アレクセイ・ナワリヌイ氏の急死に関する質問主意書
ロシア当局は先月十七日、反体制派指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏が収監先の刑務所で死亡したと発表した。
これを受け、バイデン米大統領はナワリヌイ氏の急死について「疑いなくプーチンと彼の悪党たちの仕業だ」と述べた。ショルツ独首相はX(旧ツイッター)に「民主主義と自由を求めて立ち上がったナワリヌイ氏は、勇気の代償を自らの命で支払った」と投稿した。また、英政府は、ナワリヌイ氏が収監されていた刑務所の所長ら六人に資産凍結と入国禁止の制裁を科すと発表した。
さらに、今月四日には、国連人権理事会の会合が開かれ、ナワリヌイ氏が刑務所で死亡した件について、欧米諸国など四十三か国が、独立した国際調査の実施を受け入れるようロシアに要請した。
右について、以下、政府の見解を明らかにされたい。
質問1
岸田首相や上川外相は、ナワリヌイ氏の急死について、発信を行わないのはなぜか。国際社会に向けて適切な発信を迅速に行わないことは、我が国がロシアに忖度しているとの誤解を招くのではないか。
回答(質問1 について)
岸田内閣総理大臣や上川外務大臣等による国際情勢等に関する我が国の立場の表明については、対象となる事案の性質等の様々な事情を踏まえ、適時適切に判断し、しかるべく行っているところであるが、アレクセイ・ナヴァリヌィ氏の死亡に関する我が国の立場については、令和六年二月十九日の記者会見において、林内閣官房長官が「同氏の死亡の直後に行われたG7外相会合においても、我が国としてG7各国と緊密に連携し、その成果として、同会合の後に議長国イタリアから発出された議長声明においても、ロシア側に対してナヴァリヌィ氏の死因を完全に明らかにするよう要求するとともに、政治的異議を唱える者への許容できない迫害、表現の自由の組織的抑圧及び市民的権利の不当な制限をやめるよう求めたところであります。」と述べたとおりであり、また、我が国を含むG7として、同月二十四日付けのG7首脳声明において、ロシア政府に対し、同氏の死亡をめぐる状況を完全に明らかにするよう求めたところであり、我が国が「ロシアに忖度している」との御指摘は当たらないと考えている。
質問2
政府は、ナワリヌイ氏の死に対して、ロシアに対する新たな制裁を検討するつもりがあるか。
回答(質問2 について)
お尋ねの「ロシアに対する新たな制裁」については、今後の状況を踏まえつつ、政府として適切に対応してまいりたい。
質問3
政府は、ナワリヌイ氏の刑務所での死亡に関する独立した国際調査の実施に関し、如何なる立場をとるのか。
回答(質問3 について)
御指摘の「独立した国際調査」については、現時点ではその具体的な内容が確定していないものであると承知しており、これに関する我が国の立場を予断することは差し控えたいが、いずれにせよ、我が国としては、まずはロシア政府がアレクセイ・ナヴァリヌィ氏の死亡をめぐる状況を完全に明らかにすることが重要であると考えている。