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つながらない権利に関する質問主意書

経過状況:

答弁受理

提出者 松原仁
会派 無所属
公式リンク 第216回国会 / 質問答弁

政府は、働き方改革を推進し、労働者の健康や生活の質の向上を図ることを重要な政策課題としている。現代社会において、インターネットやスマートフォンなどの情報通信技術の進展に伴い、労働者が業務時間外であっても顧客や上司、同僚などから連絡を受けることが増加し、いわゆる「つながらない権利」の保障が求められている。

欧州では、二〇一七年一月に、フランス共和国が法制化を実施したのを皮切りに、各国で法制化が進んでいる。今年八月には、オーストラリア連邦でも法律が施行されている。

一方、我が国では、この分野における法整備が遅れており、多くの労働者が業務時間外での過剰な業務負担に苦しんでいるとの指摘があるところである。

また、公私の区別があいまいなまま業務時間外での過剰な業務負担が継続していることが、我が国の生産性の低下の一因となっているとの指摘もある。

労働の質向上が生産性の向上に資する面があることは否定できないことから、我が国においても、メリハリのある労働環境の整備を促進する必要がある。

そこで、次のとおり質問する。

質問1

業務時間外の連絡が労働者の健康に与える影響について、政府が実施した調査や研究があれば、その結果を明らかにされたい。また、今後実施予定の調査があれば、その概要を明らかにされたい。

回答(質問1 について)

 お尋ねの「政府が実施した調査や研究」及び「その結果」については、例えば、令和四年度労災疾病臨床研究事業費補助金による「過労死等の実態解明と防止対策に関する総合的な労働安全衛生研究」において行われた、「勤務時間外の仕事の連絡と在宅勤務頻度がIT労働者の心身に及ぼす影響−九日間の観察調査研究−」において、「勤務時間外における仕事の連絡の悪影響は在宅や出社という勤務のあり方により異なった。とりわけ、出社勤務で勤務時間外の仕事の連絡が長いと、就床前の覚醒度が高く、疲労感や抑うつ感も強かった。」との結論であった。また、現時点では、お尋ねの「今後実施予定の調査」はない。

質問2

先進的な企業は、業務時間外における労働者への連絡や業務依頼を制限する取組を進めているが、このような取組に対して、政府として分析を行っているか明らかにされたい。

回答(質問2 について)

 お尋ねについては、令和五年に厚生労働省がPwCコンサルティング合同会社に委託して実施した「労働時間制度等に関するアンケート調査」において、「勤務時間外や休日の社内連絡に関するルール」についての調査を行い、その結果について、同省労働基準局長が参集を求めて開催している、労働基準関係法制度等に関する専門的知見を有する有識者により構成される「労働基準関係法制研究会」(以下「研究会」という。)において提供し、御議論いただいてきたところである。

質問3

我が国において、「つながらない権利」の普及を促進するための法整備やガイドラインの策定について、政府としての見解を明らかにされたい。

回答(質問3 及び質問4 について)

 現在、研究会において、御指摘の「つながらない権利」も含め、労働基準に係る関係法制について幅広く議論が行われており、その議論を取りまとめ、その後、労働政策審議会において議論が行われる予定となっているところであり、これらの結果に基づいて必要な対応を検討することとしていることから、お尋ねの「普及を促進するための法整備やガイドラインの策定」及び「補助金制度の創設」に係る政府としての見解については、現時点でお答えする段階にない。

質問4

労働者の「つながらない権利」を保障する企業が、そのための技術導入に係る設備投資の負担軽減のために、補助金制度の創設も検討すべきと考えるが、政府の見解如何。

回答(質問3 及び質問4 について)

 現在、研究会において、御指摘の「つながらない権利」も含め、労働基準に係る関係法制について幅広く議論が行われており、その議論を取りまとめ、その後、労働政策審議会において議論が行われる予定となっているところであり、これらの結果に基づいて必要な対応を検討することとしていることから、お尋ねの「普及を促進するための法整備やガイドラインの策定」及び「補助金制度の創設」に係る政府としての見解については、現時点でお答えする段階にない。