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幼稚園におけるいじめ等の防止対策に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 鈴木庸介
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

昨今いじめや暴力行為の低年齢化が顕著となっている。幼稚園に通う子どもは、個々の発達過程に大きな差が生じやすく、それ故いじめや暴力行為に発展する確率が高い。また身体的にも精神的にも脆弱であることから、概して庇護されるべき存在であるといえる。

いじめや暴力行為の発端を発見し、早い段階で増大したり激化したりすることを抑制すべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

質問1

幼稚園におけるいじめや暴力行為についての実態をどのように把握しているのか。

回答(質問1 について)

 「幼稚園教育要領解説」(平成三十年二月文部科学省)において、「幼児期は、他者との関わり合いの中で、様々な葛藤やつまずきなどを体験することを通して、将来の善悪の判断につながる、やってよいことや悪いことの基本的な区別ができるようになる時期である」としており、そうした幼児期の特性を踏まえると、幼児の行動をいじめや暴力行為として扱うことについては、慎重に考える必要があるため、お尋ねの「幼稚園におけるいじめや暴力行為についての実態」を政府として把握することはしていない。

質問2

幼稚園教員の養成課程におけるいじめや暴力行為への対応に係るカリュキュラムの導入や教員になった後でも定期的に研修を実施し、啓発活動に努めることなどが求められるが、幼稚園におけるいじめや暴力行為の防止について今後どのように取り組んでいくのか。

回答(質問2 について)

 お尋ねの「幼稚園におけるいじめや暴力行為」の扱いについては、一についてでお答えしたとおりであるが、いずれにせよ、幼稚園教諭に対しては、教育職員免許法施行規則(昭和二十九年文部省令第二十六号)第二条第一項において、普通免許状の授与を受けるに当たって修得が必要な科目に含めることが必要な事項として、「教育相談(カウンセリングに関する基礎的な知識を含む。)の理論及び方法」を規定し、幼児の発達の状況に即しつつ、個々の心理的な特質や教育的課題を適切に捉え、支援するために必要な基礎知識を身に付けさせることとしている。また、幼稚園教育要領(平成二十九年文部科学省告示第六十二号)において、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として「してよいことや悪いことが分かり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになる」とした上で、「指導する事項」として「よいことや悪いことがあることに気付き、考えながら行動する」こと及び「友達との関わりを深め、思いやりをもつ」こととしているところ、幼稚園においては、同要領に基づき、幼児に対して適切に指導が行われているものと承知しており、引き続き、幼稚園教諭等を対象とする各種会議を通じて同要領の趣旨の周知に努めてまいりたい。

質問3

いじめ防止対策推進法の対象に、幼稚園児を加える必要があると考えるが、政府の見解を伺う。

回答(質問3 について)

 御指摘の「いじめ防止対策推進法の対象」は、議員立法であるいじめ防止対策推進法(平成二十五年法律第七十一号)において規定されたものと承知しており、政府としては、「いじめ防止対策推進法の対象に、幼稚園児を加える」か否かについては、その必要性を含め、まずは国会において御議論いただくべき問題であると考えている。