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交通関係税制に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 中谷一馬
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

交通関係税制の以下の項目について、政府の見解を伺いたい。

質問1

移動体の省エネ化推進、交通システムとしてのモーダルシフトの推進や公共交通の利用促進の見地から、鉄道車両、バス車両、船舶といった移動性償却資産については、固定資産税を非課税とすべきと考えるが、政府の見解を問う。

回答(質問1 について)

 御指摘の「移動体の省エネ化推進」及び「交通システムとしてのモーダルシフトの推進」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「鉄道車両」については、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)附則第十五条第十二項等の規定により固定資産税の課税標準の特例措置等を講じており、御指摘の「バス車両」については、同法第三百四十一条第四号ただし書の規定により固定資産税の課税の対象とならないこととしており、御指摘の「船舶」については、同法第三百四十九条の三第四項等の規定により固定資産税の課税標準の特例措置を講じているところ、お尋ねについては、政府及び与党において、所要の検討を行った上で、最終的には、国会審議を経て決定されるものであり、お答えすることは困難である。

質問2

バスは、地域公共交通の一つとして都市圏輸送及び都市間輸送を担っているが、人口減少や少子高齢化によって厳しい経営状況に置かれている。バス事業者の経営を下支えするためにバスの動力源に使用される軽油の減免措置を講ずべきと考えるが、政府の見解を問う。

回答(質問2 について)

 軽油引取税は、平成二十年度まで道路の財源に充てるための目的税であり、道路使用に直接関連しない一定の機械等の動力源又は電源に供する軽油については、課税免除措置が講じられていたが、平成二十一年度以降、軽油引取税が一般財源化されたことから、当該措置を時限的な措置とした上で、定期的に検討を行い、一定の縮減又は廃止を行ってきているところ、お尋ねについては、政府及び与党において、所要の検討を行った上で、最終的には、国会審議を経て決定されるものであり、お答えすることは困難である。

質問3

自動車に係る燃料課税の見直し

1 揮発油税、軽油引取税等の燃料課税については、暫定税率が廃止され、当分の間、本則の倍以上の税率が課されている。平成二十一年度から道路特定財源が全て一般財源化され、課税根拠は喪失していることから、当分の間税率を廃止し本則税率に戻すべきと考えるが、政府の見解を問う。

2 揮発油税、軽油引取税等に係るトリガー条項は、東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、その適用を停止することとされている。東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源については、復興特別所得税として確保されていることから、トリガー条項については早急に凍結を解除すべきと考えるが、政府の見解を問う。

3 2と併せて、トータルの税負担の観点から租税政策を検討すべきと考えるが、政府の見解を問う。

回答(質問3 の1について)

 お尋ねについては、令和六年二月二十六日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が「揮発油税等については、平成二十一年に暫定税率を前提とした道路特定財源は廃止されましたが、地球温暖化対策の観点、あるいは厳しい財政事情、これを踏まえて、それまでの税率が維持され、当分の間税率とされた、こういった経緯があると承知をしております。そして、その当時との比較において、今、今日、気候変動が引き続きより大きな社会課題になるなど、状況はより深刻化している、こういったことを考えますと、税制上の扱いを変更するということについては政府としては考えていないというのが実情であります。」と答弁したとおりである。

回答(質問3 の2について)

 

 お尋ねについては、令和六年三月八日の参議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が「トリガー条項凍結解除については、従来からこの議論を続けさせていただいておりますが、ガソリン等の流通現場あるいは国民生活に混乱を与えない、こういった実務面の課題等を整理する必要があると承知をしております。」と答弁したとおりである。

回答(質問3 の3及び質問4 の1について)

 御指摘の「トータルの税負担」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自動車関係諸税の見直しについては、令和六年二月二日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「今後の自動車関連諸税の在り方については、与党税制改正大綱において、カーボンニュートラル目標の実現への貢献、インフラの維持管理、機能強化の必要性等を踏まえつつ、国、地方を通じた財源の安定的な確保を前提に、中長期的な視点に立って検討を行うとされており、与党での議論を踏まえ、政府としても検討を進めてまいります。」と答弁したとおりである。

質問4

自動車関係諸税の抜本的な見直し等

1 自動車関係諸税の抜本的な見直しを行うに当たっては、納税者が納付すべき額について明確に理解できるものであるとともに、税体系における「取得」「保有」「走行」の段階ごとの簡素化や負担軽減が図られるよう取り組むべきと考えるが、政府の見解を問う。

2 自動車税における営業用車両と自家用車両の差(営自格差)については、営業用車両の輸送効率など、環境負荷に対する優位性や、環境対策の装置等に関わる業界の多大な費用負担、公共輸送の社会的役割など、営業用車両への配慮が行われてきた根拠は明らかである。このため、営自格差の継続、さらなる拡大が必要と考えるが、政府の見解を問う。

3 令和五年度税制改正において、側方衝突警報装置を搭載したトラックについて自動車税(環境性能割)の特例措置が令和六年四月三十日まで延長されるとともに、衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)を搭載したトラック及びバスについて、自動車重量税及び自動車税(環境性能割)の特例措置が拡充された。交通事故防止の観点から、また、新たなASV(先進安全自動車)技術が検討されていることから、当該特例措置を長期的な制度とすべきと考えるが、政府の見解を問う。

4 運輸事業振興助成交付金については、関西の一部の地域において、地方自治を根拠としていわゆる運輸事業振興助成法の政省令とかけ離れた交付要綱となっている。このため、国から各地方自治体に対して、制度の完全履行を働きかけるとともに、確実な交付に向けた制度の抜本改善のため、国による税制上の取扱も含めて必要な措置を講じる必要があると考えるが、政府の見解を問う。

回答(質問3 の3及び質問4 の1について)

 御指摘の「トータルの税負担」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自動車関係諸税の見直しについては、令和六年二月二日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「今後の自動車関連諸税の在り方については、与党税制改正大綱において、カーボンニュートラル目標の実現への貢献、インフラの維持管理、機能強化の必要性等を踏まえつつ、国、地方を通じた財源の安定的な確保を前提に、中長期的な視点に立って検討を行うとされており、与党での議論を踏まえ、政府としても検討を進めてまいります。」と答弁したとおりである。

回答(質問4 の2について)

 御指摘の「営自格差」については、物価に及ぼす影響等を考慮し、営業用の自動車に係る自動車税額と、自家用の自動車に係る自動車税額に差を設けることとしているところ、お尋ねについては、政府及び与党において、所要の検討を行った上で、最終的には、国会審議を経て決定されるものであり、お答えすることは困難である。

回答(質問4 の3について)

 御指摘の「特例措置」については、交通事故による死者数を低減させるため、当該特例措置の対象となる車両の普及促進を図る観点から、時限的に設けられているところ、お尋ねについては、政府及び与党において、所要の検討を行った上で、最終的には、国会審議を経て決定されるものであり、お答えすることは困難である。

回答(質問4 の4について)

 御指摘の「いわゆる運輸事業振興助成法の政省令とかけ離れた交付要綱」の意味するところが必ずしも明らかではないが、運輸事業振興助成交付金については、政府としては、これまでも、運輸事業の振興の助成に関する法律施行規則(平成二十三年総務省・国土交通省令第一号)第二条の規定に基づき算定した額の交付について、都道府県に適切な対応を依頼してきたところである。また、御指摘の「国による税制上の取扱も含めて必要な措置」については、その意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

質問5

航空機燃料税は、空港の配置的整備を急ぐため五十年前に創設された租税であるが、我が国における空港整備が概成している現在において、その役割を終了しており継続する理由がない。また、この租税の納税対象は国内線とされ、国際線は非課税とされているため、国内線と国際線を就航する本邦航空会社と国際線のみ就航している海外の航空会社とでは、公平な競争環境となっていない。そのような状況を踏まえると、早急に本則の見直しを行うべきであり、また、廃止に向けた検討も進めるべきと考えるが、政府の見解を問う。

回答(質問5 について)

 お尋ねについては、令和四年二月十六日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣が「現在も、各地の空港の機能強化をしなければいけない、あるいは老朽化対策をしなければいけない、これは重要な課題でございます。そのために、航空機燃料税を廃止縮小するということは適当ではない、そのように思っています。」と答弁したとおりである。