分かりやすい衆議院・参議院

米海兵隊第三一海兵遠征隊の運用等に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 屋良朝博
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

令和五年十二月一日に提出した「米海兵隊第三一海兵遠征隊の運用等に関する質問主意書」では、普天間飛行場の危険性除去を追求するためには、同飛行場配備の航空機の運用を把握することは必要不可欠な前提条件であり、その中でも「米海兵隊第三一海兵遠征隊」(以下「三一MEU」という。)の運用を理解することが普天間飛行場の問題を解決する上で重要であるとの観点から質問を行った。

令和五年十二月十二日に受領した「衆議院議員屋良朝博君提出米海兵隊第三一海兵遠征隊の運用等に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二一二第七九号)(以下「先の答弁書」という。)では、ほとんどの答弁が「政府としてお答えすることは差し控えたい」「一概にお答えすることは困難である」などとして丁寧な説明を避けている。これは、岸田内閣総理大臣就任後初の所信表明演説(令和三年十月八日)において、岸田総理自らが述べられた「丁寧な説明、対話による信頼を地元の皆さんと築きながら、沖縄の基地負担の軽減に取り組」みますとは全く異なる、県民の気持ちを無視したものであると言わざるを得ない。

ついては、先の答弁書を踏まえ、改めて、三一MEUの運用実態に関し、以下の事項について答えられたい。

質問1

先の答弁書「二の1について」に関し、以下の問いに答えられたい。

1 訓練を移転したそれぞれの機種を明らかにされたい。

2 訓練移転によって各年の普天間飛行場における飛行回数がどれほど軽減されたのか、それぞれ示されたい。

回答(質問1 の1について)

 先の答弁書(令和五年十二月十二日内閣衆質二一二第七九号)二の1についてで述べた取組(以下「当該取組」という。)の実績として、その実施期間及び機種を、それぞれお示しすると、次のとおりである。

  平成二十九年三月六日から同月十七日まで ティルト・ローター機MV−二二

  同年八月十日から同月二十八日まで ティルト・ローター機MV−二二及びCH−五三

  同年十二月八日から同月二十日まで ティルト・ローター機MV−二二

  平成三十年二月十五日から同年三月二日まで ティルト・ローター機MV−二二

  同年十二月七日から同月十九日まで ティルト・ローター機MV−二二

  平成三十一年二月四日から同月十五日まで ティルト・ローター機MV−二二

  令和元年十二月一日から同月十三日まで ティルト・ローター機MV−二二

  令和二年一月十八日から同月三十日まで ティルト・ローター機MV−二二

  同月二十二日から同年二月八日まで ティルト・ローター機MV−二二、AH−一及びUH−一

  同年十月二十六日から同年十一月五日まで ティルト・ローター機MV−二二

  同年十二月七日から同月十八日まで ティルト・ローター機MV−二二

  令和三年七月十四日から同月二十四日まで ティルト・ローター機MV−二二、AH−一及びUH−一

  同年十二月四日から同月十七日まで ティルト・ローター機MV−二二、CH−五三、AH−一及びUH−一

  令和四年三月四日から同月二十五日まで ティルト・ローター機MV−二二及びCH−五三

  同年十月一日から同月十四日まで ティルト・ローター機MV−二二、CH−五三、AH−一及びUH−一

  同年十一月十日から同月十九日まで ティルト・ローター機MV−二二

  令和五年二月十六日から同年三月十二日まで ティルト・ローター機MV−二二、CH−五三、AH−一及びUH−一

  同年十月十四日から同月三十一日まで ティルト・ローター機MV−二二

回答(質問1 の2について)

 お尋ねの「飛行回数」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、普天間飛行場における離着陸等の回数の増減は、当該取組を含め様々な要因によるものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

 政府としては、当該取組に参加する航空機が、一定期間同飛行場を離れることにより、当該取組がなければ御指摘の「各年」に同飛行場で実施され得る訓練活動が削減される効果があったものと認識している。

質問2

先の答弁書「二の5、三及び四について」に関し、以下の問いに答えられたい。

1 米軍再編により、在沖米海兵隊の一部がグアム、豪州、ハワイなど国外に移転する計画とされているが、国外に移転する部隊の構成及び移転の開始時期と完了時期について、政府の把握するところをそれぞれ明らかにされたい。

2 「在日米軍全体のプレゼンスを低下させることはできない」とあるが、「在日米軍全体のプレゼンス」とは何か、政府の見解を明らかにされたい。

3 米軍再編により、日本国外に海兵隊の一部が移転したとしても、「在日米軍全体のプレゼンス」の低下を招くことはないと政府は認識しているのか明らかにされたい。

4 三一MEUが移動する際に使用する輸送手段は米海軍佐世保基地所属の強襲揚陸艦であると考えるが、相違ないかお答えいただきたい。

5 「我が国の周辺諸国との間に一定の距離を置いているという利点」の「一定の距離」とは沖縄から周辺諸国の距離なのか、あるいは輸送手段の配備地からの距離なのかを明示し、その理由を明らかにされたい。

6 「幅広い任務に対応可能な第三十一海兵機動展開隊をはじめとする米海兵隊の特性及び機能を損なう」「在沖縄海兵隊の沖縄県外への一括移転については、一般的には、沖縄ほどの地理的優位性が認められない」との答弁について日本政府は何を根拠として、そのように判断しているのか、明らかにされたい。

7 米国政府は、海兵隊を機能させるために、沖縄での基地提供をこれまで要望しているのか、政府として把握しているところを明らかにされたい。

回答(質問2 の1について)

 令和五年一月十一日付けの日米安全保障協議委員会共同発表において、米海兵隊の要員の沖縄からグアムへの移転が二千二十四年に開始されることを確認したが、沖縄から、グアムを含む国外へ移転する部隊に係る詳細な計画については現時点で決定されていない。

回答(質問2 の2について)

 日米安保体制の下、在日米軍においては、緊急事態に迅速かつ機動的に対応できる態勢が平時からとられており、米国が有する核戦力や通常戦力とあいまって、抑止力として機能しているものと考えているところ、「在日米軍全体のプレゼンス」は、このような意味で用いている。

回答(質問2 の3について)

 令和五年一月十一日付けの日米安全保障協議委員会共同発表において、米海兵隊の要員の沖縄からグアムへの移転が二千二十四年に開始されることを確認したが、高い即応性を有する第三十一海兵機動展開隊は沖縄に残留すること、ハワイやグアム等にも、様々な軍事作戦任務を行うための米海兵隊の基本的な組織である海兵空地任務部隊を配置することにより、地域における米海兵隊全体の対処能力が向上すること並びに事態の進展に応じて、各所から部隊が増強され、沖縄に残留する第三海兵機動展開部隊司令部、航空部隊及び後方支援部隊が、増強部隊の来援のための基盤となり、引き続き大規模な事態に迅速に対応できることから、我が国及び地域における米軍の抑止力は維持・強化されるものと認識しており、「在日米軍全体のプレゼンス」が低下するとは考えていない。

回答(質問2 の4について)

 御指摘の「三一MEUが移動する際」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、米軍の運用に関することであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。

回答(質問2 の5について)

 前段のお尋ねについて、「一定の距離」とは、沖縄と周辺諸国との間の距離である。

 後段のお尋ねについては、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

回答(質問2 の6について)

 お尋ねの「幅広い任務に対応可能な第三十一海兵機動展開隊をはじめとする米海兵隊の特性及び機能を損なう」の「根拠」については、地理上の利点を有する沖縄に、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有する米海兵隊が駐留することで、種々の事態への迅速な対応が可能となっていることから、例えば、航空部隊のみを他の部隊と切り離して移転することは、米海兵隊が有する優れた機動性及び即応性という特性及び機能を損なうこととなると考えている。

 また、お尋ねの「在沖縄海兵隊の沖縄県外への一括移転については、一般的には、沖縄ほどの地理的優位性が認められない」の「根拠」については、沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離を置いているという利点を有し、また、南西諸島のほぼ中央にあり、我が国のシーレーンに近いなど、安全保障上極めて重要な位置にあることから、沖縄に駐留する米海兵隊の沖縄県外への一括移転については、一般的には、沖縄ほどの地理的優位性が認められないと考えている。

回答(質問2 の7について)

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではなく、また、米側との個別のやり取りについては、相手国との関係もあり、お答えすることは差し控えたいが、例えば、令和五年一月十一日付けの日米安全保障協議委員会共同発表において、「地域における安全保障上の増大する課題に対処するために、日本の南西諸島の防衛のためのものを含め、向上された運用構想及び強化された能力に基づいて同盟の戦力態勢を最適化する必要性を確認」(仮訳)しているところである。

 なお、政府としては、沖縄に、優れた機動性及び即応性により、幅広い任務に対応可能な米海兵隊が駐留することは、日米同盟の抑止力を構成する重要な要素であり、我が国の平和と安全を確保する上で必要なものであると考えている。