと考えられる。
質問6
歴代内閣においては、令和二年度以降、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢への対応等のため、巨額の特定目的予備費が各年度に計上されてきた。そして、これらの予備費は多額の使い残しが生じており、例えば、令和五年度は、当初予算で計上された四兆円の原油価格・物価高騰対策関係の予備費が、補正予算で二兆円に減額されたにもかかわらず、八千六百八十九億円の残額となり、過度な予算計上であったと言わざるを得ない。
また、予備費とは予見し難い予算の不足に充てるために設けるものであり、本来、特定の目的に使用するものであれば、見込額を予算として計上すべきであり、巨額の特定目的予備費を計上することは、予算査定を形骸化させ得るもので控えるべきと考える。
今後の予算策定における特定目的予備費の計上に関する方針について、新内閣の見解を伺いたい。
回答(質問6 について)
令和七年度予算におけるお尋ねの「特定目的予備費」の在り方については、経済社会情勢の変化等を踏まえた検討を行っているところである。
質問7
歴代内閣においては、令和二年度以降、補正予算から基金への予算措置が急増してきた。基金は、一度予算が計上されるとその執行管理が不透明であることや、政策効果が上がっていない事業も見られるとの指摘がある。
現状では、物価高が継続しており、負担感が重くなる低所得者層や子育て世帯に対して手を差し伸べることが先決であり、基金に積み立てるよりも、国民に対し減税や給付を実施するなど負担の軽減に一層努める予算編成を行うべきと考える。
国民生活の負担軽減を優先する政策の実施について、新内閣の見解を伺いたい。
回答(質問7 について)
御指摘の「基金」に係る事業や「国民に対し減税や給付を実施するなど」の施策については、各年度の予算編成過程において、個々の事業や施策の必要性、有効性等を踏まえ、検討していくべきものと考えている。
質問8
我が国の外貨準備高は、一兆二千三百五十七億ドル(令和六年八月末時点)となっており、そのほとんどが外国為替特別会計において管理されていると承知している。
しかし、その内訳については、外貨証券や金地金といった分類での評価額が公表されているのみで、外国通貨別内訳や国債以外の外国証券の保有銘柄などは公表されていない。
歴代内閣はその理由を「金融・為替市場に不測の影響を与えるおそれがあるため」として公表を差し控えてきていると承知しているが、外国市場で巨額な資金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人では、運用に関する透明性の向上のため保有銘柄を開示している。
今般の為替介入等により外国為替特別会計に対する国民の関心が高まる中で、新内閣においては、外貨建資産の外国通貨別内訳などを公表する考えはあるか。また、公表しないとすれば、その理由をお示し願いたい。
回答(質問8 について)
外国為替資金特別会計が保有する外貨資産については、本邦通貨の外国為替相場の安定を実現するために必要となる外国為替等の売買等を円滑に行うため、安全性及び流動性に最大限留意した運用を行うこととしており、米国債を中心とする外貨証券等を保有しているが、通貨別の保有残高等については、金融・為替市場に不測の影響を与えるおそれがあるため、公表することは考えていない。