新型コロナウイルスワクチン接種の実態と迅速な被害救済に関する質問主意書
新型コロナウイルス感染症対策の決め手として、二〇二三年度末までを特例臨時接種期間とする大規模な新型コロナウイルスワクチン(以下、コロナワクチン)接種が行われた。感染症関連法令等の改正により、二〇二三年五月八日には二類から五類へ移行し、二〇二四年四月一日からは高齢者を中心に季節性インフルエンザや肺炎球菌ワクチン同様、予防接種法上は定期接種B類型(努力義務なし)とし、他の世代については任意接種となった。
これまでの接種の科学的根拠、今後の接種体制、副反応被害の報告と認定制度について、以下質問する。
質問1
子どもへの接種について
二〇二二年二月十六日、厚生労働省は五歳から十一歳の子どもについても、努力義務を課して接種勧奨を行った。首相官邸ホームページによれば、五類への移行後も二〇二四年三月十八日時点での子どもへの接種は小児の一、二回目が二割強、乳幼児は四%台となっている。
1 接種勧奨当時と五類移行後の今日、子どものコロナウイルス感染動向と接種勧奨についてはどのような基準で対応していく予定か。
2 小児と乳幼児について、日本及び海外を含めて、コロナワクチン接種の有効性の根拠となった論文について、政府の把握するところを示されたい。接種勧奨を決定した部会では有効性についてどのような議論が行われ、その後の臨床試験の結果や追跡調査についてはどのように把握されているのか。
回答(質問1 の1について)
お尋ねの「接種勧奨当時と五類移行後の今日・・・どのような基準で対応していく予定か」の趣旨が明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「子ども」に対する「接種勧奨」については、御指摘の「当時」においては、令和四年二月十日の第三十回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において「新型コロナウイルス感染症の緊急のまん延予防のために実施する特例臨時接種の趣旨から、接種勧奨・努力義務の規定は原則として適用される。こうした予防接種法の規定の趣旨や、海外でも広く接種が進められていることも踏まえ、小児について接種勧奨の規定を適用すること」と確認されたことを踏まえ、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第八条の規定による勧奨(以下「勧奨」という。)を行うこととしたものであり、その後、御指摘の「五類移行」に併せて、令和五年三月七日の第四十五回同分科会において「オミクロン株については伝播性が非常に高いものの、発生初期と比較して重症度が低下している」、「子ども(五歳〜十一歳)・・・は、接種開始からの期間が短いため、接種期間を延長すべき」及び「小児に対する・・・追加接種については、・・・小児に対する接種の開始からの期間を考慮した対応であることを踏まえ、基礎疾患を有する小児その他重症化リスクが高いと医師が認める小児以外の小児については、公的関与(接種勧奨・・・)の規定の適用を除外する」と確認されたことを踏まえ、「追加接種」については、基礎疾患を有するなど「重症化リスクが高い」小児を除き勧奨は行わないこととし、また、その後、同年八月九日の第四十九回同分科会において「接種の目的が重症化予防とされており、重症化リスクの高くない者に対しては接種の機会を提供することとされていることを踏まえ、秋以降の接種における初回接種の公的関与の規定は重症化リスクの高い者にのみ適用する」と確認されたことを踏まえ、「初回接種」も含め、「重症化リスクの高い」小児を除き勧奨は行わないこととし、さらに、その後、同年十一月二十二日の第五十三回同分科会において「令和六年度以降、新型コロナウイルス感染症の「まん延予防上緊急の必要がある」と認められる状況にはないと考えられるため、『特例臨時接種』を今年度末で終了する」と確認されたことを踏まえ、令和六年三月三十一日をもって当該「特例臨時接種」を終了したことに伴い、同年四月一日からは、「重症化リスクの高い」小児も含め勧奨を行うこととはしていないところである。今後については、御指摘の「感染動向」やこうした経験等も踏まえながら、適切に対応していく。
回答(質問1 の2について)
御指摘の「コロナワクチン接種の有効性の根拠となった論文」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「接種勧奨を決定」するに当たり確認した新型コロナウイルス感染症に係る予防接種に使用するワクチン(以下「新型コロナワクチン」という。)の接種の有効性については、令和四年二月十日及び同年十月七日の第三十回及び第三十八回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、ファイザー社の新型コロナワクチンの臨床試験の結果として、小児及び乳幼児における発症予防効果と中和抗体価の上昇がそれぞれ見られたこと等が確認されたものである。なお、当該臨床試験の結果については、同年一月発行の「The New England Journal of Medicine」に論文「Evaluation of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Children 5 to 11 Years of Age」として、また、令和五年二月発行の同誌に論文「Evaluation of BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Children Younger than 5 Years of Age」として掲載されたものと承知している。このほか、新型コロナワクチンの有効性を示している論文として、例えば、同年十一月発行の「The Lancet Infectious Diseases」に掲載された論文「Effects of COVID-19 vaccination and previous SARS-CoV-2 infection on omicron infection and severe outcomes in children under 12 years of age in the USA: an observational cohort study」などがあると承知している。
また、御指摘の「その後の臨床試験の結果や追跡調査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、国立感染症研究所とも連携しながら、新型コロナワクチンの有効性等に関する最新の知見の収集に努めており、同年三月七日の第四十五回同分科会においても当該有効性等の確認を行ったところである。
質問2
妊婦への接種について
1 妊婦についてのコロナワクチンの有効性の根拠となる臨床試験の結果があれば示されたい。
2 ファイザー社の添付文書には、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ接種すること(一部引用)」と記載されている。にもかかわらず二〇二一年以降、妊婦へ接種の努力義務を課して接種勧奨を行った理由と科学的根拠を示されたい。
回答(質問2 の1について)
御指摘の「コロナワクチンの有効性の根拠となる臨床試験の結果」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、例えば、ファイザー社の新型コロナワクチンについては、令和三年二月十四日に医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第十四条第一項の規定による製造販売の承認をしたものであるところ、当該承認の申請に当たって実施された臨床試験の被験者の一部には妊娠中の者も含まれており、当該試験の結果において、当該新型コロナワクチンの有効性が示されているものである。
回答(質問2 の2について)
御指摘の「ファイザー社の添付文書には、・・・記載されている。にもかかわらず」の趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「添付文書」については、令和三年二月十五日の第十九回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会においても提出されているところ、同日の同分科会においては「ワクチンの接種に係る判断について」は「ワクチンの接種によって得られる利益(有効性)と副反応などのリスク(安全性)の比較衡量(リスク・ベネフィット)により接種の是非を判断する必要がある」と確認されたところである。その上で、御指摘の「妊婦へ」の「接種の努力義務」については、令和四年二月十日の第三十回同分科会において「妊娠中の者については、新型コロナウイルスに感染した場合、重症化リスクが高いことを示唆する報告がある」及び「妊娠中の者に対する新型コロナワクチン接種については、高い有効性を示唆する報告があり、安全性に関する特段の懸念を示唆するエビデンスもない」と確認されたことを踏まえ設けることとしたものであり、また、御指摘の「妊婦へ」の「接種勧奨」については、令和三年二月十五日の第十九回同分科会において「試験や海外の実使用経験から特段の懸念が認められているわけではなく、妊婦については新型コロナウイルス感染症の重症化のリスクが高いとの報告もあることや、海外で接種が進められていることから、接種機会を提供する必要がある」及び「現時点で海外でも広く接種が進められていること、緊急のまん延予防のために実施する臨時接種の趣旨も踏まえ、接種勧奨の規定は接種対象者全員に適用すること」と確認されたことを踏まえ行うこととしたものである。
質問3
全世代への接種について
1 コロナワクチン接種に伴う副反応報告基準について、すべての症状について明文化したものはない。厚生労働省の第五十一回副反応検討部会、令和二年度第十一回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料二によれば、論点として「ワクチンとの因果関係について評価が定まっていないものの、今後評価を行うことが考えられる以下の症状については、積極的に報告していただくよう、別途通知等により、示してはどうか」とされ、一般的にワクチンに関連しうると考えられる症状、コロナワクチンのプラットフォームに関連しうると考えられる症状、その他の症状として具体的症例名が記載されている。これを踏まえ、現在のコロナワクチン接種における副反応報告基準はどのように改定されたのか。
2 諸外国のコロナワクチン接種後の副反応報告基準や副反応報告事例を把握しているか。
3 承認・採用されたワクチンについて、接種開始以来、添付文書が改訂されたものはあるか。あるとすればその理由(根拠)は何か。
回答(質問3 の1について)
お尋ねの「どのように改定されたのか」についての意味するところが明らかではないが、御指摘の「現在のコロナワクチン接種における副反応報告基準」については、令和三年二月十五日の第五十一回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和二年度第十一回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)等での議論を踏まえ、同月十六日に施行された予防接種法施行規則及び予防接種実施規則の一部を改正する省令(令和三年厚生労働省令第三十四号)により「アナフィラキシー」及び「その他医師が予防接種との関連性が高いと認める症状であって、入院治療を必要とするもの、死亡、身体の機能の障害に至るもの又は死亡若しくは身体の機能の障害に至るおそれのあるもの」を厚生労働大臣に報告すべき症状とする「副反応報告基準」として定めた後、同年七月三十日の第六十五回同検討部会、令和三年度第十四回同調査会(合同開催)等での議論を踏まえ、同年八月二日に施行された予防接種法施行規則及び予防接種実施規則の一部を改正する省令(令和三年厚生労働省令第百三十六号)により「血栓症(血栓塞栓症を含む。)(血小板減少症を伴うものに限る。)」を、同年十二月三日の第七十三回同検討部会、令和三年度第二十三回同調査会(合同開催)等での議論を踏まえ、同月六日に施行された予防接種法施行規則の一部を改正する省令(令和三年厚生労働省令第百八十九号)により「心筋炎」及び「心膜炎」を、令和四年十月二十一日の第八十七回同検討部会、令和四年度第十六回同調査会(合同開催)等での議論を踏まえ、同月二十四日に施行された予防接種法施行規則の一部を改正する省令(令和四年厚生労働省令第百五十号)により「熱性けいれん」を、それぞれ同大臣に報告すべき症状として追加しているものである。
回答(質問3 の2について)
御指摘の「諸外国のコロナワクチン接種後の副反応報告基準」の詳細は把握していない。また、御指摘の「諸外国のコロナワクチン接種後」の「副反応報告事例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、医薬品医療機器等法第十四条第一項の規定による製造販売の承認を受けた新型コロナワクチンと成分が同一性を有すると認められる外国で使用されているワクチンによる諸外国において発生した副反応の事例については、医薬品医療機器等法第六十八条の十第一項の規定に基づき、医薬品の製造販売業者又は医薬品医療機器等法第十九条の二第四項に規定する外国製造医薬品等特例承認取得者が行う医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号)第二百二十八条の二十第一項各号に掲げる事項に係る厚生労働大臣への副作用等の報告(以下「副作用等報告」という。)を通じて把握しているところである。
回答(質問3 の3について)
御指摘の「承認・採用されたワクチン」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、医薬品医療機器等法第十四条第一項の規定による製造販売の承認を受けた新型コロナワクチンのうち、厚生労働省において副作用等報告等を踏まえて注意喚起の必要性があると判断したものについては、当該ワクチンの添付文書の改訂を製造販売業者に要請し、改訂が行われている。当該改訂の詳細については薬事審議会医薬品等安全対策部会において確認するとともに、同省のホームページにおいて同部会の資料として公表しているところである。
質問4
副反応被害の救済の実態について
日本におけるコロナワクチンの総接種回数は四億三千六百十九万三千三百四十一回(令和六年四月一日公表、首相官邸ホームページ)とされている。一方で専門家によれば、全世界での超過死亡は千七百万人とされ、日本でも六十万人が死亡したと言われる中で、日本におけるワクチン接種による死亡認定数は五百二十三件(二〇二四年三月十八日時点)にとどまっている。
1 国民の、とりわけ高齢者のほとんどが接種したにもかかわらず、超過死亡の増加が報告されていることについては、どのように分析されているのか。
2 超過死亡の考え方に我が国と諸外国(OECD)の差はあるのか。政府として把握するところを示されたい。
3 超過死亡について、若年層はどれくらいの割合を占めているのか。死因についてはどのように分析されているのか。
4 認定部会はどれくらいの頻度で開催されているのか。滞留件数が全体の四分の一もあることについて、どのような対策が講じられているのか。
5 一つの案件を審議する時間は平均〇・九分〜一・八分(三時間百〜二百件の審査など)と聞くが、事実か。
6 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(第十三版)」(令和四年十一月八日)に示されている「新型コロナワクチンの被害救済申請に対する調査委員会」が、全国自治体でどのように開催・実施されているかについてその実態を把握しているか。
7 市町村から都道府県を経由して国の認定部会に進達する書類に、副反応検討部会の書類が含まれているとのことである。さて、副反応検討部会では千百三十名の専門家が各事例について二名一班で評価をしているとされているが、認定部会向けに進達する書類にはどのような書類が作成され添付されるのか。
回答(質問4 の1について)
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「超過死亡」については、国立感染症研究所において、新型コロナウイルス感染症が国内で発生した令和二年一月以降のものについて、「新型コロナウイルス感染症を直接の死因と診断され、実際に新型コロナウイルス感染症を原因とする死亡」、「新型コロナウイルス感染症を直接の死因と診断されたが、実際には新型コロナウイルス感染症を原因としない死亡」、「新型コロナウイルス感染症が直接の死因と診断されなかったが(他の病因を直接の死因と診断された)、実際には新型コロナウイルス感染症を原因とする死亡」、「新型コロナウイルス感染症が直接の死因ではないが、感染症流行による間接的な影響を受け、他の疾患を原因とした死亡(例えば、病院不受診や生活習慣の変化に伴う持病の悪化による死亡)」及び「新型コロナウイルス感染症が直接の死因でなく、また新型コロナウイルス感染症流行による間接的な影響を受けたものでもない死亡」といった複数の要因が影響したと分析されている。
回答(質問4 の2について)
お尋ねの「超過死亡の考え方」の具体的に意味するところが明らかではないが、「超過死亡」数の算出については、諸外国において様々な方法により算出されていると承知しているところ、我が国においては、厚生労働行政推進調査事業費補助金新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業の研究班(以下「研究班」という。)において、米国疾病予防管理センターと同様の方法により、「超過および過少死亡数」として算出している。
回答(質問4 の3について)
前段のお尋ねについては、御指摘の「超過死亡」の年齢層別の割合について把握していないため、お答えすることは困難である。後段のお尋ねについては、御指摘の「死因について」の「分析」の意味するところが必ずしも明らかではないが、新型コロナウイルス感染症が国内で発生した令和二年一月以降の「超過死亡」の原因については、四の1についてでお答えしたとおり、複数の要因が考えられる。なお、同月以降の「超過死亡」については、研究班により、主な死因として、「新型コロナウイルス感染症以外」、「呼吸器系疾患」、「循環器系疾患」、「悪性新生物(がん)」、「老衰」及び「自殺」を挙げ、それぞれの数値が公表されている。
回答(質問4 の4について)
前段のお尋ねについては、御指摘の「認定部会」は、疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会並びに同分科会新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査第一部会、第二部会及び第三部会(以下「審査会」という。)と理解するが、同第三部会を新設し、その第一回を開催した令和五年六月二十六日以降は、おおむね毎月四回、審査会を開催しているところである。
後段のお尋ねについては、御指摘の「滞留件数」の意味するところが明らかではないが、審査の迅速化に向けて、同分科会に新型コロナワクチンのみを審査する部会の設置及び増設、審査会の開催回数の増加等の対応を行ってきたところ、令和六年四月十七日時点では、審査会における申請に係る進達受理件数に占める審査未処理件数の割合は減少しているところである。
回答(質問4 の5について)
御指摘の「一つの案件を審議する時間」の意味するところが必ずしも明らかではないが、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度(以下「予防接種健康被害救済制度」という。)の審査手続に当たっては、審査会での審査のみならず、当該審査の前に審査会委員による事前の申請内容の確認も行われるところであり、また、審査は申請内容の個別具体的な事例に則して行われるものであり、事例ごとに審査に要する時間は様々であることから、御指摘のような「平均」の時間を算出することは適当でないと考えている。
回答(質問4 の6について)
御指摘の「新型コロナワクチンの被害救済申請に対する調査委員会」は、「予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律の一部等の施行について」(昭和五十二年三月七日付け衛発第一八六号厚生省公衆衛生局長通知)に基づき市町村(特別区を含む。以下同じ。)に設置される予防接種健康被害調査委員会と理解するが、「令和五年度(令和四年度からの繰越分)新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業費国庫補助金交付要綱」(令和五年四月二十八日付け厚生労働省発健〇四二八第四号厚生労働事務次官通知別紙)において、市町村は、当該補助金の実績報告として、同委員会の開催回数や調査件数等について厚生労働省に報告することとしており、当該報告を通じて同委員会の実態を把握しているところである。
回答(質問4 の7について)
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「認定部会向けに進達する書類」として「作成され添付される」書類については、「予防接種法に基づく健康被害救済制度における医療費・医療手当請求書等の各種様式について」(令和六年四月十五日付け感発〇四一五第九号厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長通知)において、請求者が作成する「医療費・医療手当請求書」、医療機関が作成する「予防接種後副反応疑い報告」の「報告日」を含む「受診証明書」、医師の「診断書」等と示しており、御指摘の「副反応検討部会の書類」が「作成され添付される」わけではない。
質問5
否認後の対応について
1 不支給処分とされた人に対しての都道府県や市町村に公的な相談窓口が設けられているか。設けられているとすれば、どの程度活用されているかについて、政府の把握しているところを示されたい。
2 副反応被害が職務上の接種によるものと認定されなければ労災補償を受けることができないとされている。どこまでが職務上の接種に当たるかの明確な基準はあるのか、あれば具体的に示されたい。
3 医療費・医療手当給付等を受けている当事者が、治癒、あるいは症状固定との医師の診断により支給停止処分となる場合、医師の所見に明らかな誤りがあった場合にはどのように対応すべきか。処分を不服とする場合には再度の証憑を含めた再審査手続を取らざるを得ないのか。政府の見解を問う。
回答(質問5 の1について)
前段のお尋ねについては、御指摘の「公的な相談窓口」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「不支給処分とされた人」を含め、予防接種健康被害救済制度に係る相談については、当該相談を行う者が給付の請求を行う市町村において対応されるものである。後段のお尋ねについては、その趣旨が必ずしも明らかではないが、市町村における当該相談の対応状況の詳細は把握していない。
回答(質問5 の2について)
御指摘の「職務上の接種に当たるかの明確な基準」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種が業務遂行のために必要な行為として認められる場合は、当該接種による健康被害については労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく保険給付の対象となるところ、具体的には、厚生労働省のホームページに掲載している資料「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」において、「ワクチン接種については、通常、労働者の自由意思に基づくものであることから、業務として行われるものとは認められず、これを受けることによって健康被害が生じたとしても、労災保険給付の対象とはなりません。一方、医療従事者等に係るワクチン接種については(中略)労働者の自由意思に基づくものではあるものの、医療機関等の事業主の事業目的の達成に資するものであり、労災保険における取扱いとしては、労働者の業務遂行のために必要な行為として、業務行為に該当するものと認められることから、労災保険給付の対象となります。」等と示している。
回答(質問5 の3について)
御指摘の「治癒、あるいは症状固定との医師の診断により支給停止処分となる場合、医師の所見に明らかな誤りがあった場合」の意味するところが明らかではないため、お尋ねの「どのように対応すべきか」についてお答えすることは困難であるが、御指摘の「医療費・医療手当給付等を受けている当事者」が、御指摘の「処分を不服とする場合」には、一義的には当該当事者が給付の請求を行う市町村において相談等の対応が行われるものと考えている。