分かりやすい衆議院・参議院

米軍基地騒音被害に対する損害賠償等についての日米間の費用分担に関する再質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 屋良朝博
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

令和六年二月十五日に提出した「米軍基地騒音被害に対する損害賠償等についての日米間の費用分担に関する質問主意書」では、米軍基地に起因する騒音被害への損害賠償や、廃棄物処理についての日米間の費用分担について、納税者に対する説明責任の観点から質問を行った。

しかし、令和六年二月二十七日に受領した同質問主意書に対する答弁書(内閣衆質二一三第四五号)でも、米軍基地に起因するこれらの費用を日本側が負担することとした経緯や根拠、範囲等につき、依然として不透明な部分が残されており、全体像を把握することが困難であった。

ついては、先の答弁書を踏まえ、改めて、日米間の費用分担に関し、以下の事項について答えられたい。

質問1

先の答弁書「一の1について」で明らかにされた、在日米軍基地の騒音被害に係る訴訟で確定した損害賠償金(遅延損害金を含む。)について、以下の問いに答えられたい。

1 日本政府がこれらの損害賠償金を負担した法的根拠を示されたい。

2 日本政府がこれらの損害賠償金を支出した際の予算上の費目を示されたい。

回答(質問1 の1について)

 お尋ねについては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法(昭和二十七年法律第百二十一号)第二条及び国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第二条第一項の規定に基づくものである。

回答(質問1 の2について)

 お尋ねの損害賠償金(遅延損害金を含む。)に係る経費の予算科目は、(組織)防衛本省(項)防衛本省共通費(目)賠償償還及払戻金である。

質問2

先の答弁書「二の1について」に関し、以下の問いに答えられたい。

1 「二の1について」では、在日米軍から施設及び区域が返還された場合の原状回復措置に係るものについては日米地位協定第四条1、また、提供施設整備、米軍再編等に係るものについては日米地位協定第二十四条1及び2に基づき、日本政府が在日米軍基地に由来する有害廃棄物の処理を行っている旨が説明されている。この点につき、未だ返還されていない在日米軍基地に係るもので、日本政府が処理費用を負担する「提供施設整備、米軍再編等に係るもの」と、これに該当しないもの(米国政府の費用負担で処理されるもの)の区別について、具体的な事例を挙げながらわかりやすく説明されたい。

2 これまでに日米の合意に基づき、米国政府の費用負担によって在日米軍基地内の有害廃棄物が処理された事例があれば明らかにされたい。

回答(質問2 の1について)

 御指摘の「有害廃棄物」の具体的な範囲が必ずしも明らかではなく、また、お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、提供施設整備、米軍再編等に係る費用の負担については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第二十四条1において、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される」と規定され、同条2において、「日本国は、第二条及び第三条に定めるすべての施設及び区域並びに路線権・・・をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、かつ、相当の場合には、施設及び区域並びに路線権の所有者及び提供者に補償を行なうことが合意される」と規定されていることを踏まえ、個別具体の事実関係に即して決せられるものであり、また、御指摘の「米国政府の費用負担で処理されるもの」について網羅的に把握していないため、一概にお答えすることは困難である。

回答(質問2 の2について)

 御指摘の「有害廃棄物」の具体的な範囲が必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「日米の合意に基づき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、米国政府が在日米軍施設において保有する泡消火薬剤については、日米地位協定第二十四条1の規定に基づき、米国政府の負担により処理されているものと認識している。

質問3

先の答弁書「二の2について」「二の3について」及び「二の5について」では、日本政府が、?在日米軍基地内のPCB処理費用、?普天間飛行場内に保管されていたPFASを含む汚染水、?日本政府が実施する在日米軍施設の解体工事等に際して確認されたアスベストの除去費用を負担してきたことが明らかにされているが、日本政府がこれらの費用を支出した際の予算上の費目をそれぞれ示されたい。

回答(質問3 について)

 御指摘の「PFASを含む汚染水」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、御指摘の「在日米軍基地内のPCB処理費用」及び米国政府が普天間飛行場において保有するペルフルオロ(オクタン−一−スルホン酸)(以下「PFOS」という。)及びペルフルオロオクタン酸(以下「PFOA」という。)を含有する廃水に係る処理費用のそれぞれの予算科目は、次のとおりである。

 「在日米軍基地内のPCB処理費用」に係るもの

 (組織)防衛本省(項)防衛施設安定運用関連諸費(目)提供施設等整備費

 (組織)防衛本省(項)防衛力基盤整備費(目)提供施設等整備費

 (組織)防衛本省(項)防衛力基盤強化推進費(目)提供施設等整備費

 (組織)防衛本省(項)在日米軍等駐留関連諸費(目)在日米軍等駐留関連庁費

 (組織)防衛本省(項)在日米軍等駐留関連諸費(目)提供施設等整備費

 (組織)防衛本省(項)在日米軍等駐留関連諸費(目)提供施設移設整備費

 米国政府が普天間飛行場において保有するPFOS及びPFOAを含有する廃水に係る処理費用に係るもの

 (組織)防衛本省(項)防衛力基盤強化推進費(目)提供施設等整備費

 また、御指摘の「アスベストの除去費用」の予算科目については、日米地位協定第四条1及び第二十四条2の規定に基づいて日本政府の費用負担により石綿を除去した案件について統計をとっていないため、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、(組織)防衛本省(項)在日米軍等駐留関連諸費(目)提供施設移設整備費から支出した例がある。

質問4

在日米軍基地内のPCB廃棄物の処理について、以下の問いに答えられたい。

1 日本政府が処理費用を負担したPCB廃棄物のうち、「提供施設整備」の一環で処理したPCB廃棄物の量、「米軍再編に係るもの」として処理したPCB廃棄物の量をそれぞれ明らかにされたい。

2 「再編の実施のための日米ロードマップ」が合意された平成十八年五月以前に、防衛省が在日米軍基地(跡地を含む。)から引き取り、現在も保管しているPCB廃棄物があれば、保管場所とその各所における保管量を明らかにされたい。

3 在日米軍基地内のPCB廃棄物については、平成十四年の日米安全保障協議委員会(二プラス二)で、米本国に搬出して処理する方針で合意していたにもかかわらず、その後、これを日本国内において、日本政府の費用負担により処理することとなった経緯と理由を明らかにされたい。

回答(質問4 の1について)

 令和四年度時点において防衛省が把握している限りでは、お尋ねの「「提供施設整備」の一環で処理したPCB廃棄物の量」は約三十七トン、「「米軍再編に係るもの」として処理したPCB廃棄物の量」は約二十一トンである。

回答(質問4 の2について)

 お尋ねの「平成十八年五月以前に、防衛省が在日米軍基地(跡地を含む。)から引き取り、現在も保管しているPCB廃棄物」はない。

回答(質問4 の3について)

 御指摘の「在日米軍基地内のPCB廃棄物については、平成十四年の日米安全保障協議委員会(二プラス二)で、米本国に搬出して処理する方針で合意していた」という事実はなく、当該事実が存在することを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。

質問5

先の答弁書「二の3について」及び「二の4について」に関し、以下の問いに答えられたい。

1 「二の4について」では、米国政府が在日米軍施設において保有する泡消火薬剤は「米国政府の負担により処理されているものと認識している」と答弁する一方、「二の3について」では、普天間飛行場内で保管されていた泡消火剤を含む汚染水については、「日米地位協定第二十四条2の規定に基づき日本政府が処分を行った」ことが明らかにされている。

 米軍が保有する泡消火剤の処理は米国政府が行うが、米軍施設内で保管されているPFASを含む汚染水の処理は日本政府が行うと区別する根拠と理由を明らかにされたい。

2 報道によれば、PFASを含む泡消火剤で汚染された水を保管している在日米軍基地は米軍普天間飛行場だけではなく、例えば、米軍横田飛行場でも約百四十万リットルの汚染水が保管されていることが報じられている。

 日本全国の米軍施設内において保管されているPFAS含有の泡消火剤汚染水の量を明らかにされたい。

 また、それらの汚染水の処理については、日米両政府のどちらが、どのように(焼却処分等の処理方法)行うべきだと考えているか、政府の見解を示されたい。

回答(質問5 の1について)

 日米地位協定第二十四条1において、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される」と規定されているが、先の答弁書(令和六年二月二十七日内閣衆質二一三第四五号)二の3についてで述べた普天間飛行場に係る案件については、日米間の協議の結果、PFOS及びPFOAを含有する廃水が格納庫の地下水槽からあふれることがないように、台風の時期を見越した緊急的な暫定措置として、同条2の規定に基づき日本政府が処分を行ったものである。

回答(質問5 の2について)

 前段のお尋ねについては、御指摘の「PFAS含有の泡消火剤汚染水」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、米国政府が在日米軍施設において保有するPFOS及びPFOAを含有する廃水の量について網羅的に把握しておらず、お答えすることは困難である。

 後段のお尋ねについて、米国政府が在日米軍施設において保有するPFOS及びPFOAを含有する廃水の処理については、個別具体の事実関係に即して日本政府又は米国政府において行われるべきものであると考えており、その処理方法については、日本国内において処理を行うに当たっては、焼却処理されるべきものであると考えている。