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消防団の現場対応に関する質問主意書

会派 日本維新の会
議案提出者 杉本和巳
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

近年、頻発する大規模自然災害に、これまで以上に、国・自治体が一丸となって、迅速な人命救助、被害軽減、復旧・復興に努める必要があり、これまでの災害の教訓を生かし、防災に努めなければならない。そういった中で、本業の仕事を持ちながら、ひとたび災害が発生するといち早く現場に駆けつけて、消防署員とともに初動対応にあたる地域の消防団の活躍が今後より重要になると考える。「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」(平成二十五年法律第百十号)や「地域防災力の中核となる消防団の充実強化に向けた取組事項について」(令和四年十二月二十三日付け消防地第六三五号消防庁長官通知)等からもこうした考えは国・政府も共有していると認識している。

そこで、消防団の現場での諸問題が改善されることは、こうした地域防災力の充実強化に資するものと考え、以下質問する。

質問1

先般、愛知県一宮市で消防団員が追加の消防ホースを届けるため、活動服着用の上、自家用車で現場に向かったが、現場を警備している警察官から一般車とみなされ現場に入ることを許可されず活動ができなかったという事例があった。本件は一宮市議会でも問題となり消防長が調整不足を認めるにいたっている。

ここで問題なのは、双方が同じ目的のためベストを尽くしたにもかかわらず、事前の調整・連携不足から現場の不満が増幅されてしまっていることである。

今回たまたま議会で取り上げられたことで表にでたが、こうした事例は氷山の一角であって、表にあらわれず把握されていない同種の調整・連携不足に端を発する問題は全国的に存在すると考える。

政府はこうした現場での諸問題を把握しているか。

回答(質問1 について)

 御指摘の「こうした現場での諸問題」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、仮に、消防及び警察の「調整・連携不足」に関する個別具体の事案を意味するのであれば、それぞれの現場において日々調整がなされるものと考えており、政府として個別には把握していない。

質問2

消防は市町村長の管理下にあり、市町村が消防の責任を負っているため、消防庁が直接的な関与ができないことは承知しているが(消防組織法第六条、第七条、第九条及び第三十六条)、地域ごとの実情を考慮しつつも全体の底上げを図っていくことが重要と考える。

そこで政府は、各地域の模範となる事例を参考として例示し、市町村が各地域の実情に合わせた適切な対策を実行していけるよう、市町村に対し助言・勧告・指導(同法第三十七条)する必要があると考えるが、政府の認識、見解は如何か。

回答(質問2 について)

 消防組織法(昭和二十二年法律第二百二十六号。以下「法」という。)第三十七条に基づき、必要に応じ、参考となる事例を提示することも含め、引き続き、地方公共団体に対し助言等を行ってまいりたい。

質問3

令和六年二月九日の衆議院予算委員会で、首都直下地震・南海トラフ地震等の大規模災害に対し、木原防衛大臣より、みちのくALERT二〇〇八に準じた準備・訓練・シミュレーションを行っている旨のご答弁をいただきひとまず安心していたところであるが、大きな枠組みの訓練を行っていても、先程取り上げた愛知県一宮市の事例のように、現場レベルでの連携に不備があっては、災害がおこった場合に有効に機能せず、絵に書いた餅となりかねないと危惧するところである。

そして、こうした問題を解決するためには、平時から各組織間の連携を強化し、調整するための仕組みづくりが必要であると考える。

調査したところによれば、例えば岡山県においては、岡山県警と県内の全消防団と連携協定を締結し、奈良県の五條市では市と消防団、警察署が行方不明者の捜索のため連携を強化する覚書を締結する等、消防団と警察を含めた他の組織との連携を深める協定・覚書等の取決めによる先進的な取組が一部の地域では行われている。

こうした取組を全国規模で拡大していくことが現場の連帯を生むことにつながり、ひいては大規模震災対策にも資すると考え、政府に対し消防団を含めた組織間連携強化を提案・要望するものであるが、政府の見解は如何か。

回答(質問3 について)

 法第四十二条第一項は、「消防及び警察は、国民の生命、身体及び財産の保護のために相互に協力をしなければならない。」と規定しており、災害時等に消防団を含む消防及び警察等の関係機関の連携を図ることは重要であると認識している。

 こうした認識の下、「防災基本計画」(令和五年五月三十日中央防災会議決定)に基づき、災害現場等において、消防団を含む消防及び警察等の関係機関が連携を図りながら円滑かつ効果的に救助活動等を行えるよう、活動調整会議を開催しているところである。また、「「東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会」報告書を受けた取り組みの推進について(通知)」(平成二十四年八月三十日付け消防災第三百五号消防庁国民保護・防災部防災課長通知)等により、消防団を含む消防及び警察等の関係機関の連携について、法第三十七条に基づく助言を行っているところであり、引き続き、消防団及び警察等の関係機関の連携に関する事例を参考として提示することも含め、更なる連携を図るよう地方公共団体に対し助言等を行ってまいりたい。