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理学療法士・作業療法士養成施設の情報公表に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 阿部知子
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

高等教育機関に関して、平成十七年の中央教育審議会(文部科学省)答申以降、教育の質を保証する観点から、各高等教育機関における自主的な教育改善努力が様々に促されてきた。大学に関しては「教学マネジメント指針」(中央教育審議会)が令和二年一月二十二日に公表され、「学修者本位の教育の実現を図るための教育改善に取り組みつつ、社会に対する説明責任を果たしていく大学運営」の在り方が示された。

教学マネジメントは、「大学が教育目的を達成するために行う管理運営」と定義され、指針は運営に問題があって教育の質が保証できていない大学に対し、確実に実施すべき取組や注意すべき点などを示したものである。具体的には、学生が学修成果を具体的に把握・可視化できるような仕組みを導入し、さらに社会からの信頼と支援を得るため、大学としての成果を自発的・積極的に公表することを求めている。

こうした情報公表の意義については、?広く有形無形の支援を受けている社会に対し、教育という公共的使命を担う社会的存在としての説明責任、?公表による大学の教育の質の維持・向上に向けた取組の促進、?学修成果や教育成果に基づく多元的な尺度による理解と評価、?広範で具体的な情報を外部に発信することによる入学希望者のミスマッチの回避、などが挙げられており、実際に各大学のホームページ等では積極的に情報の公表が進められている。

一方、理学療法士・作業療法士養成施設等は、こうした情報公開が進んでおらず、学生や入学希望者が不利益を被っている実態がある。教育の質を保証する観点から、理学療法士・作業療法士養成施設の情報公表について、以下質問する。

質問1

高等教育機関は、「初等中等教育の次段階の教育課程である高等教育を提供する教育機関の総称」とされ、日本においては大学及び高等専門学校があり、専門学校(専門課程を置く専修学校)も高等教育機関とされている(独立行政法人大学改革支援・学位授与機構ホームページ)。

理学療法士・作業療法士養成施設は、厚生労働省令で定める基準に適合するものとして都道府県知事が指定すると定められ、その入学資格は大学に入学することができるもの(理学療法士及び作業療法士法第十一条及び第十二条)とされているところである。では、理学療法士・作業療法士養成施設は初等教育機関、中等教育機関、高等教育機関のいずれに該当するか。的確に示されたい。

回答(質問1 について)

 御指摘の「高等教育機関」については、法令上の明確な定義はないが、一般に高等教育機関として理解されているものは、大学、専門職大学、短期大学、専門職短期大学、高等専門学校及び専門学校であるところ、理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年法律第百三十七号)第十一条第一号及び第二号の理学療法士養成施設並びに同法第十二条第一号及び第二号の作業療法士養成施設(以下「理学療法士等養成施設」と総称する。)のほとんどが、専門学校であり高等教育機関に該当すると承知している。

質問2

「教学マネジメント指針」において、「大学の教育活動に伴う基本的な情報」として、各授業科目における到達目標の達成状況、学位の取得状況、学生の成長実感・満足度、卒業後の状況(進学率や就職率等)、修業年限期間内に卒業する学生の割合、留年率、中途退学率、学修時間が挙げられ、これらについては「社会からその公表が強く求められている学修成果・教育成果に関係するものであることから、早期に情報公表が進められることが強く期待される」と指摘されている。

理学療法士・作業療法士養成施設においても、これらの情報は教育活動に伴う基本的な情報であり、受験者や学生等の関係者にとっては、当該施設を多元的に理解するに当たって基本的な情報であると同時に、結果として入学希望者のミスマッチを回避するための重要な情報であると考えるが、政府の見解を問う。

回答(質問2 及び質問3 について)

 御指摘の「同様に教育の質保証の観点から」の意味するところが必ずしも明らかではないが、理学療法士等養成施設においても、御指摘のように「受験者や学生等の関係者」が「当該施設を多元的に理解する」ため及び「入学希望者のミスマッチを回避するため」の情報を公表することは重要であると考えており、具体的にどのような情報が御指摘のような「教育活動に伴う基本的な情報」に当たるかも含め、理学療法士等養成施設における情報の公表の在り方については、御指摘の「報告書」において「専修学校の教育の特徴や、学校生活の様子、就職指導、資格取得や就職などの状況、卒業や中途退学の状況、経営情報などを的確に発信していく必要がある。また、情報公表等の責務を十分に果たしていない学校があることは課題である」とされていることも踏まえ、今後、理学療法士等養成施設の養成カリキュラム等の全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。

質問3

専門学校の情報提供等の取組に関しては、平成二十五年三月に「専門学校における情報提供等への取組に関するガイドライン」が文科省から公表されている。「提供する情報の項目例」として「在学学生数」、「中途退学」等の状況、学校の財務などが例示されており、専門学校の情報提供の必要性についてはすでに十年以上前から認識され、促進すべきものとされてきたことは明らかである。

さらに本年一月二十四日には、専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議が、「実践的な職業教育機関としての専修学校の教育の質保証・向上と振興に向けて」と題する報告書を公表した。この中で、専修学校による情報公表の強化として、「資格取得や就職などの状況、卒業や中途退学の状況、経営情報など」を専修学校自身が的確に発信していく必要があり、責務を果たしていない学校に対しては、各種認定の取り消しなども含めた、厳格な対応を行政がとっていくことが必要と指摘されている。

理学療法士・作業療法士養成施設も、同様に教育の質保証の観点から情報公表の責務を果たす必要があると考えるが、政府の見解を問う。

回答(質問2 及び質問3 について)

 御指摘の「同様に教育の質保証の観点から」の意味するところが必ずしも明らかではないが、理学療法士等養成施設においても、御指摘のように「受験者や学生等の関係者」が「当該施設を多元的に理解する」ため及び「入学希望者のミスマッチを回避するため」の情報を公表することは重要であると考えており、具体的にどのような情報が御指摘のような「教育活動に伴う基本的な情報」に当たるかも含め、理学療法士等養成施設における情報の公表の在り方については、御指摘の「報告書」において「専修学校の教育の特徴や、学校生活の様子、就職指導、資格取得や就職などの状況、卒業や中途退学の状況、経営情報などを的確に発信していく必要がある。また、情報公表等の責務を十分に果たしていない学校があることは課題である」とされていることも踏まえ、今後、理学療法士等養成施設の養成カリキュラム等の全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。