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公的機関への電子申請における元号使用強制等に関する質問主意書

会派 日本共産党
議案提出者 宮本徹
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

公的機関への届書について電子申請が広がっているが、生年月日等の入力に際して、プルダウンメニューで元号しか入力できない仕様となっているケースがある。また公文書は元号のみによる表記が多いが不便なことも多い。そこで、以下、質問する。

質問1

政府は「元号法」(一九七九年制定)の審議過程において、「この法案は、一般国民に元号の使用を義務づけておるわけではございません。(中略)この法律には、西暦使用については何ら制限をいたしておらないわけでございまして(中略)。この法案には、元号の使用を官公庁において義務づけた規定はございません。(中略)一般国民の公の機関に提出する申請書でございまするとか届け出書でございまするとかいうものにつきましては、(中略)西暦でどうしても記入して手続をしたいと言われる方については、西暦で受理するということになると思うわけでございます」(一九七九年三月十六日、第八十七回国会、衆議院本会議、元号法審議での三原朝雄総務長官)と述べている。また、近年も「元号の使用については、国民は元号西暦を自由に使分けていただいてもよい(中略)。公的機関の窓口業務での国民の元号使用はあくまで協力要請であり西暦で記入したものも受け付けられる」(二〇一九年四月三日、菅義偉内閣官房長官)と述べている。岸田政権においても、この立場は変わりないか。

回答(質問1 について)

 御指摘の答弁及び発言で示された政府の立場に変わりはない。

質問2

日本年金機構の電子申請プログラムでは、「年」について「元号」でしか入力できない仕様になっている。二〇二〇年四月からは、資本金等の額が一億円を超える等の特定の法人の事業所が社会保険に関する一部の手続を行う場合には、電子申請の義務化が始まっている。

公的機関への届書の電子申請において、元号でしか入力できず、西暦では入力できない仕様のものについて、政府として把握しているか。把握している限りのものを示されたい。

回答(質問2 について)

 御指摘の「日本年金機構の電子申請プログラム」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に日本年金機構のウェブサイトからダウンロードできる「届書作成プログラム」(以下「届書作成プログラム」という。)を指すのであれば、届書作成プログラムにおいて「生年月日等の入力に際して、プルダウンメニュー」で西暦を選択できないこととなっていることは承知しているが、御指摘の「公的機関への届書の電子申請」の具体的に指し示す範囲及び「元号でしか入力できず、西暦では入力できない仕様のもの」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、調査に膨大な作業を要すると考えられることから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

質問3

公的機関への届書の電子申請において、元号でしか入力できず、西暦では入力できない仕様のものは、事実上の元号使用の強制であり、「一」に記した、当時の三原朝雄総務長官及び菅義偉内閣官房長官の答弁・表明に反するのではないか。

回答(質問3 について)

 御指摘の「公的機関への届書の電子申請」の具体的に指し示す範囲及び「元号でしか入力できず、西暦では入力できない仕様のもの」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、お尋ねの「当時の三原朝雄総務長官及び菅義偉内閣官房長官の答弁・表明に反する」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

質問4

公的機関への届書の電子申請プログラム作成に際して、「一」に記した、当時の三原朝雄総務長官及び菅義偉内閣官房長官の答弁・表明は、どう徹底されているのか。

回答(質問4 について)

 御指摘の「公的機関への届書の電子申請プログラム作成」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、お尋ねの「当時の三原朝雄総務長官及び菅義偉内閣官房長官の答弁・表明は、どう徹底」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

質問5

政府のこれまでの説明どおりに、元号・西暦にかかわらず電子申請できるようにするために、「二」に記した日本年金機構の電子申請プログラムも含め、今後どのような措置を取るか。

回答(質問5 について)

 御指摘の「政府のこれまでの説明どおりに、元号・西暦にかかわらず電子申請できるようにする」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、届書作成プログラムも含め、利便性の観点等を踏まえつつ、引き続き行政手続のオンライン化に取り組んでまいりたい。

質問6

世界には様々な紀年法(年の表記方法)があるが、元号は、不定期に数字をリセットしてしまうという特殊性を持っている。そのため、(一)元号では未来の年については確定表記できない、(二)元号と世界標準である西暦との換算には元号ごとに特殊な換算計算が必要である、という課題を抱えている。公文書における紀年法として、元号を用いている場合は、元号だけでなく、必ず西暦を含めるようにすべきではないか、政府の見解を問う。

回答(質問6 について)

 我が国では、元号が国民の日常生活において長年使用されて広く国民の間に定着し、法制化されていること、及び国・地方公共団体等の公的機関の事務については、従来から年の表示には原則として元号を使用することを慣行としてきており、西暦も便宜に応じて併用されてきていることから、政府として、御指摘のように「公文書における紀年法として、元号を用いている場合は、元号だけでなく、必ず西暦を含めるようにすべき」とは考えていない。