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犬猫食禁止に係る法整備に関する質問主意書
経過状況:答弁受理
本年一月、大韓民国(韓国)で食用を目的とする犬の取引などを禁止する法律、通称「犬食禁止特別法」が圧倒的賛成多数で同国国会で可決、成立した。韓国では犬肉を食べる長年の風習があり、伝統として容認されてきた。しかし、動物福祉向上の妨げになるとの指摘が強かったこともあり、犬食を終わらせる法案の可決は、動物愛護団体に歓迎されるとともに、社会的関心も強く、メディアでも速報で報じられた。
韓国の農林水産食品部によると約五十三万匹の犬が食用として飼育されているが、この禁止法は食用の犬の飼育や繁殖、流通の禁止を求めており、三年間の猶予期間を経た後、違反した場合は三年以下の懲役や三千万ウォン(約三百二十万円)以下の罰金が科される。
アジアでの犬肉食の習慣は、韓国、中国はじめ、ベトナム、インドネシア、カンボジアなど東南アジアの一部で見られる。これらの国々では、韓国で成立した禁止法を受け、動物愛護団体他、同様の法律を求める動きがある。
犬肉消費国で知られる中国では、新型コロナウイルス感染症の拡大が世界を揺るがしていた二〇二〇年、中国南東部の広東省にある大都市、深圳市が、犬猫肉を食べることや犬猫肉の商取引を法律で禁止している。これに先立ち、中国当局は全ての野生生物の商取引と、食肉として消費することを国家レベルで禁止すると発表しており、深圳市の新法は中国当局の意向に沿ったものであり、犬と猫にも適用される厳しい規制となっている。ロイター通信によると、深圳市は声明で「ペットとしての犬と猫は、他の動物と比べても、人間と非常に近い関係を築いてきた。先進国や香港、台湾では、犬や猫、その他のペット動物の食用消費を禁止するのは当たり前の慣行である」と述べている。
我が国における犬猫肉の流通については、犬肉の輸入は、平成二十九年にベトナムから約二十トンの輸入実績があったものの、以降、輸入実績はない。輸入に関しては、家畜の伝染病侵入防止の観点から、家畜伝染病予防法に基づき、犬肉は動物検疫の対象とされ、輸入の際、輸出国政府が発行した検査証明書の添付が求められているため農林水産省の把握するところである。一方、犬猫肉の国内流通、商取引に関しては、犬猫は国内の食肉処理場等でと殺できないため、いずれも把握されていない。
そこで、お尋ねする。
質問1
世界各国で動物愛護の観点から、犬猫肉食の禁止についての法律が成立する中、同習慣がない我が国においても、動物福祉を向上させる姿勢を対外的に明確にするために、同様の法整備を進め、犬や猫の食用消費を禁止するべきと考えるが、政府の見解如何。
回答(質問1 について)
お尋ねの「動物福祉を向上させる姿勢を対外的に明確にするために」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、我が国において「犬や猫の食用消費」に係る問題が生じているとは認識していないため、現時点において、お尋ねのように「法整備を進め、犬や猫の食用消費を禁止するべき」とは考えていない。