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「地方自治法の一部を改正する法律案」に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 おおつき紅葉
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

地方自治法の改正については、「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」(令和五年十二月二十一日第三十三次地方制度調査会)(以下、「三十三次地方制度調査会答申」という。)を踏まえ、本年三月一日、「地方自治法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、同日、国会に提出された。本法律案の作成過程において十分な議論が尽くされたのかという観点から、以下の事項について質問する。

質問1

地方自治法改正時における関係団体からの意見聴取等について

1 三十三次地方制度調査会答申の公表後において、本法律案を作成する過程で、地方自治体ないし地方自治体関係者(地方六団体(全国知事会、全国市長会、全国町村会、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会)を含む。以下同じ)が地方制度調査会等で示してきた懸念を十分に検討した形跡がないように見受けられる。それは、このような地方自治の根幹にかかわる法改正を行うプロセスとしては不適切であると考えるが、政府の見解を示されたい。また、地方自治体ないし地方自治体関係者が地方制度調査会等で示してきた懸念を十分に検討したとする場合は、その検討内容及び検討した結果を示されたい。

2 三十三次地方制度調査会答申の公表後に、地方自治体ないし地方自治体関係者とどのような協議及び検討をしたのか。例えば、第三十三次地方制度調査会第四回総会(令和五年十二月十五日)において、全国知事会の平井委員から発言のあった「これから法案に向けていく」「この成文をこれからつくっていく」「その際、地方の意見も聞く場をまた考えていただきたい」などを踏まえた、法案作成作業に際しての地方の意見を聞く機会は開かれたのか明らかにされたい。

3 2の地方の意見を聞く機会が開かれた場合、それらの各回について、?開催日時、?参加した関係者の役職・氏名、?検討資料の名称及び内容、?協議及び検討の内容を明らかにされたい。

4 2の地方の意見を聞く機会の開催により、地方自治体関係者との協議及び検討が十分であると考えるのか、政府の見解を示されたい。

回答(質問1 について)

 今国会に提出している地方自治法の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)については、学識経験者のほか地方六団体の代表者等により構成される第三十三次地方制度調査会(令和四年一月十四日から令和六年一月十三日まで設置)における全国知事会、全国市長会及び全国町村会等からの意見聴取等を行った上で取りまとめられた「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」(令和五年十二月二十一日地方制度調査会。以下「本答申」という。)を踏まえたものである。また、本答申公表後に、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百六十三条の三第二項の規定により内閣に対して意見を申し出ることができるよう、改正の内容について、同条第五項の規定に基づき、令和六年一月二十六日及び同年二月五日に地方六団体に対して情報提供を行っているものであり、適切な検討過程を経たものと考えている。

質問2

地方制度調査会答申から法案提出までの期間について

1 「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申」(平成二十一年六月十六日第二十九次地方制度調査会)以降における地方制度調査会の答申が公表されてから、地方自治法の改正案が国会に提出されるまでの期間について、それぞれの日数を示されたい。

2 今回の改正では、短い期間で法案の国会提出に至っているが、その理由を示されたい。

回答(質問2 の1について)

 お尋ねの「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申」(平成二十一年六月十六日地方制度調査会)以降における地方制度調査会の答申が公表された日から、当該答申を踏まえた地方自治法の改正案が国会に提出されるまでの日数をお示しすると、「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申」(平成二十一年六月十六日地方制度調査会)については二百八十六日、「大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申」(平成二十五年六月二十五日地方制度調査会)については二百六十六日、「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申」(平成二十八年三月十六日地方制度調査会)については三百五十九日、「多様な人材が参画し住民に開かれた地方議会の実現に向けた対応方策に関する答申」(令和四年十二月二十八日地方制度調査会)については六十五日、本答申については七十一日である。

回答(質問2 の2及び質問4 の2について)

 地方制度調査会の答申が公表されてから当該答申を踏まえた地方自治法の改正案が国会に提出されるまでの期間は、検討される法改正の内容や答申が行われた時期等の様々な事情によるものと考えており、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

質問3

地方制度調査会での意見の反映について

1 答申を最終審議した第三十三次地方制度調査会第四回総会(令和五年十二月十五日)では、補充的指示権について各委員から懸念や反対意見が出されたにもかかわらず、答申案の修正が行われなかった理由を示されたい。

2 「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申」(平成二十一年六月十六日第二十九次地方制度調査会)以降における地方制度調査会の最終の総会に提出された答申案と確定した答申との文言が相違している箇所について、それぞれの答申ごとに示されたい。

回答(質問3 の1について)

 お尋ねの「補充的指示権について各委員から懸念や反対意見が出されたにもかかわらず、答申案の修正が行われなかった理由」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの答申案については、第三十三次地方制度調査会第四回総会(令和五年十二月十五日)において、同調査会会長から「本日御議論いただきました「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申案」につきましては、皆様の御意見をしっかりと拝聴した上で、本調査会として本案のとおり答申を取りまとめることにしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。」と諮ったところ、異議はなかったため、原案のとおり了承されたものであると承知している。

回答(質問3 の2について)

 お尋ねの「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申」(平成二十一年六月十六日地方制度調査会)以降における地方制度調査会の総会に提出された答申案と確定した答申との文言が相違している箇所については、「二〇四〇年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申」(令和二年六月二十六日地方制度調査会)において、総会に提出された答申案の「第2 地方行政のデジタル化」「3 取組の方向性」中「あたって」を「当たって」に修正し、「第4 地方公共団体の広域連携」「1 広域連携による基礎自治体の行政サービス提供」中「その際、広域連携によって確保される取組については、関係市町村が担う役割に応じて適切に財政措置が講じられる必要がある。」を削り、「需要について」を「需要に応じ」に修正している。また、「多様な人材が参画し住民に開かれた地方議会の実現に向けた対応方策に関する答申」(令和四年十二月二十八日地方制度調査会)において、総会に提出された答申案の「第1 議会についての現状認識と課題」中「益々」を「ますます」に、「第2 議会における取組の必要性」「3 議長の全国的連合組織等との連携・国の支援」中「さらに」を「更に」に、「結び」中「とりまく」を「取り巻く」に、「さらに」を「更に」に修正している。

質問4

内閣法制局審査について

1 今回の「地方自治法の一部を改正する法律案」に関する内閣法制局審査の開始時期を示されたい。また、改正内容の各項目(デジタル化、補充的指示権、指定地域活動団体など)における審査の日時及び審査の概要を示されたい。

2 今回の改正では、短い期間での法案作成作業となっているが、その理由を示されたい。

回答(質問2 の2及び質問4 の2について)

 地方制度調査会の答申が公表されてから当該答申を踏まえた地方自治法の改正案が国会に提出されるまでの期間は、検討される法改正の内容や答申が行われた時期等の様々な事情によるものと考えており、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

回答(質問4 の1について)

 内閣法制局における法令案の審査は、現在、事務的には、主管省庁が作成した法令案の原案について、いわゆる予備審査の形で進める方法が採られているが、改正法案の原案については、昨年十二月中旬から、内閣法制局において予備審査が開始されている。また、お尋ねの「審査の日時及び審査の概要」については、同月中旬以降、継続的に、改正法案の原案について、法律的、立法技術的な観点からの検討が行われたところである。