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「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の結果を踏まえた児童生徒等の教育相談等の取組に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 山井和則
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

政府が令和四年十一月に取りまとめた「「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の取りまとめ 被害者の救済に向けた総合的な相談体制の充実強化のための方策」を受け、文部科学省から「「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の結果を踏まえた児童生徒等の教育相談等の取組について(通知)」を各都道府県教育委員会教育長などに発出し、「一 学校における教育相談」「二 高等学校等への進学に関する経済的支援」「三 大学等への進学に関する経済的支援」に取り組むことを示し、相談対応の事例については文部科学省に報告するように要請しています。

そこで以下のとおり、質問します。

質問1

「一 学校における教育相談」に基づき、文部科学省にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが相談対応を行った事例は何件報告されていますか。また、相談者の属する学校種、相談内容ごとの件数も示して下さい。

回答(質問1 について)

 前段のお尋ねについては、お尋ねの件数は、令和六年一月末時点で二十四件である。

 後段のお尋ねについては、複数回答を可能としているものであるところ、小学校における相談内容は「友人関係」が一件であり、中学校における相談内容は「不登校」が五件、「友人関係」が三件、「貧困の問題」が一件、「ヤングケアラー」が一件、「家庭環境(児童虐待及び貧困の問題を除く。)」が七件、「心身の健康・保健」が五件、「学業・進路」が二件、「その他の内容」が一件であり、高等学校における相談内容は「児童虐待」が一件、「貧困の問題」が一件、「家庭環境(児童虐待及び貧困の問題を除く。)」が十一件、「教職員との関係」が一件、「心身の健康・保健」が一件、「学業・進路」が一件、「その他の内容」が二件であった。

質問2

「一 学校における教育相談」に基づき、文部科学省に「二十四時間子供SOSダイヤル」で相談対応を行った事例は何件報告されていますか。また、相談者の属する学校種、相談内容ごとの件数も示して下さい。

回答(質問2 について)

 前段のお尋ねについては、お尋ねの件数は、令和六年一月末時点で十三件である。

 後段のお尋ねについては、複数回答を可能としているものであるところ、小学校における相談内容は「その他の内容」が一件であり、高等学校における相談内容は「いじめ問題」が一件、「児童虐待」が一件、「友人関係」が二件、「家庭環境(児童虐待及び貧困の問題を除く。)」が五件、「教職員との関係」が三件、「心身の健康・保健」が五件、「学業・進路」が四件、「その他の内容」が五件であり、学校の種類が不明であるものにおける相談内容は「家庭環境(児童虐待及び貧困の問題を除く。)」が一件、「その他の内容」が一件であった。

質問3

一および二について、報告されている件数に対する評価と、スクールカウンセラー等および「二十四時間子供SOSダイヤル」の相談対応の施策の意義や成果についての政府の見解を示して下さい。

回答(質問3 について)

 前段のお尋ねについては、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、様々な悩みを抱える児童生徒が相談しやすい環境を整備するため、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー及び二十四時間子供SOSダイヤルについて、各都道府県教育委員会等に対して児童生徒に周知するよう求めているところである。

 後段のお尋ねについて、お尋ねの「スクールカウンセラー等」の「相談対応の施策の意義」については、平成二十七年十二月二十一日に中央教育審議会において取りまとめられた「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」において示しているとおり、「教員を中心として、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーがそれぞれの専門性に基づき、組織的に問題の解決に取り組む」ことであり、お尋ねの「二十四時間子供SOSダイヤル」の「相談対応の施策の意義」については、宗教に係るものを含めた様々な悩みを抱える児童生徒からの電話相談について、夜間・休日を問わず二十四時間対応を可能とすることである。お尋ねの「成果」については、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、様々な悩みを抱える児童生徒からの相談について、一人一人に寄り添ったきめ細かな支援ができているものと考えている。

質問4

一および二の状況について、その結果を「旧統一教会」問題に係る被害者等への支援に関する関係閣僚会議で共有し、法テラスを中核としたいわゆる宗教二世などの被害者が抱える課題の収集・分析に寄与する施策の検討を行っていますか。

回答(質問4 について)

 文部科学省においては、令和四年十一月十日に「「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議」において策定された「被害者の救済に向けた総合的な相談体制の充実強化のための方策」を踏まえた取組状況や、「「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の結果を踏まえた児童生徒等の教育相談等の取組について(通知)」(令和四年十一月十日付け四初児生第二十三号文部科学省初等中等教育局児童生徒課長及び修学支援・教材課長、高等教育局学生支援課長並びに総合教育政策局生涯学習推進課長連名通知)に基づき各都道府県教育委員会等から収集した学校における教育相談の事例を踏まえた取組状況について、令和六年一月十九日に開催された「「旧統一教会」問題に係る被害者等への支援に関する関係閣僚会議」において共有し、その結果、同閣僚会議において策定された「「旧統一教会」問題の被害者等支援の充実・強化策」において、「スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置を拡充」することや「こども・若者が利用しやすいSNS等の各種媒体・・・を活用した相談体制を整備」すること等、「虐待等の被害を受けていることを認識しづらい、声を上げづらい宗教二世等のこども・若者が相談しやすい環境の整備」をすることとしている。

質問5

「二 高等学校等への進学に関する経済的支援」に基づき、宗教(「旧統一教会」以外の宗教も含む。)との関わりに起因する問題を背景とした相談対応を行った事例は何件報告されていますか。また、相談・問合せ者の属性や相談・問合せの内容等の件数の内訳についても示して下さい。

回答(質問5 について)

 お尋ねの件数は、令和六年一月末時点で、零件である。

質問6

五について、報告されている件数に対する評価と、被害者に対する高等学校等への進学に関する経済的支援が十分に提供されているか否かについての政府の見解を示して下さい。

回答(質問6 について)

 前段のお尋ねについては、お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、各都道府県の高等学校等就学支援金及び高校生等奨学給付金の担当部署において高等学校等の授業料や授業料以外の教育費に関する相談があった場合に適切に対応いただくよう、各都道府県教育委員会及び各都道府県に対して周知を行っているところである。

 後段のお尋ねについては、お尋ねの「被害者に対する高等学校等への進学に関する経済的支援が十分に提供されているか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、家庭の経済状況にかかわらず、全ての意志ある高校生等が安心して教育を受けることができるよう、高等学校等就学支援金及び高校生等奨学給付金の支給により、教育費の負担軽減に取り組んでいるところである。

質問7

五に関連して、高校生等奨学給付金事業の対象として、いわゆる宗教二世などの被害者を念頭に、生計維持者である親に一定の所得があるにもかかわらず、信仰上の理由や献金等の原資を確保するために経済的支援を行わない場合や、所得要件は満たしているが親が申請手続を拒む場合等を加えるべきとの指摘がありますが、政府の見解を示して下さい。また、大学への進学を支援する日本学生支援機構の実施する奨学金制度についても、同様の対象拡大をすべきとの指摘がありますが、政府の見解を示して下さい。

回答(質問7 について)

 前段のお尋ねについては、「「宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A」について(通知)」(令和四年十二月二十八日付け四初児生第二十九号文部科学省初等中等教育局児童生徒課長及び修学支援・教材課長並びに総合教育政策局生涯学習推進課長連名通知)において、高校生等奨学給付金事業については、「「・・・合理的な理由なく信仰する宗教等の教義を理由として就学・進学を認めない行為は、児童の自立を損ねその心情を傷つける行為としてネグレクト又は心理的虐待に該当する。」とされている。・・・高校生等奨学給付金の支給に係る所得判定の際には、親権者が、「生徒の就学に要する経費の負担を求めることが困難であると認められる者」である場合には、その者は保護者には含まれないことを踏まえ・・・関係機関と連携して適切に対応すること」と示しているところである。当該事業による支援の対象となるかどうかについては、この考え方に基づき、当該事業を実施する各都道府県教育委員会及び各都道府県知事において、個別具体の事例に即して判断されるものと考える。

 後段のお尋ねについては、令和五年八月十日に「「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議」において策定された「お悩みの解決のヒントとなるQ&A(詳細版)」において、独立行政法人日本学生支援機構が実施する奨学金事業については、「児童養護施設等の入所者や、虐待等から避難し独力で生計を維持している者など、本人の所得のみで収入の要件を判定できる場合もあります」と示しているところである。当該事業による支援の対象となるかどうかについては、この考え方に基づき、当該事業を実施する同機構において、個別具体の事例に即して判断されるものと考える。