警察行政の信頼性に関する質問主意書
「週刊文春」において、木原誠二衆議院議員の親族が不審死事件の重要参考人として警視庁に事情聴取されていた旨が報じられている(二〇二三年七月十三日号、同年七月二十日号等)。
同事件に関し、令和五年七月十三日の国家公安委員会委員長(代理)記者会見において、露木警察庁長官から、「警視庁において、捜査等の結果、証拠上事件性が認められない旨を明らかにしておりますので、人権上の理由から、事案の詳細についてお答えをすることは差し控えたい」旨の発言があった。
これに関連して、令和五年十一月二十四日に「警察行政の信頼性に関する質問主意書」(質問第六九号)を提出したところ、内閣から「衆議院議員原口一博君提出警察行政の信頼性に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二一二第六九号)(以下「答弁書」という。)を受領した。答弁書の内容を踏まえ、次の事項について質問する。
質問1
右事件に関して、「記者会見において、警察庁長官が事件性の有無に関する発言をした」理由について、答弁書においては、「個別の事案に関する質問を受けたことから、(中略)必要な回答をしたものである」とされている。今後、警察庁は、国会審議において個別の事件の事件性の有無に関する質問を受けた場合、右記者会見と同様に、必要な回答をしていただけると理解してよいか。
回答(質問1 について)
お尋ねのような質問に対する答弁の内容については、個別の事案ごとに判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。
質問2
「警察法」(昭和二十九年法律第百六十二号)の施行以来、右事件のほかに、右事件と同様に、個別の事件に関して、「記者会見において、警察庁長官が事件性の有無に関する発言をした」例はあるか。また、例があるとすれば、それはどのような理由からそのような発言をしたのか。
回答(質問2 について)
お尋ねの「右事件と同様に、個別の事件に関して、「記者会見において、警察庁長官が事件性の有無に関する発言をした」例」の具体的に指し示す範囲が明らかではないため、お答えすることは困難である。
質問3
国家公安委員会による警察行政の政治的中立性の確保について、法令又は内規において、具体的にどのように規定されているか。なお、「内規」とは、例えば、広辞苑(第七版)によれば、「内部の規定。内々のきまり。」とされている。
回答(質問3 について)
お尋ねについては、警察法(昭和二十九年法律第百六十二号。以下「法」という。)第四条第一項において「内閣総理大臣の所轄の下に、国家公安委員会を置く」と、法第五条第四項において「国家公安委員会は・・・警察庁を管理する」と、それぞれ規定されるなどしているところである。
質問4
国家公安委員会において、国家公安委員会委員長は、具体的にどのような役割を果たし、どのような業務を行っているか。なお、「役割」とは、例えば、広辞苑(第七版)によれば、「役をそれぞれに割り当てること。また、割り当てられた役目。」とされている。また、「業務」とは、例えば、広辞苑(第七版)によれば、「事業・商売などに関して、日常継続して行う仕事。なすべきわざ。仕事。」とされている。
回答(質問4 について)
お尋ねについては、先の答弁書(令和五年十二月五日内閣衆質二一二第六九号)三から五までについての後段でお答えしたとおりである。
質問5
国会議員が警察庁の職員に直接働きかけ、警察行政の公平中正が歪められることのないよう、法令又は内規において、具体的にどのように規定されているか。また、国会議員が警察庁の職員に個別に警察行政に関する要望等を行った場合、どのように対応することとなっているか。
回答(質問5 の前段及び質問6 の前段について)
お尋ねについては、法第二条第二項において「その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない」と規定されるなどしているところである。
回答(質問5 の後段について)
お尋ねの「対応」については、個別の事案ごとに判断しているところであるが、いずれにせよ、警察庁においては、不偏不党かつ公平中正を旨として各般の警察行政に取り組んでいるところである。
質問6
国会議員の働きかけや国会議員への忖度により捜査の公平中正が歪められることはあってはならないと考える。都道府県警察における捜査が、個別の国会議員からの捜査に関する要望等の影響を受けることのないよう、法令において、具体的にどのように規定されているか。また、捜査が個別の国会議員からの要望等の影響を受けているのではないかとの疑念を招くことがないよう、政府は国民に対してどのような内容の説明を行っているか。
回答(質問5 の前段及び質問6 の前段について)
お尋ねについては、法第二条第二項において「その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない」と規定されるなどしているところである。
回答(質問6 の後段について)
警察においては、不偏不党かつ公平中正を旨として各般の警察行政に取り組んでいるところである。その上で、警察活動の状況について、例えば、警察白書に記載するなどしているところである。